第二話「保護者は甘くて厳しく、子供は恐ろしい話」

アミチエ
「…………」

私の耳にビュウビュウと音が聞こえる。
しかし私の近くには雲ぐらいしかない。
それもそのはず、私は今、空を飛んでいる。
雲以外に何も、本当に何もないのか?と聞かれたらNOと言おう。
何故なら……。

リエラ
「そーらーは、広いーな♪おーおーきぃなー♪」
アミチエ
「リエラ、暴れちゃダメよ?」
リエラ
「はーい!」

私の腕の中には我が愛しの新しく出会った妹、リエラ・エルテージを抱えているからだ。
そう、私達は今、魔王城へ帰還するところである。

アミチエ
「リエラ、一気に飛ばして行くけど、大丈夫?」
リエラ
「大丈夫!問題ないよ!」

許可を得た私は早く魔王城に行ってリエラを見つけた報告をする為にスピードを上げた。
その途中、スピードを出しすぎてサキュバスにぶつかりかけたことは内緒。










リエラを連れ、魔王城に到着した。
思っていたよりも早く到着出来たようね。

アミチエ
「到着!予想より早かったわね。」

早く済ませるということは良いことだと思う。時と場合によるが。
しかし私は急ぐあまり、重大なミスを犯していた。

リエラ
「アミチエお姉ちゃん。」
アミチエ
「どうしたの?」
リエラ
「何して遊ぶの?」
アミチエ
「……しまった!」
リエラ
「お姉ちゃん?」

そう、ナニして遊ぶのかを考えていなかった!
常に先を予測するのは大切だ。それが例え戦場でも、家事でも、勿論遊ぶのでも同じ。
ここが戦場ならば仲魔を失ってしまっていたかもしれない。反省しなくては……。

リエラ
「お姉ちゃーん?」
アミチエ
「…………そうね。」

ここで一番駄目なのは悩む行為に時間を消費にしてしまうことである。
せっかくの時間を無駄する気はないので、最善の策を急速に考えねばならない。
待つこと3秒……私は一つの案を考えたのだ。
私が考えた策とは!!!

アミチエ
「リエラの好きな遊びでいいわよ。」
リエラ
「ホント!?やったー!!」

リエラという激流に身を任せ同化することにした。
きっと瞬時に思いついた遊びよりも面白い遊びに誘ってくれることだろう。
私はそう確信している。

リエラ
「じゃあ!じゃあ!」
アミチエ
「うんうん、何して遊ぶのかしら?」
リエラ
「私ね!私ね!ほ――」

既に決定していたのだろうか?
リエラがなにして遊ぶかを言いかけた、その時だ。

???
「ん?あれはリエラ様!とアミチエ様!」
???
「やっと見つけましたよ!」

怒鳴り声がいきなり私達の会話に乱入して来た。
会話中にも関わらず、だ。ちょっと失礼じゃあない?
そんなことを考えている内に、二人の魔物娘がこちらへ駆け寄ってきた。

魔物娘A
「やっと見つかった……アミチエ様、感謝致します。」

そう言うとペコリと頭を下げてきた。
礼儀正しいのはいいことだと思うわ。
だけど今の私は休息の時をリエラと一緒に過すことをご所望なんだけど……。
そんなことを考えていると、もう一人の魔物娘が質問をしてきた。

魔物娘B
「一体リエラ様はどこにいたのですか?」
アミチエ
「例の『謎の花園』にいたわ。」

謎の花園……それは近くの魔界に存在する何故か魔界化しない花園のことである。
一体どういう原理で魔界化しないのか、一切不明。
だがエロい事件は発生しないので人間が安心して遊べる数少ない場所なのだ。
特に危険もないどころか、安全すぎるぐらいなので現状は放置されている。
一部の魔物娘からは「早急に魔界化させるべき」との声も上がっているが。

魔物娘B
「あの花園ですか……全く、出掛ける時はちゃんと誰かに言うようにと言いましたよね?」
リエラ
「うぅ……ごめんなさい……」
魔物娘B
「分かれば良いのですよ、リエラ様。」

流石に無断で出掛けてしまったことは悪いと思っているようで、ちゃんと謝った。
偉い偉いと褒めてあげたいところね。というか褒めちゃう。我慢って何かしら?

アミチエ
「よく素直に謝れたわね。偉いわよ、リエラ。」
リエラ
「本当?」

ここでポイントなのはさりげなく頭を撫でること。これが出来る姉の秘訣よ。

魔物娘A
「では、我々はリエラ様を発見したことをご報告に行ってまいります。」
魔物娘B
「アミチエ様、リエラ様をどうかよろしくお願いします。」

そう言うと二人共頭を下げてきた。
……計画通り。(ニヤリ

アミチエ
「それじゃあ、お仕事頑張ってね。」
魔物娘A
「お気遣いありがとうございます。」
魔物娘B
「それでは、これにて失礼しますね。」
リエラ
「ばいばーい。」

リエラが手を振って二人を見送る。
二人も手を振りながら歩いて行き……そして分岐点を曲がったので見えなくなった。
遂に来た……これから、可愛い可愛い私の妹と遊び尽くす!それが
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