結論からいえば僕は破門されたのです。
「ご主人様」
「なんだい、リウム?」
落ち着きのある透き通った声に振り向くと、僕の「ウィンディーネ」がそこにいます。
「生まれてきてごめんなさい…」
よよ、と涙を流して姿勢を崩すのは、透き通るような肌、ではなく本当に水分の塊として透き通る少女。
麗しい女性体を模しているが人ならざる透過度が精霊であることを十分に示しています。
特に変わったことと言えば、そう。
手のひらに乗れる大きさということ。
「いいんだよ、リウム」
彼女はウィンディーネの、アクアリウム。
定位置の肩で小鳥のようにしている彼女を人差し指一本で撫でてあげます。
彼女の大きさでは僕の『指のひら』だけで頭全体を撫でてあげることができます。
僕の魔力が至らないせいか、人間らしくなく頭でっかちで、三頭身になっています。
「悪いのは……あのっっ……ッ……ッッ!!」
正面にあった木をを殴ります。幹を殴ります。大事なことなのでもう一度殴ります。
「ご、ご主人様!ご主人様!?ご自愛下さいませ!」
嫌なことは水に流せとか言いますけど。ごめん、それ無理。
神殿での精霊契約の最終工程中に、まさかサキュバスがステンドグラスを突き破って侵入してくるなんて。
…いえ、追跡なされていた勇者様はお勤めを果たされた…ッ…だけなので…ッ…
「うぐっ、ぐすっ、あいつが、あのサキュバスがわるいんだあぁ……」
「ご主人様!て、手から血が!えっと、あの…その…帰ってきてくださいませぇ!! 生まれてごめんんさいぃ〜!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 一休みして 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ここは森の中。町と町の間にある、どことも知れぬ場所です。
僕はなれない旅装備で、破門された教会から宛てもなく歩いているわけで。ちょっと取りみだしました。
「ご主人様、落ち着かれましたか?」
「…うん、大丈夫、ありがとう」
微笑む彼女が、僕のバックパックから取り出したハンカチを受け取るだけで、この手を握り包帯を巻きつけるだけで、僕は彼女の美しさに体温が上がりそうになります。
…これは、僕自身のインキュバス化が始まった証拠でもありましょう。
「さ、まだ旅は始まったばかり。ご主人様、がんばりましょ♪」
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