おれたちは少女を病院に預けた後男の話を聞くために隊舎に戻った。男の娘たちは家に帰そうとしたのだが
「「やだ。パパと一緒にいる」」
と言って離れなかったので仕方なく連れて行くことにした。
「衛兵隊隊長のバルド=ネルドだ。よろしく」
おれはまず自己紹介した。
「よろしく。魔物学者のノルレ=ヴェーデルシュルグだ。この2人は娘のソルとルナ。ちなみにエキドナだ」
「「よろしくね」」
ノルレって特殊な魔物の研究で有名で、冒険者ロキの兄のあのノルレか?
「あなたがあのノルレ先生だったんですか?!」
チャーリーがものすごい勢いで食いついてきた。どうでもいいがさっきと態度変わりすぎだろう。
「衛兵隊副長のチャーリー=ウィーゼラです。ノルレ先生に会えてうれしいです!」
チャーリーのものすごいテンションにノルレは苦笑いを浮かべた。
「そ、そうか。それはよかった。じゃあこの子たちのことはわかるか?」
「もちろん。奥さんとはエンゲージリングで結ばれたんですよね。とてもロマンチックな話でしたよね」
それからチャーリーとノルレは色々な話をしていた。おれはとりあえず話が一段落するまで待つことにした。
「…そろそろ本題に入っていいか?なんで犯人は彼女を殺さなかったんだ?」
おれの言葉にチャーリーはハッとした顔をする。こいつ完全に忘れてやがったな。
「…まず最初に言っておかなきゃいけないのは彼女はアリスってことだな」
「アリス?ノルレ先生ロゼって呼んでませんでしたっけ?」
確かにそう呼んでたな。愛称か何かなのか?
「名前はロゼで合ってるぞ。アリスっていうのは人名じゃなくて魔物の種類のことだ」
そういうことか。ずいぶんややこしい名前の魔物だな。
「そのアリスってどんな魔物なんですか?」
「アリスはサキュバスの一種だ。突然変異で生まれてくるから数が少ない希少な魔物らしい」
「どうしてそのアリスだってわかったんだ?」
おれが聞くとノルレはニヤリと笑った。
「ロゼが幼女体型で成長が止まったって言ってオレのところに相談に来た。その時なんか魅了の魔術が出てたから誘ってるのかって聞いたらビンタしてきたからわかったんだ」
「なんで幼女体型で悩む必要があるんですか?ロリなことはいいことじゃないですか!」
チャーリー。お前サバトに毒されすぎだ。なんかソルちゃんとルナちゃんからにらまれてるぞ。やっぱり女の子としては大きくなりたいんだろうな。
「…こいつのことはスルーしていい。それにしてもよくそれだけでわかったな」
「魔力には敏感だからな。まあアリスのことがよく知られてなかったころだったら今一番重要な特性で確かめてたことになってたかもな」
ノルレがしみじみと言った。
「重要な特性?」
おれの言葉にノルレはうなずいた。
「アリスはなんどヤっても体が処女の状態に戻る。そして普通アリスは」
ノルレはそこで言葉を切って、一瞬迷った後おれたちの方を見て
「…性行為をした時の記憶を全て忘れるんだ」
おれたちを絶望させる言葉を告げた。
つづく
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