chapter1-4 過去

俺がセムちゃんを背中に背負い、ロビーに向かって帰っていた時だった…
俺はできる限り、セムちゃんを起こさないように努力はしたんだ!!
だが、ちょうど二階の渡り廊下を渡り、ロビーにもどる少し前のところで…
ついにセムちゃんが目を覚ましたんだ!!


セ「ふみゅう…はっ…」
デ「あぁ…おきちゃったか…おはよう」
セ「おはようございます…えっと、これは…」
デ「ん?あぁ…今、みんながいるところに移動しているんだよ」


やっぱり…セムちゃんからしたら、いきなり俺の背中の上に乗っているもんだから…
結構困惑しちゃってるみたいだなぁ…少なからず、困惑しているってのが雰囲気でわかる…
まぁ、無理もないと思うけどさ?
逆にだ…俺がセムちゃんの背中の上に乗っかって運ばれてたら…
俺は間違いなく、色々な意味で困惑するだろうし

そうだ…やっぱり、セムちゃんは下におろしてあげたほうがいいかな?
俺に運ばれるよりは、数倍自分のペースで移動できること間違いなしだし…

俺はそう判断して、セムちゃんを下におろそうとしたんだ…
といっても、その場にしゃがみ込むだけの対処なんだけど…

デ「ほら…これで降りれるかい?ずっと俺の背中に乗っていると…気分が悪くなるだろ?」
セ「えっ…あっ…いや…だいじょうぶ…です」
デ「そうかい?だったらいいんだけど…」
セ「やさしいんですね…あなたは…」


………ん?セムちゃん、こんなに他人行儀だったかな…?
俺はさっきの何気ない一言…セムちゃんの一言に妙に引っかかるものを感じていたんだ…
考えすぎ…なのかなぁ?みんなはどう思う?
ま、まぁ…別にどっちでもいいんだけどさ…
セムちゃんがセムちゃんってことに変わりはないんだし…


セ「その…ですね、実は、あなたにお願いがあって…」
デ「お願い…?お願いって?どんな願いでも話だけなら聞くけど」
セ「あのですね…しん…」

?「おーい!!何してるんだデメトリオ…?」


セムちゃんのお願いは、遠くのほうから聞こえてくる声にかき消されたんだ
このタイミングで俺に声をかけてくる奴…考えられる連中といったら…
………一緒に来たやつら全員あり得る!!くそっ…
この場合、自然と声で判断しないといけなくなる…
だがこの声…俺にはわかる!!わかるぞ!!


そして、廊下の奥のほうから俺の予想通り…ナッカーサーが歩いてきたんだ
よく見ると、ちゃんとGTSも腕につけてるし…
あっ!!GTSって言うのは、ゴース・トランシーバーの略だからな!?
えっ…?それぐらい解ってるって…?ご、ごめん…
っと、謝っている場合じゃない、どうしてナッカーサーがこんなところまできたんだ…?


デ「ナッカーサー…どうしてここに?彼女はどうしたんだ?」
ナ「あぁ…ちゃんとロビーに連れて行って、お前の所に行こうとしていたところだったんだ」
デ「彼女は…大丈夫だったのか?」
ナ「まぁ、大丈夫だろう…っと、セムちゃん!?無事だったのか!?」
デ「あぁ…実はさ…」


俺は、ここでナッカーサーにセムちゃんと会った時の事を話したんだ…
話すことといっても、たかが知れているわけではあるんだけど…
そんな事を気にして、話すのを躊躇していてはだめだ!!そうだろう?
って、訳で…俺は話したさ!!話してやったさ!!


ナ「なるほどな…それで、お前がセムちゃんを背負っていると…」
デ「そう言うことだ…」
セ「ナッカーサーさん、迷惑をかけました…」
ナ「いや…それは別にかまわないが…」
セ「デメトリオさんも…ありがとうございます」


……で、デメトリオさん…だって?
セムちゃんにそんな呼ばれ方をされたのは初めてだな…
なんだろう?この変にくすぐったい呼ばれ方…なれないなぁ…
変に他人行儀な感じがする…こう思ったのも、もう二回目だ…
………俺も、年をとったのかなぁ?どう思う?

ナッカーサーもそう思ったのか、不思議な表情でセムちゃんを見ているし…
いやいや…今はセムちゃんをみんなに会わせるのが先決だよな?
そして、ロビーに続く階段をおりようとしたときだった…

ナ「まて…セムちゃん…何を考えている?」
セ「……はい?」


いきなり、ナッカーサーがセムちゃんにそういいはじめたんだよ!
ど、どうしたんだよナッカーサー!?声が冗談でいっているような声じゃないぞ!?
穏やかじゃないって雰囲気が声から感じ取れる…ナッカーサー…どうしたんだ?

セ「やだなぁ…ナッカーサーさん、どうしたんですか?」
デ「そうだぜナッカーサー…なにもセムちゃんにそんなに敵意を剥き出しにしなくてもいいんじゃ…」
ナ「………そもそもだ、君は本当にセムちゃんなのか?」


ナッカーサーがセムちゃんにそう言ったあと…この場を言いようのない沈黙が支配したんだ…
な、なんだ…!?何な
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