モフモフパニック!!

「え〜っと……これくらいで大丈夫だな」

医療室にて、俺は冒険の準備を進めていた。船は既に島に停泊してて、降りればすぐに上陸できる。後は消毒液や包帯など、怪我をした時の為の医療品を揃えれば出発できる。

「さて、行くか」

外でコリックが待ってるから速く行かないとな。待たせ過ぎると、またリシャスに文句を言われる羽目になる。
必要な物を揃えた俺は、引き出した物を早急に片付けて医療室を出て行った…………。



************



「さ〜て、次は何を作ろうかな〜?」

ダイニングで一休みした私は、新しい新薬を作る為に医療室に戻った。
実は以前に新しい薬が完成したけど、まだ実験は行ってない。今すぐ効果を確かめたいけど、試すには場所が悪いから、都合の良い時まで先送りする事にした。
今は新しい薬を作る段階に入ってる。次はすぐに試せる薬を開発しよう。

「……あら?」

私は、机に置かれてる手紙の様な物に目が留まった。手紙は空の瓶によって押さえられている。
そう言えば、船長さんが冒険の準備の為にこの部屋に入るって言ってたわね。この手紙は船長さんが書いたのかしら?
私は机の手紙を取って読んでみた。

「……え?」

その内容を見た瞬間、顔が青ざめた気がした。いや、間違いなく青ざめた。

「もしかして……!」

私は手紙を抑えてた空の瓶を見直した。
……間違いない!これは私が新しく作った薬を入れてた瓶だわ!
まさか……船長さんは既に島へ!?

「大変!急いで連れ戻さないと、船長さんが!」



************



「うわ〜……凄いですね…………!」
「ああ、こりゃ広いな…………!」

島を上陸して、生い茂る木々を抜けた先には、だだっ広い草原が待っていた。辺り一面短い草に覆われて、吹き抜ける風が爽やかな気分にさせてくれる。

「ここでのんびりと昼寝をしたら気持ちいいだろうな……」
「いいですね!あと、お弁当を持ってみんなで食べたら最高ですね!」

コリックは楽しそうに言った。
確かに、ここでみんなで宴ってのも悪くないな。もう少し探索して、本当に安全な島だと確認したら、夜になってから仲間たちを呼んで宴にしようか。
そう言えば、この島には誰かいるのか?草原に着くまでは誰にも会わなかったが…………。

「ねぇ、そこのお兄さん」

俺の疑問を解くかの様に、後ろから誰かが呼びかけた。振り向くと、狐のしっぽと狐の耳を持った女……つまり、妖狐が立っていた。
なんだ、ちゃんと島に住んでる人が居たのか。ちょうど良い、この島について色々と聞かせて貰うとするか。

「アンタ、この島に住んでるのか?俺たちは旅をしているんだが、この島には初めて来たんで、悪いんだが、この島について色々と聞かせてくれないか?」
「ええ、良いわよ。でも、それより……」

妖狐は俺に歩み寄ると、突然俺の腕を掴んできた。

「お、おい、アンタ…………」

予期もしない出来事に、俺は戸惑ってしまった。俺の腕を掴んでる妖孤は、どこか恍惚の目で俺を見つめ、狐のしっぽを揺らせて……。

「私の家に寄って行かない?そこで……エッチしましょ♪」
「……って、ちょっと待てぇ!」

俺は慌てて妖孤の腕を振り解き、距離を置く様に後退りした。黙って様子を見てたコリックも、オドオドしながら俺の後ろに回った。

「何考えてるんだ、アンタ!俺はただ、この島について色々と聞きたいだけで……!」
「島の事なら後で教えてあげるわよ。それより、ほら、恥ずかしがらないで、良い事しよ♪」

艶めかしい目で俺を見つめながら、妖孤は尚も歩み寄ってくる。
何なんだよ、一体……!?こいつも魔物なら、俺が既に嫁を娶ってる事だって判断できるハズなのに……!
すると……。

「こらー!ちょっと待つニャー!」

突然、横から甲高い声が響いた。そこにはワーキャットが立っていて、素早く俺の隣に駆け寄った。

「この人はアタシのものだニャ!胸だけが取り柄の狐はあっちへ行くニャ!」

……助けてくれるのかと思ったが、こいつもか……。

「あ〜、あのな……」
「ニャフ〜ン♪ご主人様〜♪ゴロゴロしてニャ〜ン♪」

俺の弁明を聞く前に、ワーキャットは俺の足に擦り寄ってきた。
一見すると微笑ましい光景なんだろうが……これだけは言える。このワーキャット、明らかに何かねだってる。

「ちょ、ちょっと!その人は私が先に見つけたのよ!横取りするんじゃないわよ!」
「お、おい!待て!」

妖狐は俺に駆け寄り、腕を掴んで自分の方へ引き寄せようとした。

「ああ、ちょっと!放すんだニャ!ご主人様が可哀想だニャ!」

それに対し、ワーキャットも負けじと俺のもう片方の腕を掴んで引き寄せる。

「誰がご主人様よ!図々しいのにも程があるわ!」
「無理に誘おうとし
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