落ちこぼれの少年と、とあるノームの物語

「あ〜あ。また失敗だよ。あいつ・・・」
みんなが、僕を指差してひそひそ話をしている。

「土の呪文すらできないんだって〜。」
「あいつってバカだよな〜。よく不登校にならないな〜・・・別にどっちでも良いけど?あっはっはっは!!!」
「同じ教室にいるだけでも超むかつくんだけど・・・今度みんなでいじめる〜?」

また、いじめの計画だ。
いつもそうだ。みんなが普通に出来る呪文すら成功しないというだけでみんなが僕をバカにする。

先生だって・・・

「大丈夫。きっとできるようになるわ!」
といってくれたのに・・・この前職員室前で・・・他の先生に、

「あの子・・コリンくん?きっと考え方がおかしいのよ。だから魔法もへたなのよ。あ〜あ、早く卒業してくれないかな〜?教えるのもめんどくさいし。」
と、言っていた。

でも、僕は泣かなかった。なぜなら・・・

もう慣れっこだったから。

今年で、魔法小学校4年生になる彼、通称「いじめられっこのコリン」はいつものように一人で家に帰っていた。
すると、いきなり地面から一本のロープが彼の足に巻きついた。

「え?うわっ!!」
一気に、吊り上げられてさかさまになるコリン。
すると、遠くから笑い声がきこえる。
「すげ〜!!さすが、オエちゃんの巻き取り術だ。」
「今日習ったばっかりだったのに、もう使えるんだ〜。いいな〜。」
と、クラスメートの声だった。そして、

「えへへ。でも、やっぱりあの子を的にすると練習しやすいわ〜。あの子見て!間抜けな宙吊り状態よ〜。あはは!!」
と、コリンは足のロープを解こうと腕を伸ばすが届かない。
その光景を見たクラス一の秀才にしてクラス一のいじめっ子である「オエ・ストラリア」は、ニヤニヤしてカリンにこう言った。

「あ?そんなに解きたいなら解いてあげる〜。泥の上でねぇ!!あはっはっは!!」
と、コリンの体が少しずつ近くにあった泥の水溜りに動き出す。
「いやだ。やめて!!おろして!!」
と、コリンが叫ぶもオエはやめようとしない。
ついに彼の体が浮いて今その位置に止まった。
「離さないで!!お願い!!いやだぁぁ!!」
と、次の瞬間・・・ロープが解けた。

彼は、泥の中に頭から突っ込んだ。
「げぽっ・・・・うぶ・・・・おえぇぇ。」
泥を吐き出す泥まみれの彼を見てオエはさらに大声で笑った。
近くの取り巻き達二人もげらげらと笑う。
「あっはっはっは!!!!見た?見た見た?きったな〜い!!」
「うわ!きったなぁ。泥のコリンだ。ウケル〜!!」
「てかさ〜もう学校来んなよ。クラスが穢れる〜!!」

コリンも、ついに怒りを露にして立ち上がり、オエに向けて魔法を詠唱したが、
「ぷすん・・・」と指先から煙しか出ない。失敗だ。

「くそ!くそう!!フレイム!!アイス!!クエイク!!何で、出来ないんだ!!」
と、コリンのお腹の辺りに鈍い衝撃が走った。
そのまま、吹っ飛ぶコリン。
オエが魔法で彼に土の塊をぶつけたのだ。
強度にしてボーリングの玉の硬さの塊を・・・

どさりと、コリンの体が地面に激突する。
「うう・・・げほっ!げほっ!!くそぅ・・・」
むせるコリンを見たオエは笑い涙を出しながら、彼をののしった。

「ふん。へたくそコリンの分際でこのあたしに歯向かうなんて・・・ついに頭を使うのもへたくそになっちゃったのかなぁ〜?はははは!!」

コリンは、悔しくて家に向かって走り出した。
後ろから、オエと取り巻きたちが笑い声を上げる。

悔しい・・・ただその感情が彼の中で渦巻いていた。

が、彼の不運はここだけではない。
家が本当の地獄だった。
家に帰ると、母親が出てきていきなり怒鳴ってきた。

「ああ!また、泥だらけにして!!洗濯するこっちの身にもなりなさい!!それに、先生からさっき電話がかかってきて『彼には才能が無い』って言われたのよ!!どうしてくれるの!!まだお兄ちゃんたちが有名だったからいいものを・・・恥かいたわ本当に!!」
と、また兄弟たちの話が始まった。

コリンには、もう成人で自立している二人の兄がいる。

一人は、国の中でも一・二を争う有名校を主席で卒業し、魔物研究所というところで所長として働いている。

もう一人は、魔法の実技で一人でドラゴン(♂)を消し飛ばした実力者として伝説になっているほどのハンターだ。

まさに、エリートの中のエリート。
コリンが兄弟とは思えないほどの有名人となっている。

「で・・・でも・・・・服の泥h「言い訳なんか聞きたくありません!!ほら!さっさと着替えてらっしゃい!!」
と、言い返そうとするコリンを母はぴしゃりと黙らせるとため息をついて小声でつぶやいた。


「はぁ・・・・生まれてこなければよかったのに・・・・」

その言葉に、コリンは全身の血が引いたような感覚が
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