「――参ったな……完璧に道に迷ってしまったぞ……」
リザードマンとの戦闘を終え、逃げる様にその場を後にした僕は、何処かの店に寄る事もせず、出店の食べ物を2、3点程購入し、これまた逃げる様に街を出たのだが、如何せん未知の国だけ有り、地理が全く解らず、気が付いたら怪しげな森の中を彷徨っていた。
「船で買った地図に依ると、もうそろそろ小さな村に出る筈なんだけどな〜……」
「た、助けてくれ〜〜〜〜〜っ!!!!」
地図に視線を落としつつ歩いて居た僕だったが、助けを呼ぶ声を聞き、急いで地図を折りたたみ懐にしまい乍ら、声の発生源へと駈けた。
土が向きだしだが、人や荷馬車が通れる位の舗装をされた道を駆け抜けると、突然開けた所に出た。
「……これはまた凄い事に……」
どうやら僕の勘は当たっていたらしく、目的の村に着いたのは良いが、非常に拙い状態になっていた。
外部の脅威から村を守るための石造りの外壁は、その殆どが崩れ、中に点在している人家が丸見えだが、その人家も数得る程しか無事なのがない。
木々の影に隠れつつ、村の状況を把握していると、崩れた外壁の間だから、一人の男性が飛び出してきた。
「ひぃいっ! ひぃいいいいっ!!」
「何処に行く、人間」
息も切れ切れに飛び出した男性の後ろから、褐色の肌に特殊な幾何学模様を施した、起伏の激しい身体の女性が、無骨な作りの大剣片手に声を掛けた。
逃げ切れたと思った所に訪れた突然の言葉に、足を縺れさせ、顔から地面に倒れる男性。
急いで立ち上がろうとするが、足に上手く力が入らず、尻餅をついたまま後ずさり、女性から距離を取る。
男性の緩慢な動きとは反対に、女性はしっかりとした足取りでゆっくりと男性へと近付く。
こう云ってしまっては難であるが……完璧に狩る者と狩られる者の構図だ。
「オマエはわたし達の村に来るのだ。もしそれが厭なら――」
地面に突き立てた大剣を肩に担ぎ、空いた左手の人差し指を男性へと向けた。
「わたしと戦い、勝て」
男性の方は最早言葉が出ないらしく、唯唯首を左右に振り、尻餅をついたまま後ずさるだけだった。
見るからに戦闘に長けた肉体を持ち、定期的に村を襲っては、【男狩り】という夫捜しを行う――成る程、資料から得た通りだな。
そうなると、ここで彼を助けたりするのは簡単だが、あの所々から煙が上がっている村の中には、未だ複数の【アマゾネス】が居る事になる。
単騎ならばどうにか対応できる自信はあるが、流石に【魔物】相手に多対一は勘弁被りたい。
「――それと、先程からそこに隠れている者、姿を現せ」
木陰に隠れ乍ら、どうするべきか悩んでいると、突然、【アマゾネス】が声を上げた。
多分、僕の事を云っていると思うが、正確な位置迄は把握されていないと判断した僕は、白を切ってこのまま静観を決め込もうとしたが、前動作もなく【アマゾネス】が尻尾から何かを放った。
高速で飛来する謎の物体は、咄嗟に小首を傾けた僕の頬を掠めた。
……位置迄完璧にバレていましたか……。
自分の未熟な隠形技術に歯噛みしつつ、素直に木陰から姿を現した。
「随分と奇妙な格好と得物を持っているが……オマエも【戦士】であろう?」
「勿論、僕は【侍】だ」
「っ?!」
それまで僕に向けられていた視線に値踏み以外の何かが含まれた。
これは【興味】かな?
それとも――
「サムライ……ポルドゥール村の恐ろしく強い男が確かそれと聞いた事がある……気に入った! オマエを伴侶にする!!」
やっぱりか……【侍】だからと云って誰もが強い訳ではなく、ピンキリなのだが、大陸に於いての希少価値からか、こうなってしまうのね……。
先程まで追っていた男性はどうするのか?――っと尋ねようとしたが、いつの間にかいなくなっており、話しを逸らす機会を失ってしまった僕は、大きな溜め息を一つして、【アマゾネス】との間合いと気配を確認した。
彼女迄の距離は直線で約10間。今目の前に居る【アマゾネス】以外は未だ僕に気付いて居ないみたいだけど、ここで戦闘をしてしまえば、それも時間の問題。
両の腕を組み、如何にしてこの状況を穏便且つ素早く対処するか考えていると、突然、【アマゾネス】の後ろの壁に、僕にとっては非常に宜しくないシルエットの影が現れた。
「ネイル、いつまで掛かっている、そろそろ引き上げ――」
僕と目が合うと、言葉を切らした新たに現れた【アマゾネス】。
「スフィーか。今丁度――」
「サムライだ!!」
新たに現れたスフィーと呼ばれた【アマゾネス】は、そう叫ぶと同時に突っ込んできた。
常人には、認識できるかどうかの速度で急接近してくる【アマゾネス】に対して、最早考えている暇なぞないと判断した僕は、既に目の前迄移動してきている彼女に、申し訳な
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