Candy

 強い日差しが世界のすべてを焼こうとしている……そう思えるぐらいの暑い日、ボクとアリスは日差しから身を守るように木陰で休んでいた。

「暑いねお兄ちゃん。」

 アリスは少し元気なさそうに尻尾をだらんとさせ、上目遣いでボクの方を見ている。

「そうだね、ここまで日差しが強いんだし……家で絵でも描こうよ……。」
「もう、そう言ってここ数日ずぅっとおうちにいてたでしょ? ダメだよお兄ちゃん家の中にずぅっといたらカビ生えちゃうよぉ。」

 幼い顔をしながらお姉さんぶった事を言って可愛らしく笑う、少し落ち着いたのかボクの手を引いて。

「冷たい川までもうちょっとだよ、はやくいこっ!」

 そう言って少し早足で歩き出す、ボク達は日差しをさけ、休憩を繰り返しながらやっと目的地の小川へと到着した。

 ちょうど辺りの木々が影になっていて、冷たい風がボクの頬を撫で、その心地良さに思わず目を細めてしまう。

「ココはアリスの秘密の場所だよ、涼しくって気持ちいいんだから。」

 川を見てさらに元気がでたのか、アリスは走りだし、途中でサンダルを脱げばそのまま川へと入っていった。

「お兄ちゃん冷たくてきもちいいよぉ!」

 はしゃぎながら川の水をてにとり、頭からかぶって大きく手を振ってボクを誘う。

「コラ、急に水に入ったら危ないよ」

 そう言って近づけば、アリスは思いっきりボクに水をかけてきた。

「ほら、気持ちいいでしょ?」

 まあ、確かに気持いいけど、いきなりはひどいなぁ。

「やったなぁ!」

 ボクも続けて川に入り、両腕で思いっきりアリスに水をかけていく。楽しいのかアリスはきゃぁきゃぁ言いながらボクに水をかけてくる。

 こうやって川の中で水遊びをするのはいつぶりだろうか? 疲れた頃にはもうふたりとも水浸しになってびしょ濡れになっていた。

「あはは、びしょびしょぉ」
「このままじゃ風邪ひいちゃうね。」

 川からあがってくれば、とりあえず身体を温めようと木々の間から日が差し込む場所に向かった、アリスは嬉しそうにボクと腕を組もうとする……水に濡れぴったりと衣服が彼女の肌に張り付き、身体のラインを顕にしている……いや、ボクはそういう、アリスのような小さい子は守ってあげたいなというか、遊んだり一緒にいるのが楽しいのであって、そう、そういう対象として見ているわけじゃないんだ、えっと、その……。

「お兄ちゃんどうしたの?」

 アリスが心配そうな顔をして、下からボクの顔を覗き込んでいた。

「い、いやなんでもないよ、早く暖かいとこで身体を乾かさなきゃ」

 日の当たる場所へと向かう、日差しは先程の焼き尽くすような暑さではなく、ボクらの身体を暖めるような優しさを感じる。

「んぅ、服も乾かさないと。」

 いきなりアリスは服を脱ぎだす……って、ちょっと待ってくださいアリスさん、無防備なのも度が過ぎますよ!

「あ、ボクは向こうに……。」

 そう言ってボクがこの場を離れようとすると、服の裾を掴まれた

「ここじゃないと、風邪ひくよぉ、ほらお兄ちゃんも脱ぐ脱ぐ!」

 すでに素っ裸になっているアリスはつかんだボクのシャツを脱がし始める。

「あ、ちょ、ちゃんと自分で脱げるからいいよ。」

 アリスがボクのズボンのベルトを外そうとする手をつかんで止め、ボクはしかたなくズボンを脱いでいく、しかたないんだ、しかたない……服乾かさなきゃ風邪引いちゃうし。

「あ、お兄ちゃん落としたよ。」

 ボクのズボンのポケットから落ちたものを見つけ、ボクへと差し出してくる。

「ああ、レモンキャンディ……ポケットの中に入れっぱなしになってたんだね。」
「キャンディ! もらっていい?」
「え、いいけど……。」

 ボクの返事を聞き、アリスはキャンディの包み紙を開こうとする、だけど少し溶けているようで包み紙がひっついているようだ。

「ボクが開けてあげるよ。」

 そう言ってキャンディを返してもらい、丁寧に包み紙をはがしていく、レモンキャンディがみえればアリスの口に運んで。

「はい、あーん」
「あーん」

 ボクに言われるまま開いたアリスの口に、キャンディを放り込む。

 コロコロっと口の中でキャンディを転がし、頬を押さえながら可愛らしく微笑む……やっぱりこの子は可愛い、この笑顔を見ると幸せを感じる……あ、でもやっぱり服は着ててほしいな、視線が何故か下に、あ、がんばれボク、今の幸せそうなアリスの顔を、顔を見るんだ、うん、あの膨らみかけの胸とか、まだその生えてないアリスの股とかを見るんじゃない、そうだいいぞボクの理性、そして視線、その笑み、その最高に可愛い顔を見てればいいんだ!

「んに? お兄ちゃんもキャンディ欲しい?」
「え?」

 じっとボクの目を覗き込むアリス
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