これは、時を遡ること一週間以上前からの日々の出来事……。
〜〜〜(名も無き孤島)〜〜〜
「……そう怖がるな。一瞬で終わる」
「待ってくれ!この子達は関係ない!頼む!止めt」
「うっせぇんだよ!」
バァン!
「ひっ!」
「…………」
「…………」
「……あ……あれ?痛くない……?」
「……ま、まさか……撃たれてない?」
「ル、ルミアス君!リズさん!大丈夫かね!?」
「え、ええ……」
……あいつらみんな、撃たれると思い込んでいたのだろう。だが、それは勘違い。俺はアルグノフも、後ろのエルフ二人も撃っていない。
「おい、後ろを見ろ。危ないところだったな」
「え?」
俺はアルグノフたちの背後を指差した。
「う……うぁ……」
「な!?こ、こいつら何時の間に!?」
そこには、俺の左腕のマシンガンで撃たれて、肩口から血を流して身悶えている男がいた。その右手にはダガーナイフが握られている。憶測だが、後ろからエルフたちを襲うつもりだったのだろう。
「いや待て!どういう事だ!?何故味方を攻撃したのだ!?」
「何を誤解している。俺は船のクルーの名前と顔は全員キッチリと憶えているが、少なくともこれだけは言える。そんな奴、俺の船には乗ってない」
「なに!?それでは……味方じゃないのか!?」
「言っただろ?そこのド阿呆を片付けるってな」
俺は左腕の銃口から湧き上がる煙に息を吹きかけて消した。
「ガロ、その野郎を海に捨てろ」
「御意!」
俺の命を受けたガロは、機敏な動作で男の元へ近寄った。そして……。
「忍法!風遁螺旋昇!!」
ビュゥゥゥゥゥゥゥ!!
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
強力な竜巻が発生し、男の身体が海の彼方へと吹き飛ばされ、哀れにも頭から海へと沈んでいってしまった。
「い、今のは……!?」
「中々良いだろ?ガロは幼少時からジパングにて忍者の修行を積み重ねてきた、正真正銘の忍びだ。尤も、今はアサシンだがな」
「……恐れ入ります」
ガロは俺に向かって深々と頭を下げた。
「さて……そんな事よりも、早速だがアンタらには今すぐ俺と共に来てもらおうか」
「……何故だね?」
「アンタらを助ける為……そして、奴の作戦を阻止する為だ」
「奴?」
俺は以前、ベリアルがまた良からぬ事を企んでると聞いた。なんでも、ドクター・アルグノフとか言う医者の誘拐を目論んでるとの事。詳しくは知らないが奴らの狙いがあの爺さんならば、俺らが先にアルグノフの身柄を確保しようと思い至り、この島へ来たのだった。
「詳しい話は後だ。今は時間が無い。とにかく、ジェノバ海賊団が来る前に付いて来な」
「ジェノバ海賊団?」
「アンタらを追いかけていた野郎共のことだ。俺らにとってもあいつらは敵だ。奴らの手から逃れる為にも、一先ず俺の指示に従ってくれ」
「……君を信用しろと?」
「……約束する。アンタらに危害は加えない。だから一緒に来てくれ」
後を付いて来るように手招きすると、アルグノフは真偽を見定めるように目を細めた。その後ろにいるエルフ……確か、ルミアスとリズだったか。その二人はどうすればいいのか戸惑った様子を見せている。
面倒だな……変に疑わないで付いて来てくれると助かるってのに……。
「……ん?」
ふと、何者かの視線を感じて、反射的にその方向へ視線を移した。
そこには、島の木々の枝に身を隠している二人の男が……って、まさか!
「伏せろ!!」
「え!?」
バァン!バァン!
「きゃあ!!」
ルミアスの悲痛な叫びは二つの発砲音によって掻き消された。
「ル、ルミアス君!」
「ルミアス!!……ああ、なんて事!血が……血が……!」
「だ、大丈夫。掠っただけみたい……」
苦痛の表情を浮かべながら腕を押さえてるルミアス。その二の腕辺りから鮮血が腕を伝ってポタポタと砂浜に滴れ落ちていた。
あの出血量を見るからに、本人の言うとおり掠っただけだろう。だが、気付くのが遅すぎたのは俺の不覚……。
「テメェら……このアホ共がぁ!」
島の木々に向かって左腕のマシンガンを乱射した。
「うぁっ!」
「ぎゃあ!」
すると、一本の木から二人の男が悲鳴を上げながら落ちてきた。二人とも右腕にはライフルを持っている。
あいつらはベリアルと同盟を組んだジェノバ海賊の船員だろう。だとしたら……他の船員ももうすぐ此処まで来る!
「うぉぉぉぉ!ドクター・アルグノフを捕らえろぉ!」
「奴らに逃げ場は無い!必ず取り押さえるんだ!」
早くも予感が的中した。島の奥からジェノバ海賊団と思われる野郎共の雄叫びが聞こえてきた。
もう来たのかよ……こちとら疑い深い爺さんたちの説得に手こずってるってのに。
「くそっ!もう此処まで来たのかよ!
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