朝 自室
眠気まなこで目が覚めた。
頭を起こすためにもカーテンを開くと、部屋が光で照らされる。
外の景色を見ると、木々は雫を垂らし、地面は湿ったままである。
「昨日の夜は結構な豪雨だったからなぁー・・・」
昨日はユキカゼ先輩と別れた後・・・飯を食って、シャワーを浴びて・・・
そんで疲れがドッと来たからすぐ寝たんだっけ。
時刻は現在7時。いつもよりは少し早い時間に起きたみたいだ。
いつもなら一時間ほど二度寝をするんだが・・・何故かそういう気分ではない。
「・・・妙に目が覚めてるな・・・なんでだろ」
いつもと違う自分の感覚に違和感を覚える。
別にどうでもいいようなことなんだが、何故か気になってしまうものである。
あ、そうか・・・
「今日はあの『夢』、見てないのか・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
朝 食堂
せっかくいつもより早く起きたので、早めに朝食をとることにした。
ちなみにリントも一緒である。
・・・俺が7時に起きた頃にはすでに起きていて、色々と準備してた。
なんか悔しい。
「さーて、何食うかな・・・」
「おや?あれシューゼンじゃないですか?」
ん?どれどれ・・・
確かにシューゼンだな。あんな銀白髪で今の時期手袋してる奴なんて他にはいないだろう。
どうやら注文しようとしてるみたいだ。
「よう、おはよー」
「おはようございます」
「ん?あぁ、お前らか。おはよ。朝早いじゃないか」
「お互い様だろ。で、何を頼むつもりなんだ?」
「焼き鮭定食。に・・・・・・しよと思ってる。いやぁ、ジパングの飯が食えるなんてレシイ(嬉しい)限りだね」
「うまいのか?それ」
「食べ慣れてるもんは美味しいと感じてるが、そんなの人によるし、食ってみないと分からんな」
よーするに説明が面倒くさいんだな・・・
「ふーん・・・じゃ、俺もそれにすっかな」
「僕もそれにします」
「ん、おっけ。すいませーん、焼き鮭定食3つくださーい」
「毎度有りー!よく味わって食ってくれよ!」
中でそう答えたのは食膳委員長のセリ先輩。
この人も一体何時起きなのかね・・・。
・・・・・
「さて、と。席はどこ空いてっかな」
少し早めに来たといっても、学生の数はそれなりにいる。
空いてる席を探すのにも手間がかかるのだ。
そんなこんなで探していると、知ってる人物に出くわすわけで・・・
「あら?昨日もお会いしましたね。その節はどうもありがとうございました!」
「い、いえいえ・・・大したことはしてないんで頭を上げてください・・・」
「出会ってすぐの人のお手伝いをするなんて、普通に出来ることではありませんわ!」
出会い頭に、お礼とともに頭を深く下げられてしまった。
ユキカゼ先輩・・・目立ってて恥ずかしいんでやめてください・・・!
「この人は誰なんですか?」
「剣撃部の先輩だよ。昨日リティと二人でこの人の手伝いしたんだ」
「その方達は・・・?」
「俺の友達です・・・」
何かこの板挟み状態がつらい・・・!!
何とかせねば・・・
「あ、俺たち朝食をこれから食べるんでこれで」
「まぁ・・・!それならば御一緒しませんか?大勢でお食べになった方が美味しいと思いますわ!」ニコニコ
こ、断れねぇ!
受けない理由もないし、何よりその笑顔でお願いたら、断ってから罪悪感しか感じないし・・・!
「わ、分かりました・・・。いいよな?」
「僕は構いませんよ」ニコッ
「ん」
「それではこちらにどうぞ・・・」ニコッ
ユキカゼ先輩は俺の少し後ろに微笑みを向けた。
その視線の先は・・・シューゼンがいるな。
だってシューゼンも目逸らしてるし・・・
お前また何かやらかしたんじゃないだろうな・・・?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ん?おいシグレ。後ろの奴らは何だ?」
「見かけない顔だね〜」
ユキカゼ先輩に案内された席には、すでに先客がいた。
おそらくこの人達と朝食をとりに来てたんだろう。
「昨日お伝えした、私を手伝ってくださった子と、そのお友達です♪」
いつの間にやら話が広められている!?
そう何度も助けたことを伝えられるとすっごい恥ずかしいんですが・・・
しかも本当に大したことない内容なだけに、反応に困るし・・・
「ご紹介いたしますね。
こちらの眼鏡をかけている青鬼さんが『アイザキ キゾメ』、
そして黄金色の髪をしている稲荷さんが『クインジ ヒメ』と言いますわ」
「よろしく頼むよ、後輩達」
「よろしくね〜♪」
付け足すと
やや固い口調の方がアイザキ先輩、
比較的柔らかい方がクインジ先輩である。
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