翌日、クレイはフェイランに呼び出された。
彼の待つ四階―玉座の間に入ると、彼は奥の椅子に腰掛けていた。
「来たね」
「えっと…何のご用ですか?」
「何、簡単な事さ。まずはこの屋敷の案内をしようと思ってな」
「案内…ですか?」
「ああ。ココは広いから、迷わないようにな。…案内人を紹介しよう」
すると、玉座の奥から、女性が出てきた。
藍色の長髪に、褐色の肌と紅い瞳を持つ。身長は155cmぐらいだ。
黒いビキニの上に、深緑色の布を羽織り、太腿まである黒い靴下を履いている。両腕には黄土色の腕輪を、首には同色の首輪をしている。
「初めまして、クレイ様。私はレダ。ゴーレムです」
「ゴーレム…………え、ゴーレムって、あの…?」
自身に歩み寄ってお辞儀する女性が魔物だと聞かされ、クレイは言葉を失う。
よく見れば、彼女の耳部分にはアンテナの様な物が、両上腕には何やら文字の刻まれた装甲らしき物があり、腕輪と同じ色で石のような質感のそれらは、彼女が少なくとも普通の人間ではない事の証拠であった。
「レダはココの…メイドみたいな物だな。アルカ計画の関係者でもある」
「私がこの屋敷をご案内致します。付いてきてください」
「あ、はい」
「行ってらっしゃい、クレイ」
玉座を後にし、レダはクレイを伴って三階へと降りた。
三階に入った時、レダが説明を始めた。
「この屋敷は、正式名称を『アルカ計画総本部兼関係者住居・ヴァルハラ』と言います」
「な、長い名前だね…」
「はい、計画本部ですから。…………先程の四階は主に玉座の間と展望台、三階は主に関係者の居室があるフロアです」
「じゃあ、レダさんのお部屋もここにあるの?」
「はい、310号室です」
「…………そう言えば、どうしてそんな格好なの?」
布からビキニが見える度に恥ずかしくて目線を逸らせるクレイは、率直な疑問をぶつけた。
「これは…私が生み出された時から着用しています。フェイラン様が私の主になられた際、『着た方がお洒落』と言ってこの布を下さいました」
「あ、そっか。ゴーレムって、魔法で命を吹き込まれたんだっけ」
「はい。…………フロアの説明に戻りましょう」
そう言ってレダは、階の外周に位置するクレイ達の居室とは廊下を挟んだ向かい側…つまり三階の中心部にある一際大きな部屋の前へとクレイを案内した。
「ここは…?」
「フェイラン様の居室です。寝室以外にも、書斎・やや小型の浴室も含まれております」
「浴室付きなんだ…僕らの部屋は机と椅子とタンスとベッドとかしかないよね。前の家に比べたらとっても広いんだけど…」
「要望がございましたら、私が町から家具を調達して参りますが?」
「調達って…その格好で町に出るの!?」
露出狂に見られかねないその発言にクレイが驚くと、レダは首を横に振る。
「いえ、その時はスカートとベストを着用します。屋敷内では窮屈なので脱いでますけど」
「あ、そうなんだ。良かった…」
「ちなみにフェイラン様の居室は捕まえた魔物や我々関係者との交わりの場でもあります。ですから、浴室も内部に完備しているのです」
「そうなんだ…え?…交わりの場って…もしかして…」
レダは今度は首を縦に振る。
「分かりやすく言いますと、性交の場です」
「…………レダさんもフェイランさんと…?」
クレイは顔を赤らめつつ、恐る恐る訊ねた。
「はい、何十回か」
「そんなに!?」
「今までアルカ計画関係者でこの屋敷内にいるのはフェイラン様を除けば私だけでしたから」
「じゃぁ『我々関係者』って言うのは…」
「今は私とクレイ様です」
そのとき、クレイの頭に、肯定したくない疑問が浮かんできた。
「って事は、僕も…………フェイランさんと?あはは、まさかね…」
「いえ、その通りですが?」
クレイの表情が凍り付き、思考が停止した。
「え?…え?…………僕、男の子だよ?」
「フェイラン様はクレイ様の様な可愛らしい男の子…『ショタ』と言いましたね、ショタも大好きでして。性交対象として見ております」
「…………えぇぇぇぇ!?」
クレイの脳裏には、フェイランと会ったときに言われた一言が浮かんできた。
―何、精力についての心配はいらない。私がじっくり鍛えてあげよう。
(それって…………つまり…そういう事…?)
それを思うと背筋が真冬のように寒くなる。
「フェイラン様は凄いお方です。貴方を性処理雌奴隷の様にするのもそう難しくはないでしょうね」
「せっ…!?」
レダの口から恐ろしい単語が飛び出したので思わずクレイは言葉を詰まらせる。
フェイランの雰囲気を思い出せば、それが嘘でも誇張表現でも無いと確信できるのが怖い。
「…では、ヴァルハラの説明に戻りまし
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