夏の日のお姉さんと、はじめてのなつやすみ

八月も半ばのある日。

少年は、胸の鼓動を抑えきれずにいた。

「あの…ナズナさんっ!」

少年は意を決し、七本の尾を持った稲荷―彼の妻に呼びかけた。












昨年の夏。

一人旅に出た先で倒れてしまった少年は、稲荷に助けられ、彼女の家で介抱された。
そのまま二泊することになった末、稲荷からの後押しもあってとうとう我慢できず激しい交わりに発展。

数日後、稲荷は少年の部屋と自身の家を空間的に繋げるという荒技を用いて再会。
そのまま二人は結ばれ、少年は稲荷―ナズナの家で暮らすことになったのだった。



それからの日々は、少年にとって非常に充実したものとなった。

朝、ナズナの声で起こされ。
油揚げ入りの朝食を頂き。
空間的に繋げられている実家の部屋に戻り、両親に挨拶してから登校。
下校後は自分の部屋を通ってそのままナズナの家へと帰宅。
油揚げ入りの夕食を頂き。
ナズナのモフモフの尻尾に包まれて就寝する。


魔物の存在が一般的になっているため、クラスには魔物もいれば、魔物の夫も存在する。
魔物の夫となった他の級友や先輩と比べ、少年はその出席率と授業態度が評判である。

何せ魔物の夫でありながら、平日にはほとんど交わることはない。
交わりに夢中で欠席したり、来ても夜更かしのせいで居眠りしたり、或いは交わりの匂いが染みついたりしている他の者とは対照的だ。
このあたりは、夫の学業も考慮して生活習慣を組み立てる稲荷の良妻ぶりが見て取れる。

とはいえ無論、魔物の夫婦が平日に交わらないでいて欲求不満にならないはずもなく。
金曜日の夜から土曜日、翌日に差し支えないタイミングなら彼女も止める理由はない。



「ナズナさん、ボク、明日はお休みで…だから、今夜は…」
「ええ
#9829; たっぷり、えっちなこと、致しましょうね…旦那様
#9829;」

一週間分溜め続けた欲求を爆発させる。
毎回、稲荷の身体は少年の白濁した精液で汚され、満たされて朝を迎える。
時には一日中交わり続けることもあった。その日は、交わりの場となった浴室の浴槽が少年の精液だけで満杯になるほどだった。

連休ともなれば、一日中ということも珍しくなくなる。
それでも、冬休みは行事が盛り沢山、春休みは進級準備があったりと、長期休暇をゆっくりと交わり続けて過ごすことは今までなかった。



そんな中、とうとうやってきた初めての夏休み。
少年は、もちろん稲荷とずっと一緒に交わり続けることばかり考えていた。
それでもナズナは、良妻として。

「旦那様、その…宿題のほうは…」
「…頑張って、やる!」

ということで、少年は夏休みの前半、全力でやれる宿題をこなすこととなった。
今までは夏休み後半になってから本気を出していたが、今年の少年は違う。

八月の前半までで、全ての宿題を終わらせてしまったのだ。
なお、魔物の夫となった者には日記の宿題は免除されている。連日ほぼ「セックスした」しか書きようのない者が多いためだ。


全てをやり終えた少年は、いよいよ妻との愛の営みを決心したのだった。











「あの…ナズナさんっ!」

呼びかけられたナズナは、満面の笑みで振り返る。
毎日この笑顔を見るだけで、また恋に落ちる感覚がした。

「旦那様、ナズナは嬉しいです
#9829;」
「うん、ボク、とっても頑張ったよ! その、それで」
「ええ
#9829; ええ
#9829; いっぱい、いっぱい、しましょうね
#9829;」

ナズナも喜びを抑えきれていない。
なにせ二週間も交わらなかったのは、二人が結ばれてから初めてのこと。
彼女の方も、我慢に我慢を重ねていたのだった。


二人は足早に寝室へと向かう。
介抱された少年が初めて稲荷と顔を合わせ、初めて交わった、あの部屋へ。

部屋全体には既に、ナズナの手で結界が施されている。
外部から邪魔されないのはもちろん、中にあるものがどれだけ精液で汚れても掃除の手間いらずという優れものだ。


部屋の中心に敷いてある布団の上で、二人は向かい合う。
既に頬は紅潮し、興奮を抑えようともしていなかった。

「ナズナさん
#9829;」
「はい、旦那様
#9829;」
「大好きですっ
#9829; ん…ちゅぅ
#9829;」

少年はナズナの体を抱き寄せ、熱い口付けを交わす。
舌と舌とが濃厚に絡み合う、互いの愛を再確認するかのようなディープキス。

「んむ…ちゅぅ…
#9829;」
「むちゅ…ちゅぷっ…
#9829;」

唇を離すと、二人の舌の間には一筋の唾液が光る。
否応なしに身体が火照り出し、少年の肉棒は着衣の上からでも分かるほどに屹立していた。

「まあ、こんなに…
#9829; お慰め、致しますね…
#9829;」

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