「ベリアルが居る王の間とやらは、確かこの先だったな!」
「ああ、ようやくご対面か!」
俺はオリヴィアを連れて、ベリアルが待っているであろう王の間に向かって城内の廊下を走っていた。
シルクに教えられたとおりに進むと、巨大な金属製の赤黒い扉が見えてくるはず。その扉こそ、俺たちが目指している王の間の扉だ。
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
「!?」
「What!?」
そして走ってる最中、突然前方から複数の叫び声が聞こえた。
……おいおい……まさか……。
「うぉぉぉぉ!今こそ好機!忍び込んだ鼠を駆逐するのだ!」
「進めー!ベリアル様の下へ行かせるなー!」
……そのまさかだった。洗脳された兵士の軍団が、真正面から俺たちに向かって突撃して来るのが見えた。
くっそ、なんてこった……まさかの待ち伏せかよ……!
「ちっ!面倒だな!しゃぁない!相手するしかないか!」
「いや、キャプテンまで戦う必要は無い」
オリヴィアは真剣な表情を浮かべながら言った。
「私はともかく、キャプテンはあの男を倒すって決めたんだろ?だったら、あんただけでもベリアルの下へ行かなきゃならない」
「オリヴィア……まさか……」
「ああ、あいつらは私が引き止める!あんな奴ら、束になって来ても私一人で十分だ!キャプテンは先に行きな!」
ニヒルに口元を吊り上げながら言ってきやがった。
「馬鹿言え!仲間を置いて行く船長が何処に居る!戦うんだったら俺も一緒だ!」
「心配してくれるのかい?嬉しいねぇ。でも、キャプテンはこんな所で足止めを食らってる場合じゃないんだよ。その手で決着を付けるんだろ?それに、部下を信じて任せるのもキャプテンとして成すべき仕事じゃないのか?」
「お前……」
こいつ……無駄にカッコつけやがって。
……良い部下を持ったな。
「……そこまで言うなら任せる。だが、絶対に無茶だけはしないでくれよ?」
「OK!私に任せな!」
「……本当に分かってるのかよ」
自信満々に胸を叩くオリヴィア。その姿はなんとも頼もしく見えた。流石はドラゴンと言ったところか。
「キャプテン、私が奴らの向こう側まで連れて行く!」
そう言ってオリヴィアは背中の翼を羽ばたかせて宙を飛び、俺の背後まで移動した。
「それじゃ行くぞ……Let's flying!」
「うぉっ!?」
そして羽交い絞めするように俺の両脇を抱えて、兵士の軍勢の頭上を羽ばたいた。
「と、飛んだ!?」
「こら!降りて来い!逃げてないで戦え!」
困惑しながらも俺たちを挑発する兵士たち。だが、あいつらが持つ武器では、宙を飛んでるオリヴィアに届きそうにもなかった。
「よし、通り抜けたぞ!」
「ああ、よくやってくれた!」
兵士の軍勢を通り抜けたところで、オリヴィアは俺を地上に降ろした。
「さて……キャプテンは先に行っててくれ。私も奴らを片付けたら、すぐにそっちへ行く!」
俺を放したところで、オリヴィアは地上に降り立ち、踵を返して兵士の軍勢と対峙した。
見たところ敵の数は多めだが……オリヴィアならなんとかやってくれるか……。
「くそっ!なんたる不覚!敵に背後を取られるとは!」
「急いで追いかけろ!なんとしてでも討ち取るのだ!」
容易く通り越されて、多少慌てながら俺たちに突撃してくる兵士たち。
だが……。
「おっと……Firewall!!」
ブォォォォォォォ!!
「ぎゃあああ!あちちちち!」
オリヴィアの口から灼熱の炎が噴出され、兵士の行く手を妨げる壁となった。突然の火炎放射に兵士は戸惑い、あまりの熱さに立ち往生するばかりだった。
「さぁ、ここから先を通りたければ、この私を倒してみろ!」
「ひぃっ!」
仁王立ちで兵士たちを威圧するオリヴィア。女とは言えやはりドラゴン。その迫力に誰もが恐怖で立ち尽くしていた。
「……な?No problem!」
オリヴィアは俺の方へ振り向き、親指を立てながらウィンクしてきた。
確かに、これなら心配無さそうだ。それでも無茶だけは勘弁だが。
「頼んだぞオリヴィア!何度も言うが、絶対に無理しないでくれよ!」
「OK!」
その場をオリヴィアに任せて、俺は王の間に向かって走り出した……。
〜〜〜数分後〜〜〜
「これだな……!」
オリヴィアと別行動を取ってから数分後、俺はようやく王の間の扉に辿り着いた。
金属製の赤黒い扉……間違いない。これが目的の部屋の扉だな。
「この中に居るんだな……」
この扉の奥に……あのベリアルが待ち構えている。緊張の所為なのか……そう思うだけで身体が震えてきた。
十年以上の時を経て、かつて故郷を……カリバルナを牛耳ってた人物とこれから戦う。今思えば凄い事だ。まさか因縁の相手と対峙する日が来るとは。
だが
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