「ブォォォォォォォォォォ!!」
俺は目の前の現実が信じられなかった。人間だと思われていたタイラントが……異形の怪物に変貌してしまった。
全身真っ白のゴツゴツした皮膚、鋭い爪に長い尻尾、そして巨大な翼。蜥蜴の様な顔に銀色の角……真紅に光る両目が一層不気味さを漂わせてる。
まさか……この世にこんな化け物が現れるなんて……!
「……これは骨が折れそうだな……」
黒ひげは冷静さを保ちながら、改めて大剣を握り直す。
黒ひげは戦う気でいるようだが……それは俺も同じ!
「黒ひげ!俺も一緒に戦う!」
「キッド……」
「あれは一人で敵う相手じゃない!俺の仲間たちを守る為にも……拒否は受け入れないからな!」
「……勝手にするが良い」
俺は黒ひげの傍に駆け寄り、腰に携えてる長剣とショットガンを抜き取って戦闘の姿勢に入った。
ここでタイラントを抑えなかったら……俺の仲間たちまで被害が及んでしまう。それだけは絶対に避けなければならない!
「化け物め……覚悟しろ!」
俺は首に掛けてある青い貝殻のペンダントに念を送った。戦いの神アレスの力が込められた貝殻が光り輝き、俺に戦う力を与えてくれる。
この力を借りるのも久しぶりだな……。だが、あれは全力で挑まないと勝てない相手だ。何としてでも……絶対に勝つ!
「キッド君、黒ひげさん!私も戦うね!」
「微力ながら助太刀させてもらおう!」
すると、メアリーは拳を構え、バジルは二本のランスを手に取って戦闘の準備をしていた。
この二人が一緒に戦ってくれるのは心強い。
「あっははは♪自分から前に出ちゃって、そんなに死にたいんだね!」
戦う気を露にしている俺たちを見下す様な目で見ているタイラント。その巨体から出てる威圧感に圧されそうだが……今は怖気づいてる場合じゃない!
「死ぬ気はねぇさ!みんなで生きてこの島から出るんだよ!」
「あっははは♪その発言、完全に死亡フラグだよね?」
タイラントに向かって宣言したが、タイラントは不気味な笑みを浮かべている。
余裕をかましてるのも今のうちだ……!何が何でも勝つ!
「では……行くぞぉ!!」
「「「おう!!」」」
黒ひげの号令を合図に、俺、メアリー、バジル、そして黒ひげの四人は一斉にタイラントに向かって走り出した!
「羽ばたけ!ウィング・ファルコン!」
まずは手始めに、バジルが風の隼を生成して素早く隼の背中に跳び移った。バジルを乗せた隼は、巨体のタイラントの目線より高い位置へと羽ばたいた。
「鳴り響け!サンダー・ホーク!」
そしてバジルは雷の鷲を生成して、タイラントに向けて飛ばした。バチバチと電撃の音を響かせながら雷の鷲が勇猛に羽ばたく。
しかし……!
「ブォォォォ!」
タイラントは右腕を軽く振って雷の鷲を叩き落とした!氷の地面へと叩きつけられた鷲はバチンと破裂の音を立てた瞬間に跡形もなく消滅してしまった。
「甘いわ!私だっているのよ!」
今度はメアリーが背中の翼を羽ばたかせ、タイラントの顔面に向かって突撃した。
そして……!
「必殺!頭蓋割り!!」
「ブォウ!」
空中で一回転してからタイラントの頭に踵落としを繰り出した!
だが……タイラントも易々と攻撃を受けてくれる訳がない!タイラントは頭に生えてる銀色の角でメアリーの足を受け止めた。
すると、タイラントの角から光が……!
「ヘル・シャイニング・スパーク!!」
バリバリバリバリバリ!!
「きゃあああああああ!?」
角から放出された電撃がメアリーを襲った!
「あんたもウザいんだよ!」
バンッ!
「うぅ!」
更に追撃とばかりに、タイラントは巨大な手でメアリーを打ち飛ばした。あまりの威力にメアリーの身体は後方へと勢い良く飛ばされる。
ヤバい!あのままじゃ地面に叩きつけられる……!
「メアリー!しっかりしろ!」
「うぇ!?」
すると、隼に乗ってるバジルは、隼を素早く移動させて後方へと飛ばされるメアリーを受け止めた。
「あ、ありがとうバジル君……」
「礼はいいから、無茶だけはするな!危なくなったら逃げても構わないからな!」
「う、うん……」
顔を赤らめながらもバジルに礼を言うメアリー。
やれやれ、こんな時にあいつら……。
「ちょうど良かった♪二人まとめて八つ裂きにしてやるよ!」
タイラントは不気味に光る爪を構えてメアリーとバジルを襲おうとした。
あの化け物め……好きにはさせねぇ!
「余所見してんじゃねぇぞ!」
「うぐっ!?」
俺はショットガンでタイラントの腕を狙い撃った。そしてタイラントが怯んだ隙に、タイラントの下まで駆け寄り……。
「うぉんらぁあ!!」
タイラントの足を長剣で横一線に斬った!
どうだ!少しは効いたか!?
「……何やってんの?くす
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