「なぁ〜……いいだろ?」
「ダメ」
「い〜だろ〜?」
「ダメ」
「……どうして?」
「どうしても」
「Why?」
「なんでも」
「………………」
「………………」
「やだやだ!欲しい!欲しいんだよ!よこせ!よ〜こ〜せ〜よ!」
「駄々こねるな!」
船の甲板にて、周囲の目もくれずにオリヴィアが両手をジタバタさせた。実はついさっきまで他の海賊と戦闘して勝ったばかりだったが、その戦利品として黒い刀身の大剣を手に入れた。珍しい代物だから売り捌く事にしたが、オリヴィアが欲しいと言いだして……この有様だ。
全く、ドラゴンのイメージ丸潰れじゃねぇか……欲しいのは分かるけどよ……。
「お前には戦利品として綺麗な宝石をあげたじゃねぇか……」
「宝石なんか興味無い!私はその大剣が欲しいんだ!」
「あのな、俺たちが旅を続けるには金が必要なんだよ……」
「だったら、代わりに私の戦利品を売ればいいだろ!?」
「大剣の方が高く売れるんだよ!」
「Shit!だったら……無理にでも奪うまで!」
「おわ!こ、こら!止めろ!」
オリヴィアは俺が持ってる大剣を無理矢理盗ろうとした。それに対し俺は大剣を高く上げて盗られまいと抵抗する。
「欲しい!欲しい!ほ〜し〜い!」
「止めろっつってんだろ!」
オリヴィアは尚も大剣を奪おうと必死に迫って来る。
……ったく!武器好きだとは聞いたが、まさかここまでとは……!仲間に入れると決めた時は想定もしてなかった…………!
〜〜〜数日前〜〜〜
「……今、なんて?」
「だから、私をあんたらの仲間に入れて欲しいって言ったんだ」
オリヴィアの想定外の発言に俺は呆然としてしまった。
「……何で俺たちの仲間に入りたいんだ?」
「実はな、ここに来る前にちょっと武器庫を覗かせて貰ったんだ」
オリヴィアは楽しそうに笑いながら言った。
なんで武器庫なんか……って、そうか、大の武器好きだったよな。
「あれだけの量の武器を手に入れられるなんて、やるねぇ!それでな、あの大量の武器を見て気付いたんだよ!何時までも待ってるんじゃなく、自分から探しに行けば欲しい武器を手に入れられるってな!」
「……で、俺たちと同行しようと?」
「That's right!」
オリヴィアは指をパチンと鳴らした。
しかし、まぁ、入団希望ときたか……俺は悪く思わないんだが……。
「それだけじゃないでしょ?あなたが仲間に入りたい理由は」
突然、シャローナが話に割り込んできた。
なんだ?何か見通してるようだが……?
「会いたいんでしょ?ウィルマリナちゃんに」
シャローナはニヤリと不敵な笑みを浮かべながら言った。
……成程、そう言う事か。
それ以上の説明は必要無かった。オリヴィアはかつて人間だった頃のウィルマリナと戦ったが、決着をつける事はできなかった。再びウィルマリナに会って、その時の戦いの続きがしたいんだろう。オリヴィアは好戦的だから、決着がつかないなんて納得できないんだな。
「参ったな……ドクター・シャローナにはお見通しだったか」
オリヴィアは苦笑いを浮かべながら後頭部を撫でた。
「医療室で私たちがレスカティエに滞在していた話を聞いた時、あなた、結構戸惑ってたじゃない。まぁ、流石にウィルマリナちゃんの件は予想できなかったけど」
そんな話をしてたのか?しかし、シャローナの奴、意外と鋭いな…………。
「……それで、どうするの、船長さん?」
シャローナが俺に話を促した。俺はオリヴィアに向き直って問いかけた。
「海賊としての旅はかなり過酷だぞ?」
「ああ、覚悟はできてる」
そう答えるオリヴィアの瞳に迷いなんて物は無かった。
どうやら、その決意は揺るがないようだな。俺としても、オリヴィアの様な強いドラゴンが仲間になってくれるのは心強い事この上ない。
「……それじゃ、お前には戦闘員として仲間に加わって貰おうか」
俺の発言にオリヴィアは一瞬だけ驚いたが、徐々に喜びに満ちた表情を浮かべた。
「OK!宜しく頼むぜ!キャプテン・キッド!」
「お前の働き、期待してるぜ」
俺とオリヴィアは握手を交わした。
「期待通りの活躍を見せてやるよ!」
〜〜〜今現在〜〜〜
「頼むよ〜!次のバトルでの戦利品、全部あげるから〜!」
「ダメったらダメ!」
……で、その結果がこれだ。確かに、戦闘においては引けを取らない活躍を見せてくれるんだがなぁ……。
「キャプテ〜ン……お〜ね〜が〜い〜!」
オリヴィアが潤んだ瞳で俺を見つめてくる。
止めろ!そんな子犬みたいな目で俺を見るな!
「まぁまぁ、キッド、落ち着いてください」
「……サフィア?」
さっきまで戦利品の仕分けを見物していたサフィアが来た。そしてサフィアは宥めるような口調で言った。
「オリヴ
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