「ついた〜!」
「ここがシャルミッシか……大きな街だね」
「早速色々と見て回るか」
「せやな。しかし、中々楽しそうな街やな」
現在13時。
私たちはシャルミッシと言う大きな街を訪れていた。
シャルミッシとは親魔物領の大きな街で商売が盛んな街としても有名である。そこで折角だから旅に必要な物を買い揃える為に寄る事になったのだ。
「あのお店で売ってるジャガイモ安い!ここで買っておこうかな?」
「あ!アイスクリームやさんだ!サマリお姉ちゃん、一つかってもいい?」
「アメリちゃん、先ずは旅に必要な食材を買ってからだよ。アイスはその後に買ってあげるから」
「うん、わかった!」
「へぇ、武器屋なんて店もあるんだな」
「ん?なんや、ユウロ?新しく武器でも買うつもりか?」
「まさか、俺にはこの木刀だけで十分だ」
そして私たちは街の店を色々と見回りながら歩いている。
見たところお店で売られてる商品はどれも安い。商売が盛んで有名なだけはある。
「号外!号外だよー!」
「ん?」
すると、ハーピーと思われる魔物が大声で叫びながら新聞を配っていた。どうやら配られているのは号外の新聞らしい。
でも号外と言う事は……何か大きな事件でも起きたのだろうか?
「号外だって。何があったんだろう……」
「とりあえず、あのハーピーのお姉ちゃんに一まいもらってみよう」
「そうだな。すいませーん、一枚くださーい!」
「はいはい、どうぞ!」
号外の記事の内容を確認する為にハーピーの下へ歩み寄ると、ハーピーはユウロに号外の記事を手渡した。そして皆で一緒に号外の記事を見てみると……。
「なになに……『無敵の黒ひげ海賊団、教団の戦艦を無傷で沈没!伝説の名に偽り無し!』……海賊か……」
「教団の戦艦を!?戦艦って、かなり強いんでしょ?それを無傷で沈めるなんて……」
「けっこうつよいんだね……!」
なんと、黒ひげ海賊団と言う海賊が教団の戦艦を沈めたとの事。見出しのすぐ下には、黒くて長い髭を生やした中年の男の人が描かれている……いかにも海賊と言った感じの人だ。恐らく、この人がその黒ひげだろう。
教団の人たちでさえ強いのが沢山いるのに、戦艦ごと沈めてしまうなんて……相当の実力者なのだろう。
「あぁ、黒ひげ海賊団か……確かにあいつらなら余裕で出来るわ」
「え?カリンお姉ちゃん、黒ひげ海ぞく団を知ってるの?」
すると、何やらカリンが納得したかのように呟いた。
この反応からして、どうやら黒ひげ海賊団について知ってそうだけど……。
「ああ、実際に会った事は無いけどな。黒ひげ海賊団の船長を務めてるティーチ・ディスパー……通称黒ひげは極悪非道の海賊だと言われてるんや」
「極悪非道?」
「あくまで噂なんやけど、金や名声を得るためには女子供も容赦なく殺したり、自分の部下でさえ平気で見殺しにする男なんや。あと、これも噂なんやけど、教団の勇者の手足を縄で縛ったうえに、首に大砲の弾が付いた鎖を括り付けて、暗い海へ沈めたらしいんや」
「えぇ……なんだかこわいね……」
黒ひげの噂を聞いたアメリちゃんは、ちょっと怯えた表情を浮かべながら私の足にしがみ付いた。
でも、その話が本当だとしたらとんでもなく恐ろしい人なのだろう。号外の記事に描かれてる黒ひげの顔も、凄く悪そうに見えるし……。
「ただなぁ、この黒ひげについては情報が曖昧なんや」
「え?どう言う事?」
しかし、カリンが言うには黒ひげの情報は曖昧との事。
「それがな、悪い噂だけやなくて、良い噂まで流れてるんや。話によると、教団の勇者に殺されかけた魔物の子供を助けたそうやで」
「え?それ本当なの?だとしたら良い人だと思うんだけど……」
「いや、噂やから確証は持てないんや。本当なのかどうかも疑わしくてな……とにかく、こういった得体の知れない輩には近付かない方がええで。触らぬ神に祟り無しや」
「うん……まぁ確かにそうかもね」
魔物の子供を助けた……それだけ聞けば良い人だと思われるけど、噂は噂。そう簡単に信じ込むのは止めた方が良いだろう。
……あ、そうだ。海賊と言えば……。
「海賊か……そう言えばキッドさんたち、元気にしてるかな?」
ふと、頭の中にキッドさんたちの姿が思い浮かんだ。
「キッドさんか……今もどこかで仲間たちと一緒に冒険してるのかもな」
「ピュラ、元気にしてるかな……会いたいな……」
「また会おうって約束したんでしょ?それなら必ず会えるよ」
「うん!」
キッドさんは、旅の途中で無人島で遭難してた私たちを助けてくれた海賊だ。キッドさんの船、ブラック・モンスターに乗った日々の事は今でも憶えてる。
アメリちゃんにはピュラちゃんと言うマーメイドの友達が出来たり、ユウロは海賊の戦闘を経験して強くなったり、私
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