俺の名前は『セイン・アストラダー』。今日この学園に入学した奴らの一人だ。校長の話、先生の紹介、施設の利用、学校の規則についてなど色々と説明を受け、それがようやく今終わって大講堂から出てきたところである。
「ふぃー、結構長かったなぁ…」
不意に俺の横から先ほどの式の感想が聞こえてきた。
「入学式なんだから長いのは当然だろーよ」
「しかもこのあとまた説明あんじゃねぇかー、疲れるわぁ…」
「我慢しろよ」
こいつは『ルーク・ミドルハイカー』、俺の同郷から一緒に出てきた、まあ所謂幼馴染だ。ちなみに男。俺はこの学園に冒険者志望で来たわけだが、どういうわけかこいつもついてきた。理由は「俺の頭でも入れるし、何より女の子が多い!」からである。なんというか…。
「ほらさっさと教室行くぞ」
「へーい」
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校舎の廊下に張り出されているクラス分けの紙を確認する。
「さて、俺のクラスは、と…1−Bか」
「おぉ!俺も1−Bだわ」
「へー、あ、そう」
「冷たくねぇ!?俺への反応冷たくね!?」
「いやまあ、だってねぇ」
小さい頃からずっと同じ学校で同じクラスだったからなぁ、ここではどうかと思ったが…変わらなかったな。まさしく腐れ縁だ。
「そろそろルークも一人立ちすると思ってたのに、全く」
「クラス分けランダムだよな!?俺のせいじゃなくねぇか!」
「さて、行くか」
「無視しないで!お願いスルーしないで!初日から騒がしいやつだと思われてハブられたくねえ!」
ツッコミが無駄に激しくなってきたのでスルーして教室に入ることにしよう。
無駄にやかましいのはいつものことだ。
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教室に着いたのでドアを開ける。
ガラガラッ
ザワザワザワ… ザワザワザワ…
もう多くの学生が教室に入ってるようで、席についてたりおしゃべりをしていたりと様々だ。
「うぉ〜、やっぱ可愛い女の子いっぱいだなぁ〜(´▽`)」
「そりゃこの学園人魔共学だからな」
この学園は人間だけでなく魔物も多く通っている。どちらかといえば魔物の方が多いくらいだ。魔物で外見が可愛くない奴なんて見たことがない。
しかし、バカでかい斧を背負った女子や下半身が蛇だったり手足が鱗だったりといった奴がうようよいる光景にはいささかビビる。
地元じゃそこまで魔物いなかったからなぁ。
「ん?なんか書いてあるな」
『10時40分から授業の説明について開始する。今回は席は自由とする。』
黒板には均等に書かれた綺麗な字でこう書かれていた。
「自由席か…どうする?」
「う〜ん、後ろで寝てたいしなぁ…」
「先生美人かも「よし前に座ろうぜ」よ」
やっぱり即答かよ。
「寝てたいんじゃなかったのか?」
「バカ野郎、美人で綺麗な先生を至近距離で見たくないのかっ?」
綺麗な先生だなんて決まってないんだがな…しかも女性かどうかわからんし。
そんなことを思いつつ、教卓近くの前の席の方へ鞄を置く。
まあ最初だし授業の話は大事だからな。前に座りたくてこいつを誘導したわけだが。俺でも一人で前の方に座るのはなぜか抵抗がある。
「どんなセンセーかな〜ぁ♪楽しみだな〜♪」
「顔キモいぞ、やめろ」
「うっせぇ!」
「あはは…仲いいんですね」
そんなことを言いあってると隣に座ってる奴が話しかけてきた。
どうやら先に座っていて、気づかず隣に座ってたらしい。
金髪ショートヘアーで目元がデフォルトでニコニコしてる細目の男だった。
身長はやや小さい感じで、いかにも「優しそうな奴」的オーラが出ている。
「あぁ、悪いなうるさくて」
「いえ、別に構いませんよ。僕は『リント・ヒーリンス』っていいます。これからよろしくお願いしますね」
「おう、よろしくな。俺はセイン・アストラダーだ。セインで構わん。
…ああ、あとこいつはルーク。友達といっていいかどうか怪しい奴だ。」
「ひでぇ!?親友だろ俺たち!」
「ハテ?どちら様かな?」
「お前から紹介したよな俺を!?」
「ははは…」
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「静かにしろ、時間だぞ」
そんな会話をしているとドアが開き、先生と思われる人物が入ってきた。
「喋ってる奴もさっさと席についてくれ。君たちも早く説明を終わらせたいだろう?」
長い黒髪にとんがった犬耳、手はもふもふの毛に覆われた獣の手。
スーツこそ着ているが紛れもない魔物、アヌビスである。
「それに予定が合わなくなるしな」
それにこの時間の細かさは絶対アヌビスだろ
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