宝石店で出会ったセレンから渡された黒いカード。そこに金色の字で記載されているCouple lovey doveyという宿のある場所へ2人は歩いていた。時間はお昼すぎ、黒いカードの裏には金色で簡易的な地図も書いており、魔法なのか地図には現在地が点で表示されていた。その地図を頼りに街の通りを進んでいけばかなり大きな建物が目の前に現れる。
「こ、ここだよね?」
「間違いないだろう。この地図通りなら目の前の建物だな」
「お屋敷みたいだね...」
「紹介されたんだ。中に入ってみればいい」
クレアはそう言うと驚いているアルの手を引いて、大富豪が住んでいるとしか思えない大きさの屋敷へと入っていく。入り口に着けばメイド服姿の若い女性と執事服を着た若い男性が立っており、近づいてきたアルとクレアにメイド服姿の女性が駆け寄っていく。その女性は黒髪ロングであり、メイド服越しでもかなり立派な胸をしているのがわかる。
『ようこそ、いらっしゃいませ。当ホテルは紹介状が必要なのですが、何かお持ちでしょうか?』
「しょ、紹介状...?」
「ふむ、宝石店のセレンというものからこのカードをもらったのだが、これではだめか?」
『黒色のカード......かしこまりました。こちらは、通常のお客様達の入口のため、こちらへ......』
メイド服姿の女性は2人を連れては屋敷の外回りを歩いていき、奥へと進んでいけばまた大きな建物があり、メイド服の女性が大きな建物の扉を開けては2人を中へと誘導すると扉を進む。中はシャンデリアなどの高級品と一目でわかるようなインテリアや調度品があり、受付と思われる場所には、和服に狸のような耳や尻尾があり、頭には葉っぱを乗せた刑部狸が居た。
『いらっしゃいませ。お泊りですか?休憩ですか?それとも一夜のうわ......』
「それ以上は言わないほうがいいぞ?狸よ?」
完全に目が笑っていない状態で刑部狸を見て言うクレアに苦笑してはコホンとせき込む。
『じょ、冗談冗談。こわいのぉ』
「えーと...数日間、泊まりたいんですけど」
『あ、わかりました。えーと、とりあえず、1週間のお泊りとして、延長する場合は言っていただくというのはどうでしょうか?』
「あ、それじゃあそれで」
「すごい口調の変わりようだな」
『仕事用の言葉遣いはあると便利です』
刑部狸はそう言いながら台帳にいろいろと書いており、部屋を確認している様子である。そして、1枚の紙をアルとクレアの前に差し出す。その中には屋敷内の利用方法について同意欄と名前記入欄。そして、アダルトグッズの有無、風俗利用の有無、嗜好など普通は聞かれることすらない内容があった。
「えーと......ここから下も書かないとだめですか?」
『はい。その内容で部屋の準備を行わせていただきます』
「風俗利用有無って......」
『独身の魔物娘たちからお好きな子と3Pや見せつけプレイをしたいお客様にはかなり好評です』
「アル。そこから下は私が書こう。大丈夫だ。アルを他の者に触らせるなどさせない」
「う、うん......」
クレアの真剣な表情にアルは名前と食事有無について記載した後は紙とペンをクレアに渡せば、すぐに書き終えると刑部狸に渡す。その内容を見た刑部狸はチラリとクレアを見た後、台帳に紙を挟めば立ち上がり、壁にかかっている鍵の1つを2人に渡す。
『こちらがお2人のお部屋を開ける鍵です。奥の階段を昇っていただければ標識がございますので、従っていただきますようおねがいします』
「わかりましたー」
「よし、アル。行こうか」
「うん!」
アルとクレアが手を繋いで奥へと歩いていき、階段へ昇っていくのを見送れば刑部狸は椅子に座ると先ほどの受け取った紙を眺める。
『かなりメロメロなドラゴンじゃのぉ。嗜好の欄に、旦那様が望むプレイならなんでも、と書いておるドラゴンは初めてじゃな。さて、風俗は無しじゃが、アダルトグッズと......おお、これも有りか。ふふ、あんな小さい子がドラゴンをメストカゲにさせておるとは、あのドラゴンもかなり幸せ者じゃのぉ』
刑部狸は書類を仕舞うと椅子に座りなおすのであった。
そんなことを刑部狸が言っていることを知らない二人。奥の階段を昇っていけばいくつかの扉があり、アルとクレアが階段を昇り切れば矢印が床から浮き出てきたため、その方向に向かって歩いていくと壁に浮き出ている矢印と床からの矢印に示されている扉がある。
その扉に鍵を挿してはガチャリと回せば扉を開ける。部屋の中にはリビング、キッチンやお風呂など、住むとしてもまったく困らない設備となっていた。
「すごい...クレア、すごい広い!!
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