Lv.4 森と教会と

「あ〜〜、いい加減疲れてきた……なんだって歩きで行かなきゃならないんだよ…。呪文使えばすぐだろ?」

 重い足どりで歩き続けていたニールが、先ほどから溜めこんでいた不満をついに垂らした。

「仕方ないだろう。転移呪文は行き先の座標が特定できないと使用できないんだから。」

 バジルが当たり前のことだろとでも言うように肩をすくませて言う。

「ふっ、そんなことも覚えてないでよくここまでやってこれたな。情けないものだ。」

 と、少し先を歩いていたイヴがニールを鼻で笑いながら言った。彼女自身も大分歩いているはずなのにそんな事を微塵も感じさせないのが余計に腹立たしい。

「うるせぇ、お前は魔物だからいいが俺達は人間なんだからな。あ〜、いい加減こんな同じ景色の道を歩き続けるのには飽きたっ!」

 イヴが居た洞窟迷宮を出発した一行は、鬱蒼とした森林の中を教団本部へ向けて延々と歩き続けていた。出発した頃にはまだ低かった太陽も、もう真上を疾うに過ぎていて、昼飯もとらずに歩き続けていた皆のイライラが募るのも仕方ない。

「でも、確かに大分歩きましたよね?あちらに丁度良い大きさの丸太も転がっていますしそろそろ休憩にしてみてはいかがでしょうか?」

 と、ケンカになりかけていた二人に宥める様に言いながら、リディアが提案した。前の方には、森が開けた所に腰掛けるのに丁度良い高さの丸太が転がっているのが見える。

「よーし、じゃああそこでお昼にしようっ。あたしもうおなか減って動けないよ。」

 ラナはもう我慢できないのか一直線にそこへ向かって駆けだした。

「じゃあ俺達も行くか。」

 一同もやっと休憩できるとほっとしながら後を追った。

「あぁ、おいしっ!やっぱリディアの作るスープは格別だねっ。」

「そうですか?喜んでもらえてうれしいです。」

 リディアが簡単なかまどを作り、慣れた手つきでテキパキと料理を作ると、パーティは待ってましたとばかりに手料理にかぶりついた。

「ほう、人間の作ったものなど食べた事は無かったが…これは良いなっ。褒めてつかわすぞ、リディアよ!」

 最初は物珍しそうに見ていたイヴも、匂いに釣られて食べ始めると、目を輝かせて言った。

「途中山菜が多く取れたので今回は薬膳スープにしてみました。お口にあったようでなによりです。」

「ふふん、どうだ!うちの料理長の料理をそんじょそこらのものと一緒にされては困るぜ?」

 ニールがまるで自分の事のように自慢げに言う。

「まったく、お前が作った訳じゃないだろうに…。それはそうと、今夜はどうする?このままだと野宿になってしまうしどこか泊まれる所を見つけたい所なんだが…。」

「確かにこれだけ歩いて村はおろか民家さえ見つからなかったからなぁ。バジルはロードだろ?聖なる魔法かなんかでこうパパーっと見つけられたりしない?」

「無茶苦茶を言うな!神聖な力をバカにしやがって。お前こそそのバカなる力でこうなんかパパーっと探してくれよっ。」

「んなっ…またバカって言いやがったな!…最近オレの扱いひどくないか?」

 バジルの辛口な物言いに思わず涙目になる。

「何言ってんだ、お前が起こしたハプニングのせいで今こんなことになってるんだろ?って、ん?」

 不意にバジルの袖を先ほど食べ終わってのんびりしていたラナが引っ張るので見ると、

「ねぇねぇ、この先に教会があるよ!」

「「なにっ!?」」

 まさかラナにも不思議な力が…?確かに普段から結構不可解な行動が多いしちょっとくらい持っていても不思議では…

「ってあそこに書いてあった。」

 指を差された方を見やると、大きく真新しそうな板に『この先300m右折☆旅の教会☆』と書かれた看板が堂々と立っていた。看板から胡散臭さがプンプンする。

「ほんとだ…。でもこれってなんかすげぇパチモン臭がするんだけど…。」

「き、きっと旅人にわかりやすいよう工夫してくれてるのさっ。せっかくだから向かおうぜ!」

 バジルの言う事はもっともだが、話が戻ってまたやり玉に挙げられてはたまったもんじゃない。ニールは皆に早く行こうと急かすと、食事の片付けをして看板を頼りに向かい始めた。







「で…ここですか…。」

 と、苦笑いをしながらリディアが呟いた。それも無理はない。目的地についてみると、そこには何色かの原色で分けられた外壁と不気味なステンドグラスなど、教会にしては少々珍妙なデザインをした大きな建物が建っていたのだ。

「人間の神を祭る所というのはこんなにも奇抜なものなのか?なんというか…人間は独創的だな、うん、いいんじゃないか。」

 あまりのデザインにイヴも驚いているのか呆れているのか、気を使ってそんなことを言う。

「いや、本来はこんな感じじゃな
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