(…………やって、しまった…)
「うぅ…グスッ…」
魔界の奥深く、魔王城の中。
とあるリリムの寝室。
呆然と立ち尽くす、長髪で全裸のサキュバス。
ベッドに寝たまま泣いているのは、下半身裸の少年。
サキュバスは、この寝室の持ち主であるリリムの侍従。
少年は、リリムの夫だった。
主人のリリムが、姉たちとの会合で少し部屋を離れていた間のこと。
未婚で、悶々としていた侍従が、残された夫を衝動的に襲ってしまったのだ。
幸いにももう一人の侍従サキュバスは食事の支度で忙しい。
無理やり襲い掛かり、あっという間に何度も犯した。
小さい身体でも、流石はリリムの夫のインキュバス。
サキュバスは搾った濃厚な精液を子宮に溜め込み、禁断の快楽に浸されていた。
しかし事が終わった後、後悔と焦燥に駆られているのが今の状況である。
(まずい…もうすぐ、お嬢様が帰ってくる…)
(旦那様がお嬢様に話したら…いえ、話さなくても、この状況ならすぐに…)
(私に残った旦那様の精の匂いだけでバレてしまう…)
(食事の支度中のあの子にもバレたら…)
(…………いっそこのまま、旦那様を連れて外に…)
考えを巡らせていると、扉の開く音がした。
「あ…」
そして部屋に響くのは、主の声。
「…………何を、しているのかしら?」
「ッ…」
一瞬で、全てを察したに違いない声色。
「こ…これ、は…」
「…………大丈夫、アナタ?」
「うぅ…」
リリムはサキュバスを敢えて無視し、優しい声をかけて夫を抱きかかえる。
少年は胸に顔を埋め、少しして落ち着いてきた。
「もう大丈夫よ、アナタ…
#9829;」
「ごめん、なさい…」
謝罪の言葉を残して、安心した少年はそのまま眠ってしまった。
サキュバスに襲われて消耗していたためだろう。
「…さて」
「あ、あ、あ…」
侍従に向き直ったリリムの目は、笑っていなかった。
彼女の魔力をもってすれば、その気になれば侍従を消し飛ばすことすら可能だろう。
何せ、主の夫を、主のベッドで無理やり犯すという暴挙に走ったのだから。
最低でも、侍従を首になることだけは確実だった。
「どうしてこんなことをしでかしたのか、説明してくれる?」
「…………我慢できなく、なったんです」
いきなり消し飛ばされることはないと悟り、観念したサキュバスは口を開く。
リリムが以前に行った、あの「快楽実験」。
そのすべてを、顛末を見ていたサキュバスに、興奮を抑えることが出来るはずも無い。
リリムのあの膨らんだ子宮の中に、どれだけ濃厚な精液が詰まっているのか。
あんなにされた快楽は、どれほどのものなのか。
その後正式に夫となった少年との交わりも、侍従として間近で見てきた。
未婚の自分にとって、まだ体験したことのない快楽。
羨ましくて、悶々として、それが今回爆発してしまった。
「ふぅん…そういうことなのね」
「申し訳…ございません…」
サキュバスは青い顔でうつむいていた。
これから自分はどうなるのだろうかと、不安が胸の内に渦巻く。
「それじゃあ…オシオキ、しないとね」
「う…っ」
リリムの顔を見ると、嗜虐的な光が宿っていた。
獲物を見る捕食者の目…否、実験動物を見るマッドサイエンティストの目で。
侍従は、リリムに別室へ連れていかれた。
「貴方達が、この前実験のために色々集めてくれてたじゃない?」
「は、はい…」
「まだ余ってるわよね? 余裕を持って準備するようにって言ってたもの」
「えっと、お二人で三日分ぐらいは…」
「一人なら、一週間持つわよね?」
「え? あ、はい…」
侍従は何となく、自分が何をされるのかを察した。
別室には、もう一人の、短髪の侍従が事情を聴いて待っていた。
「新しい実験のアイデアがあるの」
「それはそれは、楽しみですね!」
短髪の侍従が囃し立てる。
内心、長髪の侍従に先を越された悔しさもある。
一方で、自分が実験台にされなくて良かったという安堵もあった。
「本当は自分で試したいけど、もう今じゃ快楽の我慢に耐えられそうになくてね」
「旦那様がいらっしゃいますもんね」
「それに…今回のは、前のより厳しいものね。オシオキにもってこいよ」
「…ひっ…」
長髪の侍従が怯えた声を上げた。
あの凄まじい快楽に一週間耐えさせられるのよりも厳しいとは、一体何事か?
「実験は明日から。貴方は今日はここで寝なさい。そっちの貴方は、実験の説明」
「は、はい…」
「はーい」
簡素な布団しかない別室に長髪の侍従を残し、リリムと短髪の侍従は部屋を後にした。
・
・
・
長髪の侍従が目を覚ますと、そこは布団の中ではなかった。
代わりに、円柱形の水槽の中にいた。
両手をギリギリ
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