遺跡が襲われ、相打ちを狙い、最後の力を振り絞った一撃を賊―今やメルシス様の旦那様だが。―に放った時、メルシス様は長い眠りから覚め復活なされた。
因みに、旦那様の当時の相方は今二人目の門番をしている。
メルシス様がお目覚めになられてから、順調に魔界化が進行しており、業務が増えた。
具体的な数字で表すと、3倍に。
まず今までの遺跡管理。これは問題ない。
次に、オアシスへの入植希望者の整理。オアシスが広がりつつあり、最近では、どこから来たのかアルラウネの姿も目撃されている。発見した以上は書類等々提出してもらねばならないのだが、夫持ちの固体はまだしも、夫なしの場合はこちらから行かねばならない。
3つ目にオアシス内の巡回取り締まり。これも厄介だ。人、魔物が増えればそれだけ諍いも増える。
全て一人で行っているわけではないのだが、なにぶん人手不足だ。仕方ない、といえば仕方ない。
メルシス様が復活された以上、今まであまり関係の無かった魔界化が進んだのだ。もちろんうれしい悲鳴ではあるのだが……
そんなこんなで正直、キツイ。
いくら種族的に管理が得意とはいっても町の大きさが比例するに従って私の業務は増えていく。
ワークホリッカーなジャイアントアントに来てもらおうか……
…いかん少し疲れているな。私は。
ジャイアントアントは肉体労働派だ。
もう寝よう。
ベッドに寝転ぶとすぐに睡魔が襲ってきた。
翌日。
ファラオの部屋へ昨日の事柄を説明に向かったところ、中から
「もっとじゃ!!もっと突くのじゃ!!」
「そ…そう……じゃ!!!!」
「は…激し…ッ!!」
「きひゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ま…だ…まだじゃ…まだ乾くのじゃ!!」
「今度は妾が動いてしんぜよう」
「ほれ!ど…どうじゃ?気持ち…良か…ろう?」
「イケ!イッて…ひぁ!」
「だ、だめじゃ!そ…なた……に動かれ……んぁぁああ!!」
「妾だけイッてしまったではないかぁ…」
「もう一度、も一度じゃ!!」
……どーしよ。濡れてきた。
「何やってるんですか?ナスターシア様?」
「きゃいん!!」
首だけ振り返ると昨日散々私を逝かせまくったマミーのセムが後ろから抱きついてきた。
「ナスターシア様?」
あぁやめろ。
「な・に・を・されていたんですかぁ?」
み、耳に吐息を吹きかけるなぁ〜!!
ついでに胸を揉むな!!く、クセになってしまうだろうがッ!?
セムの拘束を振り解き、対峙する。
「き、昨日迄のの、てて定期報告をしに参ったただだけだッ!お、お前こそここで何をしている?」
盗み聞きしてたのはばれてないな!?
い、いや。アレは事故だ。うむ。
事故なんだ。私がそう決めた。今決めた。
「?」
きょとんとしているセム。
「わたしはメルシス様とカイル様にご朝食をお持ちしただけですよ?」
「そ、そうか……しかし、この匂いはなんだ?」
「これですか?」
開けられた蓋から酷い香りが流れる。これは毒だ。間違いなく毒だ。
私の鼻が警告している。これは毒だ!と。
「セム。おまえまさか…」
血迷ったか?
「はい。」
そうか、そうなのか…
「先日、お見えになられたエキドナ様から頂きました、アンデッドハイイロナゲキダケのスープですわ。とてもおいしく出来上がっていますわ。」
満面の笑みを向けてくるセム。
……アレ?
「そ、そうか…」
…私の早とちりだったか。
「?」
腑に落ちない面持ちで部屋の扉をノックするセム。
「入れ。」
内からメルシス様の声が聞こえる。
どうやら朝の一戦は終結したようだ。
「「失礼します」」
「おぉ…セムとナスターシアか。」
メルシス様はベッドから身体を引き起こし、こちらにお顔を向けて下さる。
「はい。ご朝食をお持ち致しました。」
と言うとテーブルの上に二人分の食事を置き
「御苦労。下ってよいぞ。」
一礼をすると退室していった。
「ナスターシア?」
「は。昨日までの入植希望者と巡回記録をお持ち致しました。」
と、羊皮紙の束を執務机の上に置き私も退室しようと踵を返そうとした所で
「御苦労。してナスターシアよ?」
いかがされたのだろうか?
「滾ったかぇ?」
「はひ?」
まさか………バレテイタノカ…
「主の夜伽を盗み聞きするとはとんでもない雌犬じゃのぅ?ん?」
「は。いや。それはなんと申しましょうか……」
不味い。どうしよう…ドウシヨウ…不可抗力だったと申し開きをするか…素直に非を認め誤るか。
不味い。まずい。マズイ!
旦那様に牙を剥いた時よりやばい!!
張り詰めた空気が一層張り詰め、暑い砂漠にある遺跡の中なのにこの寒さは何だというのか?
「ぷ」
不意に。
「くくく」
メルシス様の顔が緩み。
「ふぁ〜っはっはっはっは!!」
笑い声が響いた。
「冗談じゃ。」
「はへ?」
我ながらなんと間の抜けた声だろうか。
きょ
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