「でな」
そう言って、ご主人の友達が人差し指を立てて区切った。
神だにゃの上から聞いていたが、ありきたりにゃ怪談ばにゃしである。
にゃんというか、季節はずれにゃ話だ。
「なんか変だなぁって思って、その猫の名前を呼んでみたんだよ」
オレ個人の意見を言えば、蝋燭の光を浴びてる友達の方が怖いにゃ。
「そしたら、振り返った猫の顔がな」
まったく、人間は随分と下らにゃいことを考えるにゃあ。
ちょうど猫のはにゃしをしてるみたいだし、ちょっと脅かしてみようか。
「にゃ「ぎゃああああああああああぁぁ!?」」
雄叫び。
勿論だが、オレの叫びじゃにゃい。
情けないはにゃし、ご主人の悲鳴である。
バタバタとテーブルからはにゃれて、ご主人は部屋にそにゃえられた電灯のスイッチを押した。
にゃに事か、というよりも、またご主人かよ、みたいにゃ白けた空気が漂っている。
「……やめてやめて、もう無理! 怖いっ!!」
こいつがオレのご主人、スイにゃのぜ。
見ての通り、ヘタレにゃ。かれこれ十年の付き合いだが、にゃおる兆しは見えにゃい。
ガタガタと生まれたての小鹿のように震えるご主人に、ご主人のおさにゃにゃじみが呆れたように声を出す。
「もう、翠は黙ってて! それで、続きは?」
「え゙え゙――? この状況でオチを……?」
友達は、そんにゃ風に躊躇する。
そりゃそうにゃ。
一度ぶった切って白けた雰囲気を盛り上げるほど、クオリティの高い話じゃにゃいのぜ。
とは言え、ここまで聞いたのならオチを聞かにゃいとスッキリしにゃい。
オレもちょっと聞いてみるか。
「えと……、その振り返った猫の顔が、なんとさっきの老婆の顔で……ってオチで……」
やっぱ残念だったにゃ。
どこか冷めた空気のにゃか、話を唯一まともに聞いていたおさにゃにゃじみは、友達の肩をポンと叩いた。
「ごめんね、聞きたがって……」
「だから言ったじゃねえか!?」
「にゃー……」(お前は悪くにゃいぞ、人間)
同情を禁じえにゃい。
というか、オレとしては随分と詰まらにゃい話にゃのぜ。
にゃんと言っても、オレのほうがよっぽど怪談だからにゃ。
お察しの通りだが、オレはネコマタだ。
ちなみにご主人は鈍いから気付いてにゃいし、秘密にしてるからそもそもバラすつもりはにゃいのぜ。
十年前にオレを拾ってくれたご主人には恩義を感じるが、いい加減そのヘタレ性をにゃおしてほしい。
(しかしにゃあ……)
チラリと、ご主人に視線を移す。
「だァ――、もう怪談ヤだ! 怖いっ!!」
(……タマ、マジで付いてんのかにゃあ、ご主人)
いや、ご主人のことは好きにゃよ?
やる時はやるやつにゃし、これで意外と胸も――失敬――度胸もあるにゃ。
でも、自覚がにゃいとは言え、ホラー(オレ)と生活してるヤツの台詞に聞こえにゃいのぜ。
「さて、そろそろお開きにすっか?」
「え!? 帰るの!?」
友達がそう言って立ち上がるのを見て、ご主人は慌てて立ち上がった。
恐らく一人が怖いのにゃろう。
「悪いな翠。俺、明日は仕事が早くてな」
「私も。じゃあね、翠」
「ちょ、待っ!?」
そう言ってご主人が引き止める間もにゃく、二人は入り口から出て行った。
やり場にゃく手を突き出すご主人に、ちょっと笑いそうににゃった。
だって、ご主人、涙目。
「……………」
……仕方にゃいにゃあ、ご主人は。
神だにゃから、ご主人の肩に飛び移る。
「あ……、ネム」
「にゃん♪」
ご主人ににゃみだは似合わにゃいのぜ。
まぁ、オレでも愛でて元気出せよ。
にゃで繰り回されるのはあまり好きじゃにゃいが、ま、まぁ……、今日はサービスにゃのぜ?
「ぺろぺろ」
「………………」
うぅん、怯えるご主人もやっぱご主人の味がするのぜ。
つーか、ご主人?
愛猫が愛情表現してのに無視は酷いんじゃにゃいか?
ごーしゅーじーんー?
「にゃっ、にゃ?」
肉球で頬を押しても、反応がにゃい。
どころか、急に抱きすくめられた。
「にゃっ!?」
ごごごっ、ご主人!?
そそ、そんにゃ唐突にアプローチされても困るんにゃが……!
つ、つーかご主人、力入れすぎにゃのぜ!
そんにゃしっかり抱きしめにゃくても、オレは逃げにゃいぞ!?
「そ……、そばにいてよ、ネム?」
……おや?
一抹の疑問が湧いたが、抱きすくめる腕は相変わらず震えている。
……おやおやおや?
そのままベッドまで連れて行かれ(ちょ、そんにゃ大胆にゃ♪)、抱き枕よろしくご主人がベッドに身を預ける。
震える腕には、しっとりと汗が滲んでいる。
「こ、ここにいてよ?」
……もしや、オレはこのままご主人と付かずはにゃれずの態勢で一晩にゃのか?
にゃにそれ、ステキ……
#9829;
◆
神だにゃの上からご主人を見下ろすと
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