只今、海賊船の上にて教団兵との戦闘中…………。
私ことオリヴィアも次々と襲って来る教団の兵士たちを薙ぎ倒している最中であった。
「紅のドラゴンめ……覚悟しろ!」
「上等!喰らえ!Tail whip!!」
「ぎゃああ!!」
私に襲って来る教団兵を強靭な尻尾で叩き飛ばしてやった。更に飛ばされた教団兵は海へ落とされ、間もなくスキュラに連れ去られて行った。
「やれやれ……どいつもこいつも、口だけは達者だな。教団なんて、そんなもんかな?」
「油断してたら痛い目に遭うぞ」
「おっと、Sorry」
すぐ近くでレイピアを振って応戦してるリシャスに注意されてしまった。
まぁ、そう言われても……見たところ特に強そうな奴らはいなさそうだし……このまま応戦していれば、特に問題は無いだろう。
「畜生……!やはり我々だけでは無理か……!皆の者!援軍が来るまで持ちこたえるのだぁ!」
教団の親玉とも思われる男が大声を…………って、What!?援軍だと!?
「……オリヴィア、今の聞いたか?」
「ああ……こりゃ長引くだろうな……!」
リシャスもしっかりと聞き取ったらしく、私に確認してきた。
参ったな……こいつらを全員海へ落とせばそれで終わると思ってたのに……!
あ〜あ、こりゃ武器を回収する時間も無いだろうな。ちょっと楽しみにしてたのに…………。
「…………ん?」
「どうした?余所見をしてる暇は無いぞ」
「いや、それは分かってる。でも、あれは…………」
「ん?」
ふと、私たちが乗ってる海賊船の近くに在る氷の島アイス・グラベルドの海岸に…………一人の人間の女が立っていた。
金色の長い髪で、白い服の胸元には十字架のマークが描かれている。そして銀色に輝く長い刀身の剣を右手に持ち、真剣な面持ちでこちらを見据えてる。
なんだ、あの女は?まさか、こいつらと一緒に来た兵士か?いや、それにしてはあの女だけ服装が違う。教団兵の服装にしてはやたらと高価だ。ましてや、何故あんな所へ…………?
「……30年と言う長い年月を経てもなお、魔物の繁栄は止められないと言うのですね…………!」
突然、金髪の女が嘆くような口調で言った。
おいおい、急に何を言い出すんだ?30年だと?突拍子もない事を…………。
「ですが、たとえどんなに魔物が増えようと、私は屈しない!我が名はタイラント!全ての人間に希望をもたらす勇者です!」
そう叫ぶと、金髪の女……いや、タイラントは剣を縦に振る構えに入った。
そして…………!
「受けてみよ!飛来する斬撃…………ムーン・スラッシュ!」
剣を振った瞬間、刃から三日月型の魔力が飛び出て来た!
「ちょっ!?まずいぞ!船に直撃する!」
三日月型の魔力は船に向かって物凄い速さで飛んで来る。
ヤバい!このままじゃ、船に当たる…………!
「そうは問屋が卸しません!」
すると、近くで戦ってた楓が大きな魔力の壁を作り、三日月型の魔力を防いだ。
危なかった…………楓の防壁が間に合わなかったら、危うく斬られたところだった……。
「Thank you!あんたのお陰で助かったぜ!」
「いえ、ご無事で何よりです。それよりあの人、手強そうですね…………」
「ああ、ありゃ厄介な相手だな…………」
楓の言った通り、あの海岸にいる女は強そうだ。このまま見過ごしていたら、また船が狙われる。
こっちは問題なさそうだし……私はあのタイラントを倒しに行くか!
「みんな!私はあの金髪の女をぶっ飛ばしに行くから、ここは任せたぞ!」
そう言い残し、私は翼を羽ばたかせ、タイラントに向かって飛んで行った。
もうすぐ敵の援軍が来るらしいからな……!すぐに仕留めてやる!
「喰らえ!Flying kick!」
「くっ!」
勢いよく飛行したまま、金髪の女に向かってキックを繰り出した。しかし、相手も咄嗟に剣で私の蹴りを受け止めた。
「この!離れなさい!」
「うぉっと!」
今度はタイラントが剣を振って応戦したが、私も後方に飛んで斬撃をかわし、一旦地面に着地した。
しかし……今の蹴りを真正面から受け止めるとはな。華奢な身体に見えるが、相当鍛え上げられてるようだ。
「これは想定外でした。まさか、ドラゴンが海賊の一味に加わってたとは……」
「そうかい?だったら自己紹介でもしておこうか?」
「いえ、貴方の名前に興味はありません。何故なら……貴方は此処で倒されるのですから!」
「言ってくれるねぇ……!でもな、そうやって大口を叩く奴は逆にやられるのがオチなのさ!」
「私は魔物に屈しません!この聖なる剣、シャイニング・カリバーの名にかけて……私は負けない!」
そう言い放つと、タイラントは剣を構えて戦闘の姿勢に入った。
この構え……出来るな!これは久々に手応えのある輩に会えたものだ
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