ザパァン!
「よし、野朗ども!やっちまいな!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
キッドの海賊船、ブラック・モンスターから次々と武器を携えた船員たちが教団兵に挑んで行った。対する教団兵も応戦を試みるが、突然の敵の来襲に的確な対応が出来ずに苦戦を強いられてるようだ。
「奈々!大丈夫!?」
「すみません船長!僕が目を離した隙にルト君が……!」
「おう、美知代!それに武吉!こっちは大丈夫だ!」
すると、背後から美知代と武吉が慌てた様子で駆け寄ってきた。二人とも怪我はしてないようだし、何事も無かったようだ。
「ちょうど良かった。二人とも、ルトを頼む。今度はちゃんと守っててくれよ!」
「分かったわ。それにしても、どうやら形勢逆転みたいね。それも……思わぬ助っ人が来てくれたお陰で」
「あぁ、詳しい事情は分からないが、一緒に戦ってくれるみたいだ」
「まぁ、そう言う訳でよろしくな」
「え、えぇ……」
美知代と武吉もキッドの出現に驚いてるようだ。
そりゃそうか。つい数日前まで話題になってた男が目の前に現れたんだ。事実、俺だってこれでも少し驚いてる。
だがまぁ、理由はともあれ助太刀してくれるのはありがたい。ここは一先ず共闘した方が良い選択だろう。
「アンタ、確か奈々……だよな?あの兵士の軍団は俺の仲間たちに任せれば大丈夫だろう。問題はあのちょび髭のオッサンだが……」
「あぁ、気を付けろよ。ああ見えて意外とそれなりに強い」
「だろうな……」
俺とキッドは横に並んでモーガンを見据えた。モーガンの方は分かり易くも、形勢逆転されて顔に苛立ちを表している。
雑魚敵はキッドの部下たちに任せれば問題は無い。だが、厄介なのはこのモーガンだ。破壊力抜群のハンマーに奇妙な魔術……戦闘に秀でてるのは確かだ。一筋縄では勝てない。
「こうなれば……邪魔する者は一人残らず消し去ってくれる!」
モーガンは改めてハンマーを構え直し、俺とキッドを睨みつけて漆黒の殺気を放った。
とことん邪魔をされて癪に障ってるようだな。モーガンの野朗もそろそろ殺しに掛かってくるだろう。俺も本腰を入れないとな!
「……言っておくが、あのちょび髭野朗は俺が止めを刺す。それだけは譲れねぇな」
「そうか。それじゃあサポートはするが、最後は任せても良いか?」
「勿論」
俺とキッドは同じタイミングで武器を構え直し、戦闘の姿勢に入った。
キッドが一緒に戦ってくれるのはありがたいが、止めを刺す役だけはどうしても譲れない。こいつは……こいつだけは俺が倒してやらないと気が済まない。
何よりも、今まで残酷な虐待を受けてたルトの苦しみを晴らしてやらないとな!
「お喋りは終わりだ!覚悟しろ!」
こっちが色々と話してるうちに、モーガンの方から凄まじい勢いでこちらに駆け寄ってきた。
おっと、呑気に話してる場合じゃ……。
「悪いな!一番手はやらせてもらうぜ!」
「あ、おい!」
俺がモーガンを迎撃しようと思った瞬間、キッドが先陣切ってモーガンに突っ込んだ。
「うぉら!」
するとモーガンはキッドに向かってハンマーを縦に振り下ろした。鋼鉄の塊がキッドの脳天目掛けて振り下ろされる。
このまま直撃すれば一溜まりもないが……!
キィン!
「……そんなもんかよ?」
「ば、馬鹿な!剣の切っ先で……!?」
なんと、キッドは右手に持ってる長剣の切っ先でハンマーを受け止めてしまった。ハンマーと長剣……破壊力を考えればハンマーの方が圧倒的に上なのに、勢いを止められてピクリとも動かなくなってしまなんて……。
どうやらモーガンもかなりの怪力だが、キッドの腕力も相当なものなのだろう。
「ほら、腹がお留守だぜ!」
「グハァッ!」
「まだまだぁ!」
「ごぁあ!?」
その隙にキッドは左手のショットガンでモーガンの腹を撃ち抜いた。防ぎようのない攻撃に怯んでしまい、一瞬の隙が生じる。そこを突いたキッドは素早くモーガンの横面に回し蹴りをお見舞いした。
「くっ……おのれ、小僧……!」
「ほらほら、どうした?」
蹴られた反動で五、六歩程後退はしたが、倒れないようになんとか踏ん張ったようだ。しかし、しかめっ面を浮かべてるモーガンに対してキッドは余裕の笑みを浮かべている。
成程……どうやら噂通り実力も相当あるようだな……って、呑気に見てる場合じゃねぇ!
「おい、一人で勝手に楽しんでんじゃねーよ!あいつは俺が止めを刺すって言ったのによ!」
「あぁ、悪い悪い。つい出来心でな」
「何が出来心だよ、ったく……」
このままボケッと傍観してちゃ、うまいところ全部持って行かれちまう。俺は急いでキッドの隣に移動してモーガンに向き直った。
「貴様ら、図に乗るなぁ!」
「あぁ!?」
しかし、相手も黙ってない。モーガンはハ
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