新魔物国家に張り出された、物々しい張り紙より
WANTED
ヒノ・スティーヴン
殺傷の罪
特徴
顔面左部分の大きな火傷
身の丈ほどある黒塗りの柄の斧
刃を覆う鞘の飛竜の紋章
リザードマンはその跳躍をもって矢のような勢いで飛びかかってきた。無駄のない、シンプルゆえ速い突進だ。
「その首刈り取ってやる!」
叫び、そして鉄色の一閃
眼前を刃が通り過ぎる。あと少し後ろに飛ぶのが遅かったなら今頃首は自由を得ているだろう。
ーーー
認識の通りである。この男、強い。多くの敵を屠ってきた一撃を難なく回避される
「チィッ」
舌打ちが漏れる、しかし
(その長い斧ならば接近戦はできまい!)
やつの獲物の大斧は柄が二mはある。懐に入りさえすればそんなものは怖くないのだ。
だが
「ふんっ」
「ぐっ!?」
腹部に膝の一撃を叩き込まれた。瞬時に盾を挟んだものの衝撃が強い。
(体術の心得もあるか)
しかし、こちらには剣がある。手足の届かぬ、しかし斧を振るには近すぎる。その間合いさえ保てば負けはないはず。
「せあぁっ!!」
剣先を活かし、連撃を繰り出す。案の定やつは回避で手いっぱい防戦一方だ。
(いける!)
やつは剣に気を取られている、今なら、いける
ーーー
(やはりリザードマンは速い)
ヒノはその激流のような強く速い連撃をいなしながら、思考する。
(やはり場数を踏んでいるか、間合い取りがうまい。なかなかこちらの間合いをとることができない)
このままでは防戦一方だろう。いかにするかと考えるヒノは、突如として悪寒に襲われた
「っ!?」
「ぜあぁっ!」
突如として襲いかかる、一陣の風
ーーー
バックラーを握るてに合わせ、未だ鞘に収めていた曲刀をシャーロットは引き抜いた。東の島に伝わる奥義、イアイスラッシュ。
時空ごと刈り取るような刃の一撃が、処刑人の喉元に襲いかかる
(殺った!!)
確信と共に、その腕を振り抜いた
鳴り響く鉄器の音
手応えは、硬い
「バ……バカな!?」
刃は、斧の刃によって防がれていた
「凄まじい絶技だ。まさしく神速の抜刀。後数瞬遅かったならば、私の首を跳ねていた」
日の光を受け熱を発するような、バルディッシュの刃が強く降り抜かれる。
(こいつは、こいつは人間のはずだ!なら、なぜ!)
「だが私は、死ぬわけにはいかない」
ヒノは、死刑囚の首を切り落とすためがごとく、バルディッシュを高く高く振り上げた
(なら、なぜ!なぜ!?)
そして、神の怒りのごとく、いかづちのごとくその斧を振り下ろした。
片手で
(こいつの筋力は何なんだ!?)
バキリと、鉄が粉砕される音が響く
「ぅ、ぁ」
そして、数センチ先を空を飛ぶ竜すら恐れおののく一撃が通り過ぎ、二本の獲物を叩き折られたシャーロットは、驚愕と恐怖で呆然としていた。
「殺すわけにはいかぬ。戦いは私のかちだ。国に帰り、再び鍛錬に励め」
ヒノは土に深く深く突き刺さった斧を抜き去り、軽く一度振り回し土を払った
そして鞘に収め背を向け、去ろうとした
我を取り戻したシャーロットがその背に怒声を浴びせようと息を吸い込んだ、刹那であった
「中立国家の街中で暴れるとはいい度胸だな」
「!」
後ろから聞こえた声に、ヒノもシャーロットも振り向く。肥え太り、いやらしい笑みを浮かべた教団騎士長が部下を従え立っている
「リザードマン、貴様は街中での戦闘行為を行った。犯罪だ。連行する」
「くっ……」
「そして……ヒノ・スティーヴン」
一際頬の肉を釣り上げ、騎士長が醜い声で告げる
「貴様には我が騎士団の同志を殺害した疑いがかかっている。詰め所にきてもらおうか」
「え?」
シャーロットは、耳を疑った
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