子供というものはついつい問題を引き起こす。
それは魔物娘でも同じことだ。ハプニングのない子供なんていない。
でも、そんな失敗や経験の積み重ねによって、子供は成長していくものだ。
失敗を反省しなくちゃいけないのは、大人でも変わらないことなんだけれどね。
それは誰でも理解しているはずなのに。
大人はずるいから、ついつい忘れてしまうものなのかもしれないな。
・〜ある日の朝〜
「・・・おはよーございまーす」ススー・・・
「・・・・・・・・・」
部屋の扉をゆっくりと開け、中を観察。
内装に散らかっている様子はなく、綺麗な部屋だ。
落ち着いた装飾やジパング産の小物から、和風な雰囲気が漂っている。
このような寝起きドッキリみたいになっているのは訳がある。
「・・・んん〜?」
「・・・・・・・・・」
ベッドは掛け布団がこんもりと膨らんでいる。
今からこの部屋の妹を起こすのだが・・・
果たして今日は何を『仕掛け』てくるのやら
「・・・あ〜さ〜だ〜ぞっ!!」バサッ!
布団を勢いよく捲り上げる。
そこにいたのは・・・
「・・・抱き枕?」
「目標をセンターに入れて・・・」
「!?」
しまった!?背後を取られt
「スイィィィィィィィィィィィィィィィィィィッチ!!!」
ドゲシャァ!
「えばぁっ!?」ゴフッ
背後のクローゼットから、今起こすはずであった妹からの奇襲を受けた。
割と遠慮のない飛び蹴りを回避することができず、腰にクリーンヒット。
そのまま妹のベッドにダイブする形となった。
そこに着地することまで想定された、比較的美しい蹴りである。
「・・・おはよう、カリナ」
「おはよう。にぃに」ニシシ
振り向くと「してやったり」とも言わんばかりの満足気な表情を浮かべている。
黒い翼で器用に腕を組み、俺を蹴り飛ばしたであろう鳥の脚をプラプラと揺らしている。
この妹はいたずら好きなカラステング。
朝の起床時間は、カリナの俺に対する奇襲の時間なのである。
「まさか身代わりとはな。恐れ入ったよ」
「ふふふ、私は常に成長し続ける可能性の『カマタリ』だからね」フフン
「ほー、随分と大層なものでできているんだな。知らなかったよ」
「ふふーん、だからにぃにはダメなんだぞぉ。もっとあたしを見なさいよねっ」
「善処するよ」
ちょっとお調子者なところもあるけれどね。言葉間違っているし。
奇襲とは言ったが、これが家族としての好意故の行動であることは分かっている。
あまり妹に構う時間が取れない手前、こういう悪戯も少しは容認しているという訳で。
忙しさにまみれている時は、流石に制したりもするが。
そこはカリナも理解しているから問題はない。
「でも飛び蹴りはやめような。危ないから」
「にぃににしかやらないから大丈夫大丈夫」
「・・・・・・・・・」
「ご、ごめんなさい」
こんな風に、根はいい子だからね。悪いと思ったことはすぐに謝ることができる。
でも意地っ張りなところもあるから、譲れないものがあると衝突しちゃうこともあるようだけど。
「しかし、こうやって一人でも起きられるようになったなんて、流石だなぁカリナは」
「えへへ、そんなに褒めないでよ。照れるじゃん///」
「他の妹達にも見習って欲しいくらいだ」
「いやぁ〜そんなそんな///」デヘヘヘ・・・
「じゃあもう俺が起こしに来なくても大丈夫だな」
「ゑ・・・?」ピシッ
あれ、何か今亀裂の走る音が聞こえたような・・・
俺の常備している時計にひびでも入ったかな。後でチェックしとこ。
「それじゃ、俺は他の妹も起こしに」
「ちょちょちょちょぉーっと!待って欲しいかなぁー!!」
「ん?どうした。もうそろそろ行かなきゃ」
「そ、その発言は見逃せないかなーって。えと、さっき、なんて?」
「それじゃ、俺は他の妹も起こしに」
「その前!!」
「んー、『もう俺が起こしに来なくても大丈夫だな』」
「それぇっ!!いやその理屈はおかしい!」
「えっ」
理屈がおかしいとまで言われた。
え、普通じゃないの。俺としては一人分の時間が減るだけでも充分有難いし、何より妹の成長を非常に喜んでいる一言なんだけれども。
まあ、朝のやり取りがなくなると考えると、結構寂しいかなぁ。
でもそれ以上に、自立の道を歩み始めた一人の妹に感動を覚えて・・・
「きょ、今日はたまたま!本っ当に偶然!目が冴えちゃったから、起きられたってだけであってぇ!
明日からは、多分、絶対、にぃにが起こしに来ないと、一日中寝ているかもしれないという危険が危ない!」
「少し落ち着いて。言葉がおかしい。俺も頭痛が痛
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