気づけば俺は宙を浮いて移動していた。
おお、俺はついに死んだか。
思えば間抜けな死因だな。まさか幼馴染に抱き締められて圧死とは・・。
「ローガン、起きた?」
うん、死んでなかった。端的に今の状況を説明すると、俺はキールに小脇に抱えられて移動していた。
「ああ・・・何しやがる」
「ごめんなさい・・・」
俺が不満を込めたちょっとキツめの声色で非難の意思を示すと、キールはしょんぼりした顔で謝ってきた。
クッ、しょんぼりしている顔も可愛いじゃないか。
どうした俺。キールの顔なんて見慣れたものじゃないか。最近どうも俺はおかしいな。ネンス達相手でもあいつ等の一挙手一動作が可愛く思える時がある。見慣れたものにすらこんな反応を示してしまうとは・・・俺、溜まってるのかなぁ・・・。
「ローガン、着いた」
キールの言葉で俺は我に帰り、そして今自分が何処にいるのかをやっと認識した。
「・・・学校に着いてるじゃないか・・・」
「ローガン、私と会った時学校って単語とネンスちゃんの名前出してた。だから連れてきた」
持つべきは幼馴染だな、うん。
「サンキュ。キールのおかげで学校、送れずに来れたよ」
「私が悪かったから。こんなの当然」
「おう、二度とアレは勘弁な。それはそうと、そろそろ下してくれ」
「うん」
キールに下してもらうと、俺は校門から見えるかつて俺が学んだ学び舎を見つめた。
「何か懐かしいな」
「ん。でもローガン授業全然受けない不良だったからあんまり懐かしくないんじゃない?」
「馬鹿言うな。あの校庭にある木の寝心地、五月蝿い生徒会長殿の追尾を振り切るための逃走経路、日当たり最高の屋上。懐かし過ぎるじゃないか」
そういやあの生徒会長、今何してるんだろうな。確かあいつは「ホリティアの鬼会長」とか言われてたし、警官でもしてるのかな。
俺達が学校の玄関に着くと、すぐに警備用ゴーレムが地面から出てきた。
「どちら様でしょうか。ここはホリティア州立学校です。関係者以外は立ち入り禁止です。御用の方は身分と用件をお教え下さい」
この子もクソ真面目だな。もう俺が入学以来いる子だし、卒業するまでちょっかい出したり話し相手になってもらってたから俺の事なんか分かってるだろうに。
「よう、久しぶり。俺だよ、俺」
「俺俺詐欺は間に合っております。身分と用件をお伝え下さい」
あ・・あっれ〜? おかしいな。
「俺だよ。ほら、三年前にこの学校通ってた問題児のさ」
「ナンパですか? それでしたら繁華街でなさる事を強くお勧め致します。すぐにでもサキュバス等が連れ去ってくれるでしょう。ここは少々場違いかと思いますが」
あの〜、ゴーレムちゃん。もしかして俺の事・・・忘れちゃった?
俺がちょっとブルーな気持ちになって膝をついてがっかりポーズをとっていると、ゴーレムちゃんがクスクス笑い出した。
「打たれ弱くなったのではないでしょうか? あの頃の貴方ならこれくらいの冗談にはもっとキツく切り返してこられましたよ? それに、貴方はあの三年間私にそれはもう毎日ちょっかいを出して来られていたのですから忘れるはずがございません」
「へ?」
「少しからかわせて頂きました。ローガン・ハウマント様」
コ・・コイツ・・・俺がからかい続けたからか知らんが「からかう」って事を覚えやがった・・。
「お前、成長したな」
「はい。私は出来るゴーレムですから」
そんなやり取りをしてやっと中に入れてもらった俺は、何処に行けば良いのか分からず盛大に迷ってしまった。
「くそぅ、ネンスにちゃんと栽培科の専門棟聞いとけばよかったな」
ここ、ホリティア州立学校は小等部、高等部が一般棟で、高等部になってから特定の科目に長けていたり、興味がある生徒はそれぞれ55ある専門分野に分かれた専門棟に移動する。
これが中々の曲者で、科によってはそこの科の生徒以外には棟へ通じる経路が分からなくしてあったり、複雑怪奇な迷路を抜けないと着かなかったり、はたまた合言葉を言わないと入れない等のトラップだらけなのだ。
この仕組み、学校長であるシーベンス先生の考案らしい。
何でも、「秘密の入り口ってワクワクするじゃろ?」との事らしい。
学生の時はシーベンス先生のこの考案に「学校長、アンタ粋だねぇ!!」なんて感じていたが、いざ保護者の身分になると面倒くさい事この上ない。
「こっち。ネンスちゃんから聞いてる」
「おう、知ってるのか。すまんが連れてってくれ」
「ん。分かった」
いやぁ〜助かった。一般棟に長々といるとこの時間だと教室から俺を覗いている生徒達の視線があって何か恥ずかしかったんだよな。
・・・・・・・・・
「ちょっと待て。何でキールも一緒に来てるんだ?」
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