「きゅうひゃくっ、きゅうじゅうっ、はちっ。きゅうひゃくっ、きゅうじゅうっ、きゅうっ。」
ぶんっ、ぶんっと乾いた音が夜の訓練場で、鳴り続けている。
軽服では肌寒く感じるほど、冷えた夜にも関わらず青年の足元には、汗で水たまりが出来ていた。
名前はルッツ 自警団に所属する数少ない人間だ。
「せ、んっ。ふっ、ふぅっ、終わっ、た。」
地面に大の字になり天を仰ぐ。荒くなった息は、なかなか元には戻らない。
「おい!いつまでやっているんだ!」
右手側から大きな声が聞こえてきた。あの声は隊長かな
「またお前か、自主訓練はほどほどに、と言っているだろう。」
やっぱり隊長だった。
デュラハンの隊長 テア 自警団全員から慕われているすばらしい人だ。
僕が剣士として目標としている人だ。
そして密かに叶わない恋心も抱いている
「少しでも、多く、鍛錬して、おきたかったので」
「そのままではいつか体を壊すぞ」
「ただでさえ、剣を、使えていないので、せめて素振りでも、と思いまして。」
「それは毎日聞いている、だがお前は人間だろう。魔物ほど体も強くないんだ、それを分かっているのか?」
「わかって、ますが、」
「だったらしっかり体を休めろ、これは命令だ」
これも毎日のこと、でも休む時間があるならそれを鍛錬に回さないと、僕はまたおいていかれる。
しかし命令されると断る権利はなくなる。
「わかり、ました、休ませて、いただきます。」
立ち上がると少しふらついたが問題ない。いつものことだ
「しっかり水分を取ってから休めよ!」
「はい!」
今日の鍛錬も終わった。
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さて、書類整理も終わったし、見廻りだな。
くぅぅ、体が固まっているな。背骨のあたりがバキバキ鳴っている。
どうせまた、いつものように訓練場で剣を振っているのだろうな。
はち、じゅう、ご。
ほらな、休めと言っているのに。
まぁ、気持ちはわからんでもないがな。
真面目だが要領を得ていないんだよな、アイツは。
それに自警団仲間は魔物がほとんどだから、尚更自分に要求してしまうのだろうな。
さ、そろそろ止めにかからないとな。
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う.ん...朝か
体が重たい...
でも朝のランニングしないと。
今日は打ち合いか......
1勝くらいしたいな。
ようやく30キロ走り終わった。
だんだんこの距離を走るのも慣れてきた。
じゃあ今日使う道具の準備しよっと。
「今日も早いな、ルッツ」
「隊長!おはようございます。」
「ああ、おはよう。なあルッツよ。準備をしてもらうのは有難いが、ルッツにとって得も無いだろう?なぜ毎日雑務を自らやるのだ?」
「なぜ、と言われましても出来ることは極力やっておきたいので、やっているとしか言えません。」
「真面目なのは良いが、やりすぎだぞ。私の仕事がなくなるではないか。」
「隊長は書類整理や、他国との合同訓練の日程決めがあるじゃないですか。だから隊長の負担を減らしておきたいんです。」
隊長に迷惑をかけてばっかりいるから、せめてもの償いだ。
キィンッ
金属音が響いた。
打ち込まれる剣戟をぎりぎり防ぐので精一杯だ。
鈍い衝撃が右腕に走る。
「もらった!」
剣が喉元に突きつけられた。
「・・・降参」
両手を挙げて抵抗の意思がないことを相手に見せる。
また勝てなかった。
「やっぱ弱いですよね、先輩。」
後輩のリザードマンの言葉が突き刺さる。
「弱い、かぁ そうだよね、ごめんね練習相手にもならなくて」
卑屈になってしまう。これも嫌なのに
「そこまでは言ってないですけど、まぁ、はいもう少し強いほうがこちらとしてもありがたいです。」
素直が故に遠慮なしの物言いが追い打ちをかけてくる。
「「打ち合い、ありがとうございました。」」
もっと、鍛錬しないと。
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ふむ、表にしてみると勝敗がわかりやすいな。
さすがはリザードマンといったところか。
10戦10勝とは期待が持てそうだな。
まあ負けたら自警団を辞めるかもしれんがな。
ルッツは・・・相変わらず1勝も出来ていないのか
明日辺り直々に指導してやるか。
よしそうしよう。
せん、にひゃく、さんじゅう、ろく
ん?ルッツは1000回の素振りで終わりじゃなかったのか?
あのバカが、体を壊すと言っているのに。
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1000回の素振りと500回の木偶人形へ模擬刀での斬りかかり、これが日課だったけれど、
今日から1500回の素振りと1000回の木偶人形への斬りかかりに変えた。
「やっぱり、向いてないんだろうな」
数をこなすぐらいしか鍛錬の種類
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