「ふぅ・・・俺もなかなか結構やるなぁ・・・」
森林の獣道を行く青年は名を、レイジという。髪は青く、瞳も似たような、しかしそれよりも透明感のある、青色。背に負う荷はなく、肩に担がれている袋のみ。その中に着替えの服や、食料、水、などが入っている。
彼は一年と九ヶ月ほど前に、住んでいた村から、親元を離れて、修行の旅をしている。
「村を出て、早速スライムと出くわし、それからラージマウスやらハニービーやら・・・いろいろ見て、戦ってきた・・・よく生きてるよな、俺・・・」
そんな事を口にしているが、もともと彼の戦闘能力値は高い。それにいろいろな魔物と出くわし、戦い、経験を積む事で、確実に力もつき、強くなっていっている。
しかし彼の腰には武器らしきものも見当たらない。彼が今まで素手で倒してきた、というのも変だ、と思う。スライムのような半液状のものには素手では戦えない。素手で戦うと、拳から徐々に彼女らの体が絡みついていき、完全に飲み込まれてしまう危険性があるからだ。
武器も買えない好戦的な男が素手で戦ってそうなったという実例もある。
担いでいる袋にあるのだろうか?
しかし、それもおかしい。魔物が、武器を出している間、待っていてくれてるとも思えない。彼女らは勇者や旅人などの前に突然現れ、襲い、犯(おそ)ってくる。そんな暇はない。
「・・・そういえば、ここらには戦いを挑んでくる「何か」がいるって聞いたが・・・」
ぶつぶつとつぶやきながら歩いていると、いつの間にか彼は森林の獣道を抜け、樹木とと岩壁に挟まれている道に出ていた。
ここでは、魔物か人かは定かになっていないが、戦いを挑んでくるものがいるらしい。あるものはドラゴンのようだと、あるものは巨大な大男だと、あるものは可愛らしい少女であると。その説は様々だ。
「!!」
レイジは背後に殺気を感じ、咄嗟にそれを避ける。
すると彼がいた所に、頭から切り裂くように、ガキンッと音を立てて剣が振り下ろされた。殺気に気づいていなければ、きっと彼は頭から噴水のように血を噴出していただろう。
「ほぉ。私の初撃をかわせるなんて、なかなかやるな。あまりいないんだが」
「誰だ!お前は・・・」
しかしそれを何も言わない。その相手は古いマントを身に纏い、フードを深くまで被っていて、顔が見えない。腕には緑色の鱗が生え、足には蜥蜴のような爪が生えている。それは振り下ろした剣を持ち上げ、構える。
それに応じるように、レイジも肩に担ぐ荷を降ろし、岩壁の方に投げ、どこからか取り出した武器、トンファーを手に持ち、構える。そして自らの名を名乗り、相手の名を問う。
「俺は、レイジだ。旅をしている。お前は?」
「ふんっ。私に勝てぬような奴に、教える名など、ないっ!」
相手は剣を構えた状態で突進するかのように走り、突っ込んできた。
その剣を再びレイジに向けて振り下ろす。それをトンファーで防ぎ、右から腹に向けて一発。だが地を蹴り、バックステップ。攻撃を避けられた。
「名は教えられなくとも、種はわかる。リザードマンだな?その腕に足、マントの下からは尾の先が見えている」
「ほぉ。この短時間で私の種を見破るとはな・・・。そうだ。私はリザードマン。だが、先に言ったとおり、名は教えん。知りたくば、私を倒して見せろ!」
身に纏っていたマントを脱ぎ捨て、全身を露にする。
レイジはその姿を見た刹那、頬を少し赤く染め、彼女に見惚れた。だがそれも一瞬、すぐに我に返り、トンファーを構えなおす。
リザードマンは今まで両手で持っていた剣を片手だけで持ち、空いた手で彼に掴みかかろうとしてくる。それを避け、背を取り、背中に向けてトンファーを突き出す。しかし彼女の持つしなやかで、硬く、丈夫な尾が鞭のようにしなり、彼の背を打ちつける。
「ぐはっ!」
「知らなかったか?私たちの尾は鞭のようなものだ。ひとつ、勉強になったな?」
「ちぃ・・・忘れてた・・・そうだったな・・・思い出したぜ・・・」
思い切り打たれた背に手の甲を当てながら、よろよろと立ち上がる。彼の口の端から血を流す。口に溜まった血を吐き出し、構えて、攻撃態勢に入る。
「まだだ」
「結構頑丈だな。それを食らってまで立ち上がる奴は、あまりいないんだがな」
「それは、どうも!」
今度はレイジの方から突っ込む。右に持つトンファーを突き出し、殴るが、それを簡単に避けられ、背に向けて剣を振り下ろす。が、それよりも速く、彼の脚が彼女の脇腹を捉え、蹴りが入った。
「うっ・・!なに・・・」
「そっちこそ、俺の手元ばかりに集中してんな。脚も出んだよ」
「ふ、ふふ・・・私にこんな一発を入れたのは、お前が初めてだ・・・」
「へぇ、初体験
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