「う〜ん!着いた〜!」
お昼の三時頃、反魔物領を出てようやく目的地に到着する事ができた。
反魔物領を上手く脱出するのには問題無かった。ホテルを出る時は正体がバレなかったし、反魔物領に停泊していた海賊船から小舟を盗むのも容易かった。
でもその後が大変だった。なんたって、乗ってた小舟に穴が空いちゃって危うく沈みそうだったんだから。
「……さぁて、どうしようかな……」
目的の島まで辿りついたのは良いけど、移動手段が無くなってしまった。さっきまで乗ってた穴あきの小舟は海に沈んじゃったし……今のところ、島を出る手段は皆無と言える。
「……ま、こんな所でウダウダしててもしょうがないよね」
私は徐に木々が立ち並ぶ森林へと視線を移した。この奥に秘宝が眠っているダンジョンがある……そう考えるだけで心がワクワクしてきた。
島を出る方法は後で考えるとして、まずは秘宝とやらをゲットしちゃいますか♪
「よ〜し!ファイトー!いっぱーつ!」
自分自身に気合を入れて、私は森林の奥へと足を踏み入れた。
待っててね、究極の秘宝さん!
君は必ず私が……この女海賊メアリーが手に入れてあげるからね!
****************
「これか…………」
あの海賊たちとの戦闘から一日が経ち、俺たちは『究極の秘宝』たるものが眠る島に上陸した。そして俺はシャローナと楓を連れて島の中央に位置するダンジョンの門前に立っていた。
お宝ってのは、その価値が高ければ高い程、入手するのが困難な場所にあるものだ。俺の読みが正しければ、手に入れた海図に書かれてあった『究極の秘宝』はこのダンジョンの中にあるハズ。このダンジョン以外にお宝がありそうな場所はなさそうだしな。
「ダンジョンと言ったら、やっぱり数々の仕掛けや罠があるのでしょうね……ちょっと不安です……」
俺のすぐ右側に並んで立っている楓が不安そうな表情を浮かべながら言った。
まぁ、そりゃあ究極って言われる程の秘宝が眠ってるんだろうから、このダンジョンも相当レベルが高いんだろうな。だが、そう思うと余計にゾクゾク感が止まらない。
「いいか楓、欲しい物ってのはな、目の前に障害が立ち塞がる程余計に欲しくなる物なんだよ。命がけで手に入れたお宝程輝いてる物はないのさ」
「そんな物でしょうか……?」
俺の言葉に対し、楓は苦笑いを浮かべながら答えた。
冒険の末に手に入れたお宝なんて、まさにロマンだろう。これってそんなに理解できないものかなぁ……。
「大丈夫よ楓ちゃん、もし怪我をしたら私が治してあげるから♪」
「シャローナさん……はい!ありがとうございます!」
ふと、楓の隣に立っていたシャローナが楓の肩を軽く叩いて安心させた。
シャローナってこういう時は頼もしいよな。変な薬を作って実験台にされるのは勘弁願いたいが。
「よし!そろそろ行くか!」
「ええ!」
「はい!」
俺が先陣切ってダンジョンの中へ進むとシャローナと楓も俺の後を追うように進み始めた。
さぁて、これから何が待ち受けるんだ……?例え何が来ようとも受けてたつぜ!
〜〜〜数分後〜〜〜
「…………」
ダンジョンに入ってから数分が経ち、俺たちは石造りの長い通路を歩き続けていた。
「……なぁ、一つ言いたい事があるんだが……」
長い通路は薄暗く、足元がよく見えない。
「はい……なんでしょうか?」
ただ、壁の至るところにランタンが掛けられてるのが唯一の救いかもしれない。
「俺達さ……結構歩いてるよな……」
「え?そ、そうね……」
しかし、それでも何か心に引っかかるものがある。
「歩いて数分は経ってるよな……」
「そうですね……」
「……で、それがどうかしたの?」
ダンジョンの入り口から中に入ったのは問題ない。この通路を歩いているのも問題ない。
でも、でもさぁ……。
「……なんで……なんでさぁ……」
「ん?」
「なんで何も起きないんだよぉぉぉぉぉ!!」
「ちょ、船長さん!いきなり大声出さないでよ!」
「わりぃ……あまりにもおかし過ぎてつい……」
「……えっと……船長さん、何も起きないって……どういう事ですか?」
苛立ちが募り大声を上げたところでシャローナに宥められ、俺は徐々に心を落ち着かせた。そして俺は楓の質問になるべく丁寧に答えた。
「よく考えてみろ。ここはダンジョンだろ?何かしらの障害物とかトラップとかが仕掛けられてもおかしくない」
「まぁ、それは確かに……」
「それなのにさ、俺たちは障害物に立ち塞がれるどころかトラップにも引っかからない。至って順風満帆。『究極の秘宝』が眠ってるダンジョンにしてはあまりにもレベルが低過ぎないか?」
「言われてみれば……」
俺の説明に対し、シャロー
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