ベスが一行に合流した後、オーウェン達は駅馬車に乗って隣町へと向かっていた。隣町はサマリアから駅馬車で移動して半日ほど離れた場所にある。移動手段は他にも多々あるが、これが一番安価で早いのだ。
「今回は仕事請け負ってくれてありがとねっ!」
「あぁ、一応はお得意様だしな。今回みたいな依頼だったらお安いご用さ。…とそれは全然構わないんだが…ちょっとは離れてくれ!」
駅馬車は丁度横に3、4人ほど並んで座れるほどの広さで、オーウェンの横にベスが、対面にミラが座る形となっていた。
「だってこうしてた方が落ち着くんだものっ。」
そう言ってベスは腕をからませてくる。
「だからって…。」
「二人とも…本っ当に中が良いのだな…。」
オーウェンがベスの猛烈なアタックに焦っていると、何やらドス黒いオーラを漂わせてミラが言った。とてもじゃないが目なんて合わせられない。
「結構前からそうだよね!」
ベスもベスで平然とこんなことを嘯く。こんなことで依頼が終わるまで体が持つだろうか。オーウェンはそう考え、今から頭が痛くなっていた。
馬車が町に着く頃にはすっかり夜になっていた。この町はブラヴィリアといってサマリアと違って魔物がとても多く、サイズは劣るがほぼ魔物の町となっている。
「とりあえずは宿に泊まって明日の朝に受け取りに行こう。」
宿はそう時間もかからず見つかり、金も少ないので部屋を二つ借りて泊まることにした。
「それじゃあお前たちはそっちの部屋を使ってくれ。俺はここを使うから。」
え〜っとベスが文句を言っていたがかまわず一人で強引に部屋に入り休む。
「―――まったく、気を抜くとすぐにくっついてこようとするからなぁ。」
オーウェンは寝そべって部屋の窓の外を眺めながらつぶやいた。別に女の子に好かれて嫌な気分はしないのだが、あんなに四六時中引っ付かれては身が持たない。それにミラの怒った態度も少々気になっていた。
数時間後、いつの間にか眠っていたオーウェンは上に何か覆いかぶさっていたことに気づき起き上った。
「―――あっ、起きた?」
見ると自分の胸元に顔を寄せるようにしてベスが抱きついていた。いや、スライムだから張り付いていたという方が正しいか。
「『あっ、起きた?』じゃねーよ!なんでここに居るんだよ。隣行け隣に!」
「夫婦ならやっぱり同じ部屋にきまってるじゃないっ。…ということでおとなしくしててね!」
突然ベスはオーウェンの上着とズボンに手をかけてくる。
「おいっ!やめろって!」
腕を動かそうとしたがスライムに拘束されて思うように動かない。
「それじゃ、いただきまぁーす!」
「ちょ、待て、落ち着いて!ストップ、スタァァァップ!」
このままでは(性的な意味で)食われてしまう。そう思った直後、大声を聞きつけたのかドアをふっ飛ばさん勢いでミラが入って来た。
「な、なんだこれは!」
ミラは突然の光景に愕然としていた。まぁ入っていきなりズボンを脱ぎかけた男と覆いかぶさった女が居たら誰だって驚く。
「き、貴様ら…何をやっておるのだ!」
心配して駆け付けたのにこの様だったせいか、ミラの額には青筋が立っていた。助かったと思っていたが、どうやら違ったようだ。
「あ、起きちゃったみたい…」ベスが苦笑いをして言う。
「い、いや、これは誤解だ!俺は何もs」
「ええぃ、御託はよい!吹き飛べ!」
「ギャァァアア!!」
オーウェンは例の父親よろしく問答無用で光弾をくらいベットに力なく伏した。
―――次の日、朝食等朝の支度を済ませてから説明のあった薬品店へ向かうことにした。まだ体がギシギシと痛む。しかも昨日からミラの機嫌がとんでもなく悪くなっていて、会話もロクにしてくれない。もう踏んだり蹴ったりだ。
「それじゃこれがその薬品だね。」
依頼で言われた店へ到着すると、店のおじさんがさっそく奥から勿体ぶった箱をこちらに渡してきた。
「ありがとう!それじゃヘルメスにはよろしく言っとくねっ!」
ベスはおじさんから箱を受け取ると、中の薬品の入った瓶をなんと体の中に入れた。こうすると衝撃が吸収されて安全だということらしい。便利なものである。
(―――まったく、昨日の事といいオーウェンはあんなにも女にだらしない奴なのか…。)
オーウェンの女性に対する不甲斐無さにミラは腹を立てていた。現在もベスに引っ付かれて苦笑いをしている。嫌なら嫌と言えばいいのにそうしない。ズルい性格をしている、と思った。
そういえば昨日のベスとの会話でも思ったが、実際オーウェンとの関係はどう言ったらよいのか。恋人…はもちろん違うし…でも守ってくれると言っていた。ではただ守る守られるの関係なのだろうか、と自分で考
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