「よし!みんな、行くぞ!」
「ウォォォォォ!!」
僕らの海賊船ブラック・モンスターと敵の船が並び合い、海上での戦いが始まった。
船にいる仲間たちは次々と敵の船に乗り込んで戦いに挑んで行った。そして僕は、島に残って賞金稼ぎのバジルと一騎打ちしているキッドの代理として仲間たちの指揮を執っていた。
……本音を言うと、キッドについては心配だった。キッドを信じてない訳じゃないけど、相手は100人斬りを達成した実力者だ。勝てるかどうか以前に、キッドがそれ程の相手に対して無事でいられるかどうか……。
いや、心配していても仕方ない。僕は出来る事を精一杯やろう。
「ひっひっひ!こんな奴ら秒殺してやんよ!」
「一人残らずいてこませぇ!」
敵の海賊も黙ってない。奴らは次々と僕らの船に飛び移って攻撃を仕掛けてきた。
敵の数からして……やはり僕も戦うしかないようだな。
「ひゃはははは!まずはこいつからだぁ!」
ふと、僕の正面からガラの悪い男が剣を構えて僕に襲いかかって来た。
「……牛みたいに突っ込むだけじゃ勝てないよ?」
「うるせぇ!黙って死ね!」
男は剣を縦に振って僕に斬りかかって来た。しかし、僕は咄嗟に背中に掛けてある盾を取り出して攻撃を防いだ。
「戦闘において防御は要でしょ?」
「テ、テメェ!舐めやgうぎゃあ!?」
盾で攻撃を防いでる間に、僕は腰から剣を抜き取り男の腿を突き刺した。
「次からは鎧でも着るのをおススメするね。こうやって普通の蹴りでも防げるんだからさ!」
「ごはぁっ!?」
痛みで止まってる男の腹部目がけて力いっぱい蹴りを喰らわした。蹴られた男は後方に倒れ込み、痛みでもがき苦しんだ。
「にゃろめがぁ!調子ぶっこいてんじゃねぇぞ!」
今度は側面から別の男が小型のナイフを持って襲いかかって来た。
「刺されろ!」
「……聞いてなかったのかな?突っ込むだけじゃ勝てないって」
男はナイフを前方に突き出して僕を刺そうとした。しかし僕は咄嗟に身を翻してナイフをかわし、その隙に男の脳天目がけて盾を叩きつけた。
「がっ!」
「これはオマケだよ!」
「ぶべ!?」
気絶しそうになる男の顔面を盾で殴り飛ばした。殴られた男はその場で倒れ、そのまま気絶してしまった。
さて、これくらいの下っ端なら難なく倒せるんだけど……問題はそれより強い敵だね。僕だけじゃ心許ないから仲間たちに協力してもらって……
「ぎゃああああ!!」
「お助け〜!!」
突然、敵の船から断末魔の様な叫び声が聞こえた。
これは……僕の仲間の声とは違う。と、言う事は…………。
「コリックに掠り傷でも負わせてみろ!その心臓を抉り取ってやる!」
「な、なんでヴァンパイアが海賊船にいるんだよぉ!?」
「問答無用!覚悟しろ!」
「ぎゃあああ!怖いよ〜!!」
……結論が出た。
全く持って心配無し!
なんかもう、敵の船でリシャスが暴れまわってるし、敵の海賊たちもあまりの怖さに戦意を失ってるし。
それに…………
「リシャスさん、流石ですね!よし!私も頑張ります!」
楓を始めとした他の戦闘員たちも既に敵船に乗り込んで頑張ってるみたいだし……この調子なら勝てそうだ。
「Safe!まだ出遅れてないようだな!」
ふと、僕の背後からオリヴィアが駆け寄って来た。
そう言えば、オリヴィアはサフィアさんとメアリーを部屋まで護衛していたんだった。
「オリヴィア、ご苦労さん。二人とも無事に部屋まで送れたかい?」
「……は?二人?何の話だよ?」
僕の問いかけに対し、オリヴィアは首を傾げた。
……ちょっと、冗談止してよ!本気で嫌な予感がするんだけど……!
「サフィアさんとメアリーだよ。二人を部屋まで送ったんじゃなかったの?」
「え?ああ、サフィアなら確かに私が部屋まで送った。でもメアリーの姿が何処にも見当たらなくて、もしかして既に貸した部屋に行ったのかと……」
オリヴィアの答えを聞いた途端、僕の頭に悪い予感が浮かんだ。
そう言えば、僕も船を出した時からメアリーの姿を見ていなかった。
てことは……まさか!
******************
「ち、畜生……!」
「へへ〜ん!奇襲作戦、大失敗♪残念でした♪」
船を下りて様子を見に行って正解だったよ。何やら森林の方向から怪しい気配を感じたと思ったら、先回りしてキッド君に奇襲を仕掛けようとしている海賊たちがいたからビックリしちゃった。
ま、その奇襲も私に見られた事で失敗になっちゃったけどね。
「チッ!速く敵の船長をぶっ殺して秘宝を奪おうと思ってたのによぉ!」
「……もしかして、あのバジルって人に命令されてたの?」
「……いや、俺たちが勝手にやろうとした。あいつ、雇われてる分際で面倒くさいんだよ!『卑怯
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