最初に目に入ったのは様々な体液まみれになって、ぐったりしているイルの姿だった。肌が妙にツヤツヤしているのは多分気のせいだ。次の瞬間には昨晩の出来事がフラッシュバックする。
イルの事を向こうの岸までブッ飛ばし、ペースが落ちてきたらイルの蜜を舐めながら栄養補給。どこぞの結婚式のような狂宴はイルが蓄えた魔力が尽きるまで続いた。
ゴメン・・・
あまりの罪悪感に今すぐ首を吊りたくなる。それとも腹を切って誠意の証としようか・・・
いや、そんなのは何の解決にもならない。とりあえず、イルの身体を綺麗にしてやる事が先決だ。確か風呂場にタオルがあったはず。そう思って身を起こそうとして、固まった。
また、絡まってる・・・
今度はこれでもか!と言わんばかりに蔦が身体に絡み付いている。露骨に縛っているあたり意図的である事は火を見るより明らかだ。多少千切れても問題ないらしいが、痛覚があるらしく強引に蔦を千切る訳にもいかず、少しずつ剥がしていくしかない。
起こさないように注意しつつ、そっと剥がす。イルは小さく声を上げたが起きることはなかったようだ。すやすやと寝息を立てるイルから逃げるように風呂場に向かいタオルを探す。濡れタオルを手に戻ってくると、席を外したわずかな間に起きていたようで、ベッドの上でイルが拗ねた表情を浮かべていた。
そして、イルは俺を見つけるとジットリとした視線を俺に寄越した。
「起きた時にいないなんて・・・酷くない?」
「・・・悪い」
「ベッドだって、僕、初めてって言ったよね?」
「・・・うん」
「優しくしてねっていったよね?」
「・・・言ったね」
「僕のソコ、腫れてるんだけど」
「・・・ゴメン」
「ちっとも休ませてくれなかった・・・」
ぎゅう、と俺の腕を掴む手に力をこめ、大きく潤んだ瞳が俺を映す。罪悪感で思わず視線を外してしまうと、イルは俺の腕をつねった。
「・・・痛い」
「じゃあ、僕の方を見てよ」
・・・すごく気まずい。
「ディアン、野獣みたいだった・・・」
「・・・」
返す言葉もない。あれはまさに野獣だ。理性を封印されたとはいえ、あまりにも酷い。
まさに一方的な蹂躙だった。イルは魔物でも体力はないし、性に関する知識もほとんどない。自らの事さえ受け入れた事のないのに一晩中犯されていたのだ。魔物でも参らない方がおかしい。
休ませてと嘆願するイル。
無視して腰を振る俺。
イルはその事を思い出したのか顔を伏せた。耳まで真っ赤にして蚊の鳴くような声で呟いた。
「・・・責任、取ってくれるよね?」
「あぁ・・・もちろん」
「じゃあ・・・どう・・・責任とってくれるの?」
不安と期待で染まった瞳を俺に向ける。どうすれば責任を取れるのかと考える。
手術で処女を回復させる? それとも記憶を無くさせる?
そんな事を幾らした所で責任を取った事にはならない。対症療法なんてものは、無責任の典型だ。ならば何をすれば良いのか。そんな事は決まっている。一生を持って償うしかない。
イルの事を真っ直ぐ見る。
最大限の誠意を見せようと思ったらしっかりと相手を見なくてはならない。
「結婚しよう」
何の気負いをもせず自然と言葉が出た。
しかし、イルの方はポカンとしてしまった。ボーッとしたように口を半開きにして、それから。顔を真っ赤にして口をパクパクさせて狼狽し始めた。
「で、で、で・・・ディアン?
今、何て言ったの?」
「・・・結婚しよう」
「そ、そんな事ない!!!それで良い!!!ううん、それが良い!!!
・・・じゃなくて!!!」
「!?」
「どうして、今なんだよぉ!!!」
涙をポロポロ流しながら泣き始めた。俺はどうして良いのか分からず慌てる。長いこと薬師をやっているが、泣いている相手を扱う時はいつだって困る。注射の痛みで泣いているのだったら幾らでも対処ができるのだが、彼女の場合は感情でないている。まるっきりお手上げだ。
「バカ!バカ!バカ!ちょっとは気を使ってよ!!!」
ポコポコと叩き始める。
結構本気に殴ってくるので、地味に痛い。
「なんで、こんな滅茶苦茶なタイミングで“結婚しよう”とか言うのさぁ!!!」
「わ、分かった
取り下げる!取り下げるから・・・!」
「取り下げないでよ!!!」
キッ、と本気で睨まれた。小柄だけど結構恐い。可愛いけど・・・
「なんで、今言うんだよ・・・信じらんない・・・」
「どんな時に言って欲しかったのさ・・・」
「少なくとも、全裸で言われたくなかった・・・」
ジットリとした視線が突き刺さる。
確かに、全裸は不味かったな・・・
「そういう、大事な告白は・・・星空の下で、指輪と一緒にして欲しかった・・・」
意外と乙女チックだ。実際にや
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