前編 直視できない現実という名の真実

【世の中には、物事を完璧にこなせる超人みたいな存在が確かにいる】

学生時代、世の中の人間はみんな平等だと思っていた俺…
だが、世の中は決してそんなことはないと…俺はこの会社にきて強く痛感した

おっとっ…いきなりこんな話をされても困るよなぁ…
悪い悪い、俺の名前は世中 明(よなか あきら)っていうんだ
よくある平凡な人生を送ってきた…といえば、聞こえはいいんだが…
世の中、平凡な出来事以外の出来事が一回は起こったりするものなんだ

俺の経験した平凡じゃない出来事…それは、首相が代わって…世の中に魔物娘が現れたことだ!
そう…新しい首相がいきなり…魔物娘という子たちを新しく国民として迎え入れるって言ったんだよ!!
女性の首相が初めてだったからって話題がTVを支配するんだろうなって思っていたのに…世の中のマスコミはその話題に食いついたんだよ

いや、気持ちはわかるよ?
そりゃあいきなり、魔物娘なんて聞き覚えのない人たちを国民として迎え入れるって言われても、正直困るだろう?
当時は、彼女たちのあの人間とは明らかに違う見た目…
その見た目から、ほかの人間は彼女たちと距離をとって過ごしていたんだよ

人間という生き物は、昔から今まで…自分と違う存在ってものを非常に警戒する生き物なんだ!!
だから、世の中がそんな態度をとったとしても、別に変なことじゃなかった

もちろん…俺だって距離を置いていたんだ…が

俺は時代の流れというものと、人間の適応力に正直驚くことになったんだ!
いや…まぁ、俺も自然となれていった見たいな感じなんだけど…

彼女たちは普通にそんな距離を置かれても、なんとも思わず…
さらには俺たちと仲良くしようと一生懸命に頑張ったんだよ
世間も、それを認め…今現在、魔物娘が社会にいるのは当たり前のようになっているんだ

今では、魔物娘と人間のハーフ?的な人がいたって、まったく不思議じゃない
……強いてあげるなら、生まれてくる子供が圧倒的に女の子が増えた…
そのため、若干最近男の子の出生率がどうのこうのってTVでよく見るんだ

っと、今の世の中の説明はこれくらいにして…
どうして俺が、上で言ったようなセリフを言ったのか…
それをみんなに聞いてほしいんだ

いま俺は、マモネットと呼ばれる会社に勤務しているんだ
昔はインターネット関連の会社だったんだが…
どこをどう転んだのか、今現在、魔物用の婚活サービスを提供する会社になっているんだ

このサービスを始めるようになってから早くも2年…
あと少しで3年がたとうとしているってところなのに…
俺はいまだに、今やっているこの仕事に慣れずにいたんだ


どうして…どうしてインターネットの仕事をしているはずの俺が…
こんな大量の書類を持って、婚活の手伝いをしなければいけないんだよ!
なぁ…?なんでだ?どうしてだ!?

明「………どうして俺が、こんな仕事をやらなきゃいけないんだ…話が違うぞ」
?「明さん、余計なことをつぶやく暇があるなら…」
明「へっ…?あっ、いや…なんでもありません…すみません」

俺にいきなり話しかけてきた女性…
それはこの会社で一番功績をあげている形部狸の見切(みきり)さんだ
……正直、彼女がこの会社の中で、社長の次に偉いといっても過言ではない
役職上、課長あたりのほうが彼女より上…
俺だってこの会社にはもう5年勤めているから、入って1年の彼女にどうこう言われる筋合いは本当はないんだ

しかし…彼女は形部狸…彼女の種族には商才があるっていう話は本当だった
彼女はこの会社に入社して1年で俺の30倍の売り上げを記録…
今では会社の総資産の6割は彼女が稼ぐといっても過言ではない
だから、仕事の種類が代わって2年間で成功した依頼は1件…
正直…ひどすぎる結果だ

俺が残っていられるのは、おそらく…
この会社が方針を変える前、結構貢献していたからだと思うんだ…
あのころは、俺はこの仕事が天職だって思っていたんだけど…
本当に、世の中ってのはわからないものだよなぁ…

……とにかく、この会社の中では俺はなかなかに地位が低いのはわかるけどね
彼女のようなエリートに指示されたら、断ることなんてできないんだもんなぁ

明「えっと、今日のお客さんは……アントアラクネの女性か…」

一人、そう呟きながら数十ページにもわたる書類に目を通す俺…
こんな書類、いくらあったって正直、無駄だってのに…
だってさ?書類に書いている情報なんて…何の役にも立たないんだもんよ!!

……っと、ぼやいていても仕方ないよなぁ…
仕事仕事っと…

そういいながら、お客さんが待っている部屋に入る俺…
俺の目の前にいる女性は…なんていうか…
今どきのギャル…?って感じの下半身が蜘蛛のような女性だった
ちなみに、彼女の種族と
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