私は目つきが悪い、なんでも瞳が三白眼というらしい
しかも背が高い、スタイルが良いと言えば聞こえは良いのだが
相手をジッと見てしまう癖もあって大体怖がらせてしまう
さっきも下駄箱でワーキャットの子に、落としたハンカチを渡そうとしたらそのまま受け取らずに逃げてしまった・・・
おまけに口下手だから数少ない友達には
「獲物を狙うハンターにしか見えん」
と言われる始末
はあ・・・
だから見つめても怖がらない花は好きだ
自分で育てた事は無いけど、花壇とか庭木の花を見ると心が落ち着く・・・
でもこの辺りの土壌は農林部が育たないって言われてたと思うんだけど、確か魔力や栄養が少ないとかいって・・・
「あっ!?入部希望の人ですか!?」
『・・・・?はい?』
「やっぱり!入って入ってー!!」
・・・恐らく疑問詞の『はい?』を肯定の『はい』を取り違えられたらしい
なし崩し的に部室に入れられてしまった、手を引かれて・・・
「いやあ嬉しいなぁ!部員全然いなくってねー、ゴーストとその彼氏だけがいるだけの本当に幽霊部員だけの部でねー!」
この学園の生徒には帰宅部は少ない、何かしらの部に入ると色々特典や恩恵がある、
・・・が特典目当てに入ってるだけの生徒も多い
カップルで遊びに行く時間が欲しいから活動を殆どしていないところが隠れ蓑の様にされるとか
勿論バイトをしている人や勉学に励んで入部していない人もいる、少数だけど
と思考してると同時に入部手続きの書類を作ってる部長を見る
部長になるには2年生以上だから恐らく同級生、見た目は頼りがいがあって男らしいというより可愛らしい
というのもかなりの童顔で私よりふた周り小さいというか背が低い
ニコニコしながら書類を出してくる、正直本当に可愛い
というか私が見つめてても怖がらないんだ、貴重な人だ・・・
『という事でなし崩し的に入部することになったの!?』
同日、お昼を友人ととる
『良かったねえ!良かったねぇ!これはやっと春が来たんだねぇー!今夏だけどーー!』
と言うのは同級生(先輩)のサティロスさん
『そんな短絡的に言うなだって!?いくら私がアフォでもわかるんだぞー!』
と彼女が彼氏の男性と夫婦漫才しているのはいつもの事
『見ても怖がらないしー、手を引いてくれたしー、入部させてくれたしー』
とキャッキャと喜んで話してくれている
けどタイプじゃないし、出来たらこう・・・私より背の高い人が良いんだけど
『単に入部が嬉しくて、相手を見て無かった可能性もある!?んもー!そんなんじだけじゃないよ!勉強はだけは出来る癖にー!その辺に気が付ない無いなんてニブニブ太郎ちんだなー』
とお腹いっぱいになるほど目の前で、夫婦漫才を昼休みオール劇場視聴したところで残りの授業を受けて部室に向かう
初めは余り乗り気では無かったが、優しい彼の気遣いと花に対する情熱、何より私にも柔らかい笑顔を向けてくれる
丁寧に土を魔力と栄養を盛り込み、花が咲ける環境にしていく
そんな部長を見つめながら、自分も土いじりをする
部長は色々話をしてくれる、私はうんうんと聞く側に
そんなモラトリアムな時間がゆっくりと流れていった・・・
入部してから大体半月が経った部活動を始める夕方・・・
けたたましく校内放送が流れる
【只今、校内の外にて謎の靄が発生してます】
【ヴァルキリー隊が調査していますので速やかに帰宅、または室内に避難してください】
「なんだろうね?もしかして最近発生している厄介な問題の一つかもしれない」
確か・・・校内広報であった無断で人の物を所有しようとしたり、人の物を盗ったり、転売したりといった負の感情の塊みたいなのが形になるという
余り聞いていて気の良いものじゃなかったが・・・まさかな
「道具を拡げて残念だけど軽く片付けて早く帰宅しよう」
賛成、と頷いて手早く片付ける
そんなにも時間は掛けていなかったが、背後から熱く肌寒い感覚が襲う
そして聞いた事の無い気持ちの悪い声が聞こえる
《NTR・・・NTR・・・お前の物は・・・俺の物、返さない》
青白い肌、青黒い炎、吐気を催す言葉・・・
「・・・!?これが問題の靄!?ヤバイ!!逃げて!!」
逃げるか迎撃するかを迷った瞬間
《これは、俺の嫁、返さないいいいいいいいいいい》
理解不能な詠唱と共にこちらへ青黒い炎を吐き出してきた
(しまっ
咄嗟に動けずにいると
「伏せてええええええええええ!」
部長が園芸用のブルーシートと共に覆い被さって来た
こんなシートで・・・・と思いきや
「寒冷地対策の魔界銀塗料
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