ドカッ!バキバキ!ドォン!
「オメェ等!この調子で一気に攻めるぞ!だが最後まで気ぃ抜くな!」
「うぉぉぉぉぉ!!」
俺のデカい号令に雄たけびで応えながらも、仲間たちは敵との戦闘に尽力を尽くしている。
戦力的な人数はどう見ても敵側が有利に見えるが、正直言って笑っちまう程手応えが無い。それに比べて、こっちは一人ひとりが戦闘に長けてる為、大人数相手でも苦戦する事無く次々と敵を倒せる。
戦闘における経験の差が俺たちを有利にさせたと言っても過言ではなかった。
「この化け物め……せめて船長だけでも!」
すると、敵側の男が殺意を漲らせながら、ナイフで俺を刺し殺そうと俺に向かって突進してきた。
おーおー、おっかねぇ野郎だな。だが、勢い任せの戦いは利口じゃねぇ。
「悪ぃな。俺の方が勝ってる」
「あぁ!?」
俺は慌てる事無く、突っ込んでくる男に向かって……。
「リーチがな!」
ドガッ!!
「ぐぁ!?」
「隙だらけなんだよ……おぅらよっとぉ!!」
「おわぁぁぁぁ!?」
二つの金棒を繋げて作られた俺の愛用武器……鉄砕棍の先端を男の腹に突き出す。そして男が怯んだ隙に棍を水平に振って男を海へと叩き落した。
「やれやれ、練習にもなんねぇなぁ」
棍棒の先端を木造の床に置いて呆れ気味に首を振ってやった。
なーんか最近、手応えの無ぇ雑魚しか会ってねぇなぁ。もう少し俺を楽しませてくれる猛者はいないのかよ。
「だぁ!畜生!テメェら、何やってんだ!この能無し共がよぉ!」
船の奥からやけに野太くてガラガラな声が聞こえて、反射的にその方向へ振向いてみる。大き目の帽子を被ったガラの悪い男がサーベルを持ったまま怒鳴り散らしていた。どうやらあの男が敵の親玉らしいが、見るからに悪そうな男だな。
うっし!敵の雑魚共も大体片付いたし、ここは仲間たちに任せても大丈夫だろう。
「奈々!敵の親玉を倒すんでしょ!?こっちは心配無いから、早く言って頂戴!」
すると、すぐ後ろで両手の二本の短剣を駆使して敵と戦ってるアオオニ……もとい、副船長の美知代が頼もしく言い放った。
俺が考えている事をすぐに見抜くとは……流石は俺の相棒!
「すまんな美知代!ここは頼んだぜ!」
お言葉に甘える事にした俺は、早速敵の親玉をぶっ飛ばす為に全力で突撃を始めた。
「おらおらおらぁ!どけどけどけぇ!」
「うわぁ!あれって敵の船長dぶへぇ!」
「ぶっ飛ばされたくなかったら道を譲りなぁ!」
蜘蛛の足を器用に動かし、全力で走りながらも周囲の雑魚敵共を棍棒で次々と叩き飛ばしていく。誰もが俺を食い止めようとしたが、その前に俺に突き飛ばされるのがオチだった。
「……よう、仕留めに来たぜ」
「なっ!?アイパッチを付けたウシオニってことは……長曾我部奈々!」
「ん?俺の名を知ってたか。嬉しいねぇ!だが、お前はここで海に沈んでもらおうか」
そしてようやく敵の親玉の前に着くと、親玉は俺を睨みつけながらサーベルを構えた。俺のチャームポイントでもあるアイパッチで気付いたらしいが、どうやら俺を知ってるらしい。
まさか俺も海賊としてそこそこ有名になったか?悪い気はしねぇな。
「……ま、まさか船長自ら首を捧げに来るとはなぁ!お陰で余計な手間が省けたぜ!褒めてやるよ!」
「おいおい、こんな圧倒的な差を見せられておいて、よくそんな口が叩けたもんだな?」
「ふん!戦闘も出来ないクズ共をぶっ飛ばしていい気になってんじゃねぇぞ!俺は周りの雑魚共とは違う!」
「……あ?」
自分の部下を雑魚呼ばわりした親玉に対して不快感が募った。
この野郎……仲間をなんだと思ってやがるんだ?自分を支えてくれる部下の有り難味をちっとも分かってないようだな。
「テメェらの相手なんてなぁ、俺様一人で十分なんだよ!全員残らずミンチにしてやる!」
下種な笑みを浮かべながら親玉がサーベルを構えて俺に突っ込んでくる。だが、どの様に足掻いたところで、俺を倒すなんて無理だな。
特にこいつみたいな下種野郎には尚更無理だな!
「死ね!」
親玉が俺の頭目掛けて垂直にサーベルを振る。だが俺は……。
カキィン!
「どわっ!?」
棍棒を勢い良く振り上げて、親玉のサーベルを弾き返してやった。弾かれたサーベルは男の手から離れて空中を舞い、仕舞いには船の床に突き刺さった。
軽く振ってやっただけなのに、こうもあっさり武器を弾かれるなんて……見掛け倒しって奴だな。わざわざこんな奴に余計な時間を掛ける必要も無い!
自分を支えてくれる仲間を雑魚呼ばわりする野郎は、海へ沈めてやるぜ!
「オメェなんか好みじゃねぇから、海の娘にくれてやるよ!」
「え、ちょ!や、止めろ!止め……ん、んむぅぅ!」
休む暇も与えずに蜘蛛の尾から糸を
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