第四話:武闘大会【前哨戦】

 円形の【コロッセオ】を大規模な魔力障壁で四分割した中に、これまた円形の石で出来た闘技場が設置され、都合30人程の戦士達がそれぞれに集められて、己の技能を披露していた。
 ……平たく云ってしまえば、勝ち抜き戦を行っていた。
 どうやら、あのAからZまでの文字は選手枠を表していたもので、それぞれの文字が書かれていたあの小部屋に集まっていた戦士達は、その選手枠候補であった、っという事か。
 そして、今僕はその選手枠を決めるための勝ち抜き戦を行っている、っという訳か。
 僕の所が確か「A」だから、順当に行っている筈なので、同じ様に勝ち抜き戦を行っている残りの3つの闘技場は、それぞれ「B」「C」「D」なのだろう。

 ――っといつもの様に冷静に状況把握しても、全く持って状況が芳しくならないのは、これまたいつもの事か……。

 僕は5人の人間の男の戦士達によって、闘技場の端まで追い込まれていた。
 半ば自分から下がったとはいえ、場外は即退場の規定の下では、非常に宜しくない事態である事に変わりない。
 5人の戦士達は、多分、「歳も若いし、片目が眼帯の制限もある僕から潰して、なるべく体力を温存して戦おう」との考えから、この様な行動に出ているとは思うけど……統率は取れていないし、僕への重圧の掛け方も中途半端、その上、人数で勝っているのに及び腰の者までいる始末じゃ、例え何かの間違えで勝ち残ったとして、次で負けるのは確実だ。
 そんな者のために選手枠を渡すのは勿体ないし、何よりも、僕自身譲る気なんてこれぽっちもない。
 挟撃、騙し討ちは、【戦場】では称賛されて然るべき行動であるため、この様な行動にでるのは、戦いの定石であり、何も恥ずべき事ではないけど、如何せんこの者達は実力が余りにも伴っていな過ぎる。
 僕みたいに全く前情報無く完璧な飛び入りじゃない筈だから、それなりに実力があるからこそ登録したと思うけど……これは酷い……。
 ちらりと男達の後方へ視線を向けると、半甲冑のプレートアーマーを着込んだ薄茶色の髪をした女性が【リザードマン】と互角以上の戦いを繰り広げているのを確認した。
 扱っている得物は――突剣と短剣か……。
 左手に持った短剣を前に出した半身となり、相手の攻撃を誘いつつ牽制し、実際に切り込んできたら、その肉厚で丈夫な短剣で受け流し、右手に持った突剣で適確に鎧や筋の隙間を穿ち、確実に相手の戦力を奪う。
 指南書通りの戦い方ではあるが、それ故に非常に理に適った戦法だ。
 しかも、あそこまで上手く受け流し、正確に鎧や筋の隙間を突ける所からして、あの女性は相当な使い手であると考えられる。
 確か突剣は大陸の貴族の間では、騎士道精神の象徴として扱われ、それを用いての戦闘は【決闘】となり、己が全身全霊を持って相手をするとの意味も持っていると聞いた事がある。
 ……まぁ、僕の情報は行商から聞いた事なので、どこまでが真実か解らないが、扱っている突剣の柄に華麗な装飾を施された手の甲を覆う湾曲した金属板が取り付けられている所や、半甲冑の背中に家紋の様な紋様が施されているため、それなりの家の女性で、かなりの実力を持っているのは確実だ。

「……をい、良い加減にしろよ……オマエ、今自分が於かれている立場が解っているのか?!」

 半甲冑の女性戦士の技量に関心していると、突然目の前の男達の1人から怒声を投げられ、そういえば余り宜しくない事態である事を改めて気付いた。
 事戦闘に関して、素晴らしい技術を見せ付けられてしまうと、如何なる時でもそちらに気を持って行かれてしまうのは、僕の悪い癖だ。
 直そうとは努力しているが、なかなかどうして難しい。
 これ以上、向こうに気をやってしまい、負けてしまうのは、本末転倒なので、改めて目の前の男達へと視線を戻した。

 ………………うん、これなら大丈夫だね。

 囲んでいる5人の男達の力量が一瞬で解ってしまう程度であったため、僕は軽く肩を落とし、息を吐き出して気持ちを切り替えた所で、若干右半身になって鞘に左手を当てると、5人から流れる気配が変わった。
 成る程、【それなり】には出来るみたいだけど……そこまでだね。
 再度男達の後方に視線を向けると、半甲冑の女性は、【リザードマン】を場外へ追い遣ったらしく、全身甲冑に身を包んだ大柄な戦士を打ち負かした【ミノタウロス】と対峙していた。
 拙いな……突剣の様な得物を扱う武術は、完璧なる力業と相性が良いと云えば良いが、基本的に長期戦となってしまうため、事【魔物】相手では、その体力の差から、負けてしまう可能性が高い。
 是非とも立ち会いをしたい身としては、ここで時間を使う訳にはいかない。

「――悪いけど、一瞬で終わらせてもらうよ」
「「「「「???」」」」」

 本来ならば、例え得
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