転校生

教室の中に入ると、空気がいつもと違うように感じた。
まあ、それも仕方ないのかもしれない。何故なら今日は転校生が来るからだ。
友人から聞いただけなので詳しいことは分からないが、親の事情らしい。
とは言っても、俺自身は転校生にあまり興味がないんだが……。
実際に転校生とすぐに仲良くなれるのは明るい性格の奴だけだろうしな。
仲良くなれるならそれに越したことはないが、残念ながら転校生は女の子らしい。
なら異性よりも同姓の方が仲良くなりやすいだろう。
けれども話すことになる可能性は低いがないわけではない。
もし転校生と話すことになったら、どんな話をすればいいか……。
そう思考していると扉からガラガラッという音がした。
……どうやら先生と転校生が入ってきたみたいだ。
先生と転校生と思わしき女の子は黒板の真ん中より少し右ら辺で止まる。
周りの人も先生が来たことに気がついたのか、徐々に静かになっていく。
こちらへ向いた先生は生徒が完全に黙ったのを見計らってから喋り始めた。

先生
「えー、今から転校生のマイちゃんだ。仲良くするように。」

マイちゃんと呼ばれた転校生は、こちらを向いてお辞儀をした後に自己紹介を始めた。

転校生
「初めまして、舞と言います。マイちゃんって呼んでくれると嬉しいです。」

マイという名前らしい転校生は自己紹介を終えると先生に指示された席へと向かった。
……女子とは聞いていたけど、ここまで可愛い女の子だったとは……。
正直、こちらを向いて全体像がよく見えるようになった時は胸がドキッとした。
日本では珍しい赤色のポニーテールに気が強そうなツリ目。
出ているところは出ているのに腰は細めのボンキュッボンスタイル。
特におっぱいが凄い。ブレザーの制服を押し上げていてかなりエロい。
ミニスカートと黒いニーソックスの間にある絶対領域が眩しい。
はっきり言って好みの外見だ……まあ、あくまでも外見は好みってだけだが。
大切なのは外見だけじゃないからな……中身が最悪だったら美人でも仲良くなりたくない。
そんなことを考えていると転校生がこちらに歩いてきて、隣の席に座った。

マイ
「初めまして、仲良くしてくださいね?」

……はい?
おい、ちょっと待て。いや、本気で待ってくれ。
転校生……もうマイでいいか。マイはここから少し離れた席のはずじゃ……?
先生は左側の席を指差したはずなのに、右側にいる俺の隣に座るのは一体?

マイ
「えっと、名前を教えてくれますか?」
ケイト
「……ああ、ごめん。俺の名前は敬兎(けいと)って言うんだ。」
マイ
「ケイトさんですか……素敵なお名前ですね!」

うーむ、少し話しただけで判断するのもあれだけど、いい子っぽいかな?
少なくとも性格が最悪ってことはなさそうだ……じゃなくて!
何故左側を先生が指差したはずなのに右側の席に来たのかが聞きたい。何となく。
もし間違って座ったのなら言ってあげないと……ところで元々隣だった奴はどこへ?

ケイト
「ところで、マイちゃんは──」
マイ
「私のことは呼び捨てで呼んでください。」
ケイト
「え?いや、でもまだ会ったばかり──」
マイ
「呼んでください。」

なにこれ怖い。
ちゃん付けだと他人行儀に聞こえるのかね?俺はそうは思わないけど。
でも本人が呼び捨てで大丈夫って言ってるんだし、お言葉に甘えようか。

ケイト
「ゴホン……それで、マイは左側の席だったはずじゃ?」
マイ
「席を替わってもらったんです。窓側って日差しに当たるから苦手で……」

ふむ……お肌の心配ってところかな?
女の子は本当に大変だな。元々隣だった奴は窓際が好きって言ってたから了解したんだろう。
しかし、突然やってきた転校生が隣の席とか……少し運命を期待してしまう。
とは言っても、期待している展開にはならないと思うけど。










休み時間にはやはりというべきか、マイは質問責めをされたようだ。
でも次の授業の時に疲れた様子はなかった。慣れているのだろうか?
そんなこんなであっという間に時間は過ぎて、放課後になったのだが……。

マイ
「あの、ケイトさん。行きたいところがあるんですが、一緒に来てくれませんか?」

まさかのお誘いである。
いくら隣の席だからって、いきなりどこかへ行く時に誘われるとは思わなかった……。

ケイト
「ああ、いいよ。」

とはいえ、可愛い女の子からのお誘いを断れるはずがない。俺はもちろん了解した。
自分好みの女の子と一緒に行動なんてラッキーだからな。

ケイト
「じゃあ行こうか。それと、俺のことは呼び捨てで呼んでいいから。」
マイ
「はい、じゃあ喜んで呼びますね……ケイト。」

異性に呼び捨てで呼ばれるのって夢だったんだよな。まさか叶うとは……。
話も済んだので、俺は席
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