夕食時、クレイはフェイラン(無論、いつの間にか食事は終わっている)に問いかけた。
「ラーナさんとリノンさん、どうするんですか?」
「心配ないさ。ちょっと仕置きをするだけだ」
「…僕を連れ去ったからですか?」
「それもあるが…私の計画を崩した事もある。そして何より調教部屋を使いたかった」
(それが一番なの!?)
食後、フェイランはレダを呼んだ。
「二人の準備はいいな?」
「はい。いつでも大丈夫です」
「今回はクレイも見学させる。アルカでの調教とはこういうものだ、とな。呼んでくれ」
「かしこまりました」
レダはクレイを連れて来て、その後食堂を後にした。
「…え? 僕もですか?」
「ああ。その為に今まで縛ったまま放置しているのだからな」
(縛ったまま放置…って、帰ってから二時間ぐらい経つよ!?)
背筋が寒くなったクレイは、恐る恐る訊ねる。
「フェイランさん…調教って何するの?」
「見れば早いぞ」
「…………殺したりとかするの?」
するとフェイランはいきなり笑い出した。
「はっはっはっは! …調教だと言ったろう? 罪は重くないし、殺したりはせんさ」
「重かったら…」
「殺しはしないだろうが…場合によってはな」
「でも…血とか出るんですよね…?」
「私の基本方針は“無傷調教”だ。出来るだけ完品に近い状態で調教したいからな」
(完品って…)「じゃぁ、どんな事を…?」
「水責め…言葉責め…精神的な攻撃…と性的な攻撃を少々。身体を傷つけない責めなら色々するぞ」
「…………」
クレイは既に恐怖で鳥肌が立っている。
「フェイラン様、クレイ様。お時間です、参りましょう」
レダの呼び出しで、彼女に連れられて二階の調教部屋へと向かう。
「入りましょう、お二人とも」
「ああ」
「…はい」
調教部屋は思った以上に広く、様々な器具が並んでいた。
上下に続く階段があり、どうやら三階や一階にも続いているらしい。
そして扉の正面に、目隠しと猿轡を付けられて緊縛されたラーナとリノンがいた。
「〜〜〜! 〜〜〜!」
「…………!」
「う…………ッ!」
その光景にクレイは身震いする。
「レダ、二人の目隠しと猿轡を取ってくれ」
「分かりました」
レダは慣れた手つきで、目隠しと猿轡を外した。
「…あーら、クレイ君まで一緒に。私達をこんなにするなんて、いい度胸ね?」
ラーナはクレイに驚きつつも、厳しい目でフェイランを睨んできた。
「罪には罰を…ってな。あと、クレイは見学だ」
「お仕置きー…?」
リノンは相変わらず呑気な口調でラーナに問う。
「そうらしいわね。…で、私達にどんなお仕置きをしようというの?」
「今言わずとも…下に降りれば解る」
そう言うとフェイランは縛られたままの二人を抱え、部屋の中にある階段を下りていく。
「ついてきなさい、二人とも」
「はっ…、はい」
「参りましょう」
クレイとレダもそれに続く。
階段は長い。どうやら一階ではなく、地下に続いていたようだ。
(…地下室…!?)
そこには巨大な水車があった。
水車の下には、湯気を立てる水槽がある。
「フェイランさん…これは…」
「水責め…いや、熱湯責めだな。55℃ぐらいだ」
「…そ、それって物凄く熱いんじゃ…」
「それくらいでなければ責めにはならん。死にはしない」
担がれたラーナとリノンの顔は青ざめている。
「…冗談じゃないわよ…! 私をあんな熱湯に漬ける気…!?」
「火傷するー」
バタバタと抵抗するが、フェイランの腕が二人を離す事はない。
「…………黙りなさい」
「ッ!」
口元に笑みを浮かべつつ言った一言は、しかし周囲の空気すら震わせる迫力があった。
「あ…………ぁ…!」
クレイも今の一言で足が震え、その場にへたり込んでしまった。
その後、あっという間に二人は水車に括り付けられた。
二人は逆方向に、そしてリノンは逆さ向きに括られている。
「さて…レダ、水車を動かしなさい」
「はい」
レダがレバーを降ろすと、ラーナは足から熱湯に浸かる。
「つ…ッ!」
(え…………こ、この向きじゃ二人は…!)
そこからの数分間は、クレイにとって悪夢を見ているようだった。
「あが…っ!」
「ぅー…けほっ…」
二人の女性が水車に繋がれ、熱湯の中へ浸けられている。
しかも熱湯から上がる時は、丁度鼻から水が入る向きである。
身体中を真っ赤にした二人は、湯から上がるたびに、苦しそうに咳き込み、嗚咽している。
「…レダ。スピードを上げろ」
「はい」
「…………え…っ!?」
すると水車は倍の速度で回り出した。
「エ゙ぐっ…が…ッ…アヴぅッ…!」
「あ゙…え゙えッ…ぇ…」
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