「さぁ!まずは我が愛船ダークネス・キング号の力……その身を持って知るが良い!」
黒ひげの勇ましい叫びと同時に、黒ひげの海賊船ダークネス・キング号が五隻の教団の船に向かって進み始めた。
「黒ひげさんって、こんなに大きい船を持ってたんだね……!」
「ああ、海の中から出てくる船なんて初めて見た……!」
俺と共に船の甲板に立ってるメアリーは未だに興奮を抑えられないようだ。斯く言う俺も未だに驚きを隠せないでいる。
黒ひげ曰く、このダークネス・キング号は海中をも進む事が出来る船だとか。どういった経緯で海中に留まっていたのかは知らないが、船が海の中を潜れるだけでも驚くべき事だ。しかも…………!
「この船、風の影響を全く受けてないんだよな……」
「そうだね。風向きは進行方向とは逆なのにスピードが全然落ちてない……」
「フハハハハ!この船を動かすのに風など不要!強靭な精神力こそ、ダークネス・キング号の原動力ぞ!」
そう、この船は風の影響を受けてない。普通の船は帆に風を受けさせて海を進む原理なのだが、このダークネス・キング号は風の方向、強弱共に関係なく思うがままに進んでいる。
ダークネス・キング号を進めるのに必要なのは、この船の指揮棒と、それを操る為の精神力であるらしい。しかし、並大抵の精神力では操る事が出来ず、逆に指揮棒によって精神を狂わされてしまうとか。
現在のところ、このダークネス・キング号を操れるのは黒ひげただ一人のようだが……実際に指揮棒によって精神を狂わされた被害者が実在していたのは確かだと、黒ひげが話してた。
ただ、それほど厄介な物をこんなにあっさり使いこなすなんて……やはり伝説の海賊の名は伊達じゃなかった訳だ。
「くっ……!こうなれば迎撃するまで!みんな!あの海賊船を沈めるのよ!」
「了解です!ユカ隊長!」
突然、教団の船の一隻に乗ってる親玉とも思われる人物……ユカが兵士たちに命令を下した。
よく見ると……あの親玉は人間の女か。一見するとまだ年若く、いかにも堅物って感じで、男を寄せ付けなさそうな雰囲気だな。
いや……女はあの親玉だけではない。あの親玉が率いてる兵士まで全員女だ。
「ほう……女だけの部隊とは珍しい。だが、あれぞまさに絶好の獲物よ……!」
「獲物?」
「フフフ……そろそろ面白いものを見せてやろう」
それだけ言うと、黒ひげは胸元の内ポケットからダークネス・キング号の指揮棒を取り出し、振り返り際に指揮棒を船の中央部に位置する鋼鉄製の床に向けた…………。
「出でよ!究極大砲(アルティメット・キャノン)!!」
ウィィィィィィン…………
「!?」
すると、船の中央部の床が自動で開き…………!
ガシャァァァァン!!
「こ、これは…………!」
「た……大砲!?」
その床の下から、見上げてしまう程の大きさを誇る巨大な大砲が現れた!
「こいつは……でかい大砲だな……!」
「こんなのが船の内部に仕掛けられてたんだね……!」
「フフフ……驚くのはまだ早い」
俺とメアリーは究極大砲の大きさに驚きを隠せないでいるが……黒ひげは余裕を見せびらかすかのように不適な笑みを浮かべている。
しかし……こんなにでかい大砲となると……発射される玉も相当でかいんだろうな。
……ん?まてよ……これだけでかい大砲が乗ってるうえに、更にでかい砲弾が乗ってるとしたら……重すぎて沈んじまうんじゃないか?
「なぁ黒ひげ、この船って……これだけでかい大砲に加え、更に発射する為の砲弾も乗せてるんだとしたら……船に余計な負担が掛かるんじゃないか?」
「フン、甘いな……このダークネス・キング号は、そんじょそこらの船とは違う!どんなに重い物を乗せようとも、沈む恐れなど無い!」
「……まぁ、確かにこの船自体もでかいけどな……」
「それに……あの究極大砲を使用するのに砲弾など必要無い!」
「へぇ……って、え!?砲弾無いのかよ!?」
黒ひげの予想外の発言に耳を疑ってしまった。
……というか、発射する為の砲弾が無いんだったら、どうやって戦うんだよ!?
「案ずるでない。海上での敵との戦闘に、砲弾を使う必要も無い」
「……どういう事だ?」
「まぁ見ておれ。まずは一発……あの女共の船にお見舞いしてやる!」
黒ひげは徐に女のみで編成されてる部隊の船へと振り返り……。
「標的確定!まずはあの船よ!」
女の部隊の船に指揮棒を向けた。すると究極大砲が素早く旋回し、砲口が指揮棒と同じ方向へと向いた。
「ひゃあ!?こ、こっち向いた!」
「わ、私たち……此処で死んじゃうの……!?」
「みんな、落ち着いて!これは罠よ!あんな大きい大砲、見掛け倒しに決まってるわ!」
大砲を向けられた女兵士たちは一斉に怯えたが、それを窘める
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4 5 6..
9]
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録