よくある話だった。
俺には家族がいない。教団の人たちによれば、どうやら『ゴブリン』に殺されたらしい。
これも、よく聞く話だ。
だからこそ、だった。
……俺が、ゴブリンを殺す為の作戦を考えたのは。
───
単純な話だった。
新人とパーティを組んでくれる人などそうそういない。
故に『剣士』『魔術士』『僧侶』『盗賊』『戦士』と五人集まったが、全員が冒険を経験していなかった。
だから、なのだろう。
「おい。……僧侶と戦士は、どこ行ったんだ?」
「わからない。でも、二人で先にいっちゃったから……」
真っ先にしくじった。
巣に入るなり、罠を見つけたという二人が居なくなった。
ガタイのいい元修行僧だという戦士と、鎖を全身に巻き付けた妙な格好のシスター。
シスターが罠を見つけたなどと言って彼を連れて行ったきり、どこにも居なくなっていたのだ。
「……恐らく。二人は既に。」
「マズいねぇ。……先を急ごう。まだ生きているかもしれない。」
急かす魔術士の言葉は最もだ。
急がなくてはならないのは事実だったのだから。
───しかし、急いでいても焦ってはならなかったのだ。
「……
#8265;」
盗賊が解除に失敗してしまった、アラームのワナ。
そして、それはつまり足元にいた魔物娘に先手を譲ってしまったという意味でもあり。
「……ふふ、ふ。見つけた。交わろう、交尾しよう?ねえ、旦那様……!」
「や、助け……!」
盗賊青年の伸ばした手を掴もうとするが、足元にいたバブルスライムの匂いに目をやられてわずかに逸らしてしまい。
……そして、二度と彼の手を掴むことは出来なかった。
「……ま、魔道士さん!メンバーが半数切っちまったし、早く撤退を!」
「その必要は無いよ。……来たみたいだ。」
混乱に溢れた巣の中、しかし入口から足音が響く。
───全身に鎧を纏った、小柄な人影。
「……ゴブリンじゃぁ、ないのぉ?。」
響く、綺麗な声。
ああ、助かった。
そう思い、駆け寄った瞬間だった。
「……眠りたまえ。」
「───え?」
後ろにいた魔道士に、何故か突然睡眠魔法をかけられた。
……どうしてだ、助けてくれ。
そう思って鎧の方に手を伸ばしたが、直後にその手を止めることとなった。
「……人間を犯す者、だよぉ。私はお前にとってのゴブリン……なのぉ。」
「みんなにとってゴブリンだけどね?」
魔道士の言う通り、目の前にいた全身鎧は……
ゴブリン、だったのだから。
─────
鼻腔を突くのは、むせ返るような雌の匂い。
さらに耳をつんざく嬌声と仄かな光を前に、俺はようやく目を覚ました。
「……え?」
困惑。
真っ先に感じたソレと共に、俺は射精していた。
───目の前で腰を振る少女の膣内に。
「あ、ああああ……ッ
#8265;」
混乱で真っ白になる脳。
そして、相変わらず目の前では角を生やした年端もいかぬ少女が、野生動物のような激しさで腰を振り続けていた。
……その股ぐらに目をやり、再び自分の股間に目を戻し。
───繋がっているということを理解し。
「……ふふふ。お兄さん、すっごいんだね?私、もう三回もイッてるんだよ。」
一拍遅れてようやく脳に響く刺激を「快楽」だと理解。
その瞬間、混乱は興奮へと様変わりしてしまい……
「ひ、うっ……!」
「ああああああッ!ああ、キタ!濃いの、中に出されてるの!」
再び、少女の膣内にとてつもない量の精を放った。
……辺りで尻や浅い胸を使って必死に誘惑してくる少女達の姿からして、恐らくとっくに2桁ではすまない回数射精しているのだろう。
にもかかわらず、俺のソレは萎える気配が無かったのだ。
「……ははは。酷い顔じゃないかぁ、剣士クン。ゴブリンを殺すだとか酷いこと言っていた癖にね。」
後ろから、魔道士の声が聞こえた。
それと同時に、ようやく彼がした行動の意味を理解する。
───グル、だったのだ。
「なぁにそれぇ!」
「今じゃ捕まって孕ませ棒だもんね。何言われてたっていいもーん。」
「ふふふふふふ、もっと出してもらおっと。」
───ゴブリン。
快楽に脳を灼かれながらも、ようやく持ち直す。
そうだ。
俺はゴブリンを倒しに来たのだ。
だったら、ここで倒れているわけには行かないのだ……!
「ふっ……!」
「やんっ……
#8265;あ、逃げた
#8265;」
後ろにいる少女達だが、生憎ドア付近には誰もいない。
逃げ切る。そして、入口から毒でも流し込んで倒す。
そう考えた瞬間だった。
「──やぁんっ」
ぽふり。
頭が突然、甘い香りと気持ちのいい柔らかさに包まれた。
「……ひぁっ……!」
頭ではなく、心でもなく、魂で理解してしまった。
目の前の相手には……勝てないと。
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