第一章・第四話 Daily2:サキュバス&レッサーサキュバス (鬼)

夕食時、クレイはフェイラン(無論、いつの間にか食事は終わっている)に問いかけた。

「ラーナさんとリノンさん、どうするんですか?」
「心配ないさ。ちょっと仕置きをするだけだ」
「…僕を連れ去ったからですか?」

「それもあるが…私の計画を崩した事もある。そして何より調教部屋を使いたかった」
(それが一番なの!?)



食後、フェイランはレダを呼んだ。

「二人の準備はいいな?」
「はい。いつでも大丈夫です」
「今回はクレイも見学させる。アルカでの調教とはこういうものだ、とな。呼んでくれ」
「かしこまりました」

レダはクレイを連れて来て、その後食堂を後にした。

「…え? 僕もですか?」
「ああ。その為に今まで縛ったまま放置しているのだからな」
(縛ったまま放置…って、帰ってから二時間ぐらい経つよ!?)

背筋が寒くなったクレイは、恐る恐る訊ねる。



「フェイランさん…調教って何するの?」
「見れば早いぞ」
「…………殺したりとかするの?」

するとフェイランはいきなり笑い出した。

「はっはっはっは! …調教だと言ったろう? 罪は重くないし、殺したりはせんさ」
「重かったら…」
「殺しはしないだろうが…場合によってはな」

「でも…血とか出るんですよね…?」
「私の基本方針は“無傷調教”だ。出来るだけ完品に近い状態で調教したいからな」
(完品って…)「じゃぁ、どんな事を…?」
「水責め…言葉責め…精神的な攻撃…と性的な攻撃を少々。身体を傷つけない責めなら色々するぞ」
「…………」

クレイは既に恐怖で鳥肌が立っている。



「フェイラン様、クレイ様。お時間です、参りましょう」

レダの呼び出しで、彼女に連れられて二階の調教部屋へと向かう。


「入りましょう、お二人とも」
「ああ」
「…はい」






調教部屋は思った以上に広く、様々な器具が並んでいた。
上下に続く階段があり、どうやら三階や一階にも続いているらしい。

そして扉の正面に、目隠しと猿轡を付けられて緊縛されたラーナとリノンがいた。

「〜〜〜! 〜〜〜!」
「…………!」

「う…………ッ!」

その光景にクレイは身震いする。

「レダ、二人の目隠しと猿轡を取ってくれ」
「分かりました」


レダは慣れた手つきで、目隠しと猿轡を外した。


「…あーら、クレイ君まで一緒に。私達をこんなにするなんて、いい度胸ね?」

ラーナはクレイに驚きつつも、厳しい目でフェイランを睨んできた。

「罪には罰を…ってな。あと、クレイは見学だ」
「お仕置きー…?」

リノンは相変わらず呑気な口調でラーナに問う。

「そうらしいわね。…で、私達にどんなお仕置きをしようというの?」
「今言わずとも…下に降りれば解る」

そう言うとフェイランは縛られたままの二人を抱え、部屋の中にある階段を下りていく。

「ついてきなさい、二人とも」
「はっ…、はい」
「参りましょう」

クレイとレダもそれに続く。






階段は長い。どうやら一階ではなく、地下に続いていたようだ。

(…地下室…!?)



そこには巨大な水車があった。
水車の下には、湯気を立てる水槽がある。

「フェイランさん…これは…」
「水責め…いや、熱湯責めだな。55℃ぐらいだ」
「…そ、それって物凄く熱いんじゃ…」
「それくらいでなければ責めにはならん。死にはしない」

担がれたラーナとリノンの顔は青ざめている。


「…冗談じゃないわよ…! 私をあんな熱湯に漬ける気…!?」
「火傷するー」

バタバタと抵抗するが、フェイランの腕が二人を離す事はない。



「…………黙りなさい」
「ッ!」

口元に笑みを浮かべつつ言った一言は、しかし周囲の空気すら震わせる迫力があった。


「あ…………ぁ…!」

クレイも今の一言で足が震え、その場にへたり込んでしまった。



その後、あっという間に二人は水車に括り付けられた。
二人は逆方向に、そしてリノンは逆さ向きに括られている。

「さて…レダ、水車を動かしなさい」
「はい」


レダがレバーを降ろすと、ラーナは足から熱湯に浸かる。

「つ…ッ!」
(え…………こ、この向きじゃ二人は…!)






そこからの数分間は、クレイにとって悪夢を見ているようだった。

「あが…っ!」
「ぅー…けほっ…」

二人の女性が水車に繋がれ、熱湯の中へ浸けられている。
しかも熱湯から上がる時は、丁度鼻から水が入る向きである。



身体中を真っ赤にした二人は、湯から上がるたびに、苦しそうに咳き込み、嗚咽している。

「…レダ。スピードを上げろ」
「はい」
「…………え…っ!?」


すると水車は倍の速度で回り出した。

「エ゙ぐっ…が…ッ…アヴぅッ…!」
「あ゙…え゙えッ…ぇ…」


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