まさか、俺のバトルフェイズが終わったと思ってるのか、このロリコン野郎?

 エスティーが気を利かせて目的地の近くに転移させてくれたので、予定より少し早く目的地に着くことができた。商会に顔を出すと、何人か行商の仲間がいた。俺の見習い時代の師匠であり、現商会支店の店長である親方のところにを訪れると調度、新聞を読んでいる所だった。

「へぇ・・・“妖精の国”ねぇ」
「なかなか、面白い国でしたよ」
「魔物は懲りた、もう取引しないとか言っていた、お前がねぇ・・・」

 パラリと紙面をめくる。人の話を聞いていないように何かをしているのは、昔からの事なのであまり気にもとめない。むしろ、聞き流しているフリをしながら耳を傾けていたりしていて、話を止めると怒り出したりする。

「相手によりけり、です
 俺だって無理矢理に犯されなきゃ、いい商売相手だと思っていますよ?」
「ふぅん・・・いい商売相手っても、相手は子供みてぇなもんだろ?
 金のためなら何でもやるってのが、良い行商人だがな。それでも、やって良い事と悪い事があるんだよ。ガキ相手に金を巻き上げるなんざ、下衆も良い所だぞ?」
「だから、違うと言っているでしょ!
 “妖精の国”は経済基盤が、しっかりしています。
 妖精の中には子供のような者は多いですが、一人前と言えるフェアリーもいますよ。
 師匠こそ商会の奥で他人をアゴで使うだけじゃなく、自分で情報を集めたらどうですか
 “多面的に物事を見てこそ、真の姿が見えてくる”師匠は俺にそう教えましたよね」
「鼻たれ小僧が言うようになったじゃないか・・・」

 師匠は、バサリと新聞を放って机の上で手を組んだ。

「“6次の隔たり”というのを知っているか?」
「確か、友人を6人挟むとあらゆる人間と繋がる事ができるという仮説ですよね?」
「あぁ、そうだ。よく勉強してるじゃないか。
 要はね商会の中に居ても人の集まりやすいココなら幾らでも情報は集まるんだよ。お前がどこで何をしていたか、なんてのもな・・・
 だから、行商人宛の手紙だって届く。ほらよ、お前宛だぜ?
 どんな相手と知り合ったまでかは知らんが、相手がマメで良かったな。招待状だ」
「・・・ありがとう、ございます」
 ピッ、と手紙を放って寄越す。
「一応言っておくが、“多面的に物事を見てこそ、真の姿が見えてくる”という持論は曲げていないつもりだ。」

 見てみろ、と師匠は新聞の記事をアゴで指した。なんだ、と疑問に思いつつも床に落ちた新聞を拾い上げてみる。そこで戦慄が走った。

「おい、知ってるか?
 真性のロリコンっつーのは、未熟な女性を成人と認めているから・・・
 自分の事をロリコンだと思わないらしいぞ?」

 新聞記事に掲載されている記事、それはテイルと交わっている俺の姿だった・・・
10/06/04 01:25更新 / 佐藤 敏夫
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