貴方はとても良い人である。
他の部署のヘルプがあれば悪態を付きながらも最後までやってくれる。
物を拾うと交番に届ける、海外の観光客も言葉は判らなくても身振り手振りで自分を捨て置いても案内する。
知人が引っ越しするなら車を運転する。
優しくて、なんでも頼れる人、それが貴方でした。
ただ見た目がどちらかと言わなくても良い方では無い、欠点と言えばそれだけだ。
手柄は他人に取られてばかりで出世も遅く、人の好さに付け込んで更に利用してくる。
それでも稀に女性を紹介されるも「良い人なんだけどねー」と言われて付き合いまでいかず終わるのがオチだった。
周りからも男女問わず、だ。
「良い奴なんだけどなー」とは言ってくれるがモテた試しは全くない。
既婚者からはいつも面倒見の良さから
「良いお父さんいつもしてますよね!」と褒められるが相手が居ないですよというのが毎回である。
評判は良い方だ、しかしそれとこれとはまた別問題である。
貴方はそれを自分の宿命と思い、いつも仕方ない仕方ないで終わらせるのだった。
・・・・・
しかし貴方はには周りには言えない、気が付かれてはいけない秘密がある。
確かに女性には興味がないわけではない、実際紹介された人でも付き合いたい人というのは居たが、結果はお察しである。
間違っても犯罪や法に触れる事は一切していない、そう貴方は小さい子が好きだった。
無防備にしゃがみ込む姿をさりげなく前を通り、脳内に焼き付ける。
もちろん凝視などはしないし、盗撮などもしない。
人の好さを付け込んで会社の友人が子供の面倒を見させたりする。
貴方は喜んで面倒を見る、表と裏の意味でも。
もし自分が不慮の事後で亡くなってもPCやスマホの中にそんなデータを残さない様に一切データで持たない様にしている。
もちろん、目の前に居ようが何であろうが一見するが全てノータッチだ。
あくまでも自分の精神の中だけの話、望みなどしたらそれは社会的破滅へと繋がる事は判っていての振舞い方である・・・
そう望みこそすれ、誰も傷つく事も傷つけることは無い。
脳内のみ自分だけの世界である、まさに紳士であり変態紳士ロリコンたる貴方であった。
・・・・・
今日もまた、貴方は他の部署からのヘルプで終電ギリギリまで仕事だった。
貴方は疲れた身体で歩きながらいい歳をとうに超えた自分で駅から歩いて一人、歩いて帰るのである。
親戚や兄弟も居るが、皆家庭持ちになった。
自分もいつかは・・・とそこで思考を止めて帰路へ。
・・・
帰り道、目の前を白いビニール袋の様な物が横切る。
・・・よく見れば、白いウサギだ。
前からトラックが来る、貴方は慌ててトラックを止め為、道路に出てジェスチャーをする。
トラックは割と近くに来たがブレーキを掛けてくれた。
中から「バカ野郎!しにてえのか!」まるで昭和の様なドライバーが出て文句を言う。
貴方はウサギを拾い抱き、すいませんちょっとうちのウサギが飛び出したもので
とドライバーへ謝罪する。
運転手は「おお!そうか、それはすまんかった!」と割とあっさりと許してくれる。
いったん引っ込んだかと思うと、また出てきてジュースをくれた。
「いやいや、俺も気を付けないとな!これお詫びだとっといてくれ!」
と手渡して、そのまままた走り去っていく。
見ないロゴだが赤い缶から有名ブランドのモノによく似ているなと思っていると。
腕のウサギは勢いよく飛び出して逃げていく。
貴方はまぁ助かったんだし良いか、と切り替えせっかく貰ったジュースを飲みながら帰る事にする。
ジュースは非常に甘かった。
余り冷えて無いからかもしれないがそれでも甘い。
だけれど飲むのを何となく止めれず、チビチビと飲み干してしまう。
缶は勿論、空き缶入れに、無粋な真似はしない。
さて!コンビニでも寄って帰るか・・・そう思う矢先。
身体は揺れ、泥酔したかの如く世界が回った。
貴方はもしかしてさっきのジュースに毒が・・・?
そう思う前に意識が反転した。
・・・・・
気が付けば貴方の周りは白い霧だらけだ。
もしかして眠りこけたのか・・・?
余計な事も考える脳が更なる問いへの答えを出す。
白い霧から自分の罪が形容化された魔物が襲ってくるとか、いやいや
先に進めば焚火があってセーブが出来るのだ、それかも
色々考えつつも、貴方は歩く。
霧が晴れていく、そこは赤い水だらけでサイレンが鳴る村でもセミが鳴き惨劇が起こる村でも無かった。
・・・・・
あったのは色の暴力、パステルカラーに
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