「Burning impact!」
「狐焔!」
ドォォォォン!!
「ははは!楽勝楽勝!」
「オリヴィアさん、油断しては駄目ですよ。まだ敵は残っているのですから」
「分かってるさ。この調子で行くぞ!」
「はい!」
楓と協力し合い、次々と立ちふさがる敵を倒しながら通路を駆け抜ける。
序盤から一気に攻めたお陰か、襲ってくる敵の数は、さっきと比べて少なく思えた。
「キャプテンは問題ないだろうけど……一応ここは敵のアジト。何があっても不思議じゃないな」
「そうですね。増援の方々が来てくだされば手っ取り早いのですけど……」
「ま、私らがやるべきことは変わらないし、頑張るしかないよな」
因みに今、キャプテンとは別行動を取っている。
アジトに突撃した直後から早くも30人以上は倒したが、三人で纏まって行動するより、別々に動いたほうが目的を達成しやすいとキャプテンが判断したため、二手に分かれて行動する事になった。
裏からリシャスとシルクも潜入してきてる筈だが、私たちが先に財宝やバルドを見つける可能性もある。その時はその時、目的の達成に越した事はない。
「……あ!オリヴィアさん、あの扉に何かありそうですよ」
「おお、確かに怪しいな」
そうしているうちに、前方に大きな扉が見えてきた。南京錠らしき物で固く閉ざされているのを見ると、何か大事な物が入ってると考えられる。もしかしたら、お目当ての財宝かもしれないな。
「よっし!楓、あの中に入るぞ!」
「え!?は、入ると言いましても、鍵が閉められてたらどうしようも……」
「鍵?んなもんどこにあるんだ?」
「へ?い、いや、目の前に……」
楓は走りながら前方の扉の南京錠を指差した。
……私から見れば、あんなの閉ざされてる内に入らない。
「いいか?扉を開けるのにな、鍵なんか要らないんだよ!」
私は一気に助走を付けて、両足に力を込めて……!
「Powerd crush kick!」
ドゴォン!
扉を力いっぱい蹴り飛ばした。頑丈な扉は呆気なく突き破られ、破壊音を上げながら無残に砕け散った。
「yeah!どうだ!」
「……もう、なんでもありですね」
「おいおい、忘れたのか?私たちは海賊だ。なんでも豪快にやらないと意味無いだろ?」
扉の残骸を尻尾で払いながら、背後で呆然としている楓に言い放った。
さてと、この部屋には何があるんだろうな。武器だったらホントに最高なんだが……ん?
「……これは……」
「……予想外の物でしたね」
楓と共に部屋へ入り、その中を見回して見ると、予想してなかったものが視界に入った。
財宝でも、武器でも、シルクの仲間でもない。それは……。
「虜の果実、ねぶりの果実、まといの野菜、タケリダケ……魔界の特産品ばっかりじゃないか」
「そうですね。もしかして、ここは食料庫なのでしょうか?」
「かもしれないな。だが……肉とか魚とか野菜とか、普通の食料は見当たらないな」
魔界で採れる特産品が大量に収納されていた。どれも有名な品で、魔物の間でも人気が高いものばかりだ。
「魔界の食料専用の食料庫……ではないでしょうか?」
「まさか……いや、まぁそれも考えられるか」
まさか、こんなアジトでお目に掛かるとは思わなかったな。だが……なんか引っかかる。
「……あいつら、なんでこんなものを溜め込んでるんだ?自分たちが食う訳でも無いだろうに……」
このアジトの海賊たちは、なんで魔界の特産品なんか集めてるんだろう?
此処が楓の言う通り、魔界の食料専用の食料庫だとしたら、当然ながら食べる為に保管してる。そう考えた方が自然だ。
だが、魔物ならともかく、インキュバス化してない人間が自ら魔界のものを食べるのは少し考え難い。海賊の中に魔物の船員がいるのなら合点がいくが、どうにもあの連中の中に魔物が含まれているとはとても思えないな。
……待てよ?転売が目的……ってのも考えられるが、果たして……。
「なぁ楓、あんたはどう思う?」
何気なく楓に話を振ってみたが……。
「……え?オリヴィアさん、今何か言いましたか?」
「……あんた、なにを楽しそうに虜の果実を手に取ってる」
「すみません。ここの特産品があまりにも新鮮で美味しそうでしたから、つい夢中になってしまいまして……」
「やれやれ、あんたらしいな」
当の本人は玩具を貰った子供のように、目を輝かせながら魔界の特産品に魅入っていた。
これも料理人の性ってやつか?まぁ気持ちは分からんでもない。私も武器を前にしたら同じ状態になるだろうしな。
「……あの、オリヴィアさん」
「ん?」
「もしも……今回の戦闘が終わったら、これ全部頂いても宜しいのでしょうか?」
楓が上目遣いで……しかも虜の果実で鼻から口を隠しな
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