戦闘開始!光の剣と、鋼鉄帝王

「さて……もうすぐ俺らの目的地に到着するが、そこで達成すべき目標は大きく分けて二つある」


夜の七時三十分……俺は船の仲間たちをダイニングに集わせて、これからの戦の作戦会議を開いていた。
シルクの一件で色々とあったが、目的地が同じと言う事で、別々の目的を抱えながらも同行することになった。
そしてその目的地とやらも既に見えている。此処から向かえば五分程度で着くだろう。


「アジトにある宝と、シルクの仲間……確か、バルドだったな?」
「ああ、宝を頂き、バルドを救出することが私たちの目的だ」
「それだが……前にも言ったかもしれないが、バルドの救出を手伝う代わりに、宝は全部俺たちのものって事で問題無いな?」
「ああ、構わない。バルドさえ救出できれば、宝はいらない」


だが、いざ戦うとなると、こっちは幾つか作戦を立てておく必要がある。
なんせ戦場は敵のアジト。海賊たちが拠点にしている城を戦のリングにした場合、当然ながら有利なのは敵の海賊たちだ。
俺たちが敵のアジトについて熟知していない分、なんとか有利になるように戦わなければならない。尤も、敵を全員ぶっ飛ばす必要は無いが……。


「それでさ……ちょっと僕の考えを聞いてくれるかな?」
「おうヘルム、なんだ?」


そこで会議に参加しているヘルムが自ら進んで発言した。
こんな時こそ、こいつの的確な意見やアドバイスは本当にありがたい。

「まず最初に、この中で戦闘力に自信のある人は手を挙げて」
「戦闘力?」
「ああ、例えば、そうだね……自分一人で敵を十人以上倒す自信がある人とか」
「それなら俺も楽勝だ」
「私も支障なく」
「Yes!私も!」
「私も、それくらいなら」

ヘルムの質問に答えるように、俺を始めとする数人の強者たちが次々と手を挙げる。
俺に、シルクに、オリヴィアに、楓……ん?


「おいリシャス、なんで手を挙げない?」
「ん?」


最初から会議に参加しているリシャスは手を挙げなかった。リシャスだって、教団兵を十人以上倒すくらい余裕なのに。
……まぁ、それよりも……。


「……いやそれ以前に、なんでそんなコリックにべた付く?」
「ん?夫婦ならば当然だろう?」
「いや、そうじゃなくてな……」
「ほ、ほら言ったでしょ、もう……キッド船長、本当にすみません……」
「あ、あはは……大変だな」


さっきからリシャスがコリックを後ろから抱きしめている所為で、妙に場違い感を醸し出している。
コリックの方はキチンと場を弁えているお陰で申し訳なさそうにしているが、リシャスの方は周りの目など全く気にしてない。
やれやれ……このモンスターワイフには困ったもんだ。


「あぁ、もうこの際そのままでいいや。で、アンタ、なんで手を挙げなかったんだよ?その気になれば敵十人くらい余裕だろ?」
「確かにそうだ。だがな……」


リシャスは威圧的な鋭い視線をヘルムに向けて言った。



「なんでこんなモブ同然のヘボ男に命令されなければならないのだ!!」
「ガーーーン!」



……出たよ。リシャスのポイズンスペル(毒舌)


「いやさぁ、こんな時にまで言う?そこまで言う?僕、一応副船長なのにさ……なんでまた……もうイヤ……」


「あわわわわ!ごめんなさーい!」


またもやお決まりのパターン。
黒くてドヨ〜ンとしたオーラを出して、膝を抱えて落ち込むヘルム。
そんなヘルムに対して必死に謝るコリック。
そして、自分の言った事など気にせずに、悪びれた様子もないリシャス。


……この光景、もう何度目だ?


「……なぁ、あのヘルムとか言う男、相当傷つきやすいんだな……」
「ああ、昔からこういう奴なんだよ」
「なんだか色々と面倒くさそうな男だ」
「そう言うなよ、余計に凹むだろ」


シルクがこっそりと言ってきたが、まさにその通りだ。
昔から凹みやすい性格で、俺も何度振り回された事やら……。


「……で、その戦闘力がどうかしたのか?」
「……え?あ、そうそう、それなんだけど……」


だが、流石に言われ慣れてきたのか、最近になって立ち直りも早くなってきた。やっぱり慣れって大事だよな。


「今手を挙げた人たちの中から、ちょっとした役を担って欲しいと思ってね」
「役?」


一体何の話だ?
そう思った瞬間、ヘルムの口から出たのは……。


「まぁ、結論から言うと……突撃役さ。その人たちには、一足先にアジトで戦ってもらいたい」




〜〜〜(数分後)〜〜〜



「あれか……」
「外にいる見張りは少ないようですね」
「中には沢山いるんだろうな……腕が鳴る!」
「どうせ大した相手はそれ程居ないだろう」


と言うわけで、作戦会議を終えて数分後……俺と楓、リシャスとシルクは竜化したオリヴィアの背中に乗せてもらい、敵のア
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