この演習用の山林地帯には名前が存在しないそうだ。
おかしな話だろう?広大な自然は、それこそ自然に名前がつけられるものだ。
だがどういうわけか、この森は長い歴史のなか名前を持つことはなかった。
もしかしたらかつては名前はあったが
魔王軍の所有土地となったことで失ったか。
それとも本当に誰も名付けず今までの歴史をめぐってきたか………。
私はあらゆる「景色」というものを眺め楽しむのが好きな男だ。
だから自然と永い時の産物であるこの山林地帯に名がないのが不憫に思う。
もしもマスカーとの戦争に決着が付いたら…………
この山林地帯に名前を付けるように上に提案でもしてみよう………、
ここには、第四部隊のみんなの思い出があるのだからな………。
演習用山林地帯。
私とリゼッタが落ちた川にて、
私を含め第四部隊は休日の遊楽としてこの川に訪れることにした。
昼食用の食料調達、日頃の疲れの癒しの為もあり
それぞれがその川にて独自に自由行動をとっていた。
私は川に木の枝に括りつけたヴィアナ特製の糸をたらし、
俗に言う釣りを楽しむことにした。少し背の高い岩の上からだ。
穏やかな川の流れを眺めながら、私は隊員たちの様子に目を移した。
「エイッ!」(ばしゃっ)
「きゃっ!やったなぁ〜それっ!!」(ばしゃっ)
「当たらないですよぉ〜〜♪と私は思います」(バサァッ)
「あ!飛ぶなんてズルよぉ!」
「軍人にズルなんてありません、全部が戦略なんです♪と私は思います」
ヴィアナとノーザが楽しそうに水をかけあい、
途中でノーザが回避のために羽ばたいた。
だがアレではノーザは水をヴィアナにかけれないだろ、と私が思うと
二人もそれに気付いたらしく、ヴィアナがノーザ目掛けて水を飛ばし続け
ノーザがそれを慌てて回避するが、途中で足を掴まれてしまい
ザッバーンッ と大きな水音を立てて二人は川に身を投げ込んだのだった。
おっと、今ので魚が逃げてしまった。せっかく引いていたのだがなぁ……
「……………………………………そこだぁっ!」(すばしゃっ)
「ハッ!」(ひゅひゅん ドスドスッ)
「相変わらず良い腕だなキリアナよ」
「私なんてまだまだ未熟者だ、サキサの手癖が良いのだ」
「フッ、なにも謙虚することもないのに………健気だな友よ、
それはそうと今ので何匹目だ?」
「ふむ、ザッと7匹というところだろう」
「まだ足りないな…………、よし!あと十匹を目標にしよう、頼むぞ盟友よ」
「うむ、了解した」
あの二人は休日だと言うのに精が出るものだ、
足までを水に浸しているサキサが剣を鋭く川に打ちつけ
その衝撃で飛び跳ねた魚をキリアナが矢で射抜く。
射抜かれた魚は次々と向こう岸の木に矢ごと突き刺さっていく、
そしてたった今さらに8匹目を射抜いたようだ。
あの二人のああいったコンビネーションは戦場でも大いに役立つだろう。
それぞれの実力も本物な故、我が隊でも自慢の二人組だ。
あ、また魚に逃げられてしまったぞ………。
「もぉ〜、シウカったらぁ
水で濡れた体がセクシーすぎてたまらないじゃなぁい♪
こんなおっきなオッパイたわわんと揺らしちゃってぇ〜〜〜♪」
「あっ…こらっ……あん、後ろから……ん……揉んでくんなよぉ♪」
「そんなこと言っちゃって声が随分と色っぽいじゃなぁい♪」
「あ……ん……やめっ………はぁんッ……ん、ちゅ……♪」
「ちゅ……ん……うふ……あはぁ…♪」
相変わらずだなあの二人は………。川に浸かってまでなにやってるのだか…、
今更魔物の性欲に正直なあの淫乱さをどうこう言うつもりはないが、
いくら親しい間柄とはいえ男の私がいるのに堂々と乳揉んでキスするという
のもいい加減野暮に感じてくるな、
ほかの隊員たちにいたってはあの二人を無視しているしな、
さすがに慣れたのだろう、まあ慣れるのもどうだと思うがな…………。
さてと、私のほうには相変わらず魚が来ない。
……………サキサたちのように剣で捕らえれば早い話なのだが
それではいささか趣と遊び心というものがない…………、
(くいっ)「……!……来たか」
すると私の虚しさを励ましてくれるかのように
釣竿を引っ張ろうとする動きを感じた。
私はすぐさま釣竿を持つ手に力を入れ一気に引っ張りあげようとしたが……、
「んっ……随分大物が喰らいついたか………ッ」
釣竿のエサに喰らい付いてくる力も尋常じゃない
ついでにエサは昨日のクリームシチューの具のあまりものの肉の切れ端。
だが舐めるな、私はこれでも魔物を率いている隊の隊長。
シウカには及ばないがパワーなら並ではないぞ………!
「獲ったァッ!」
一瞬の判断で私は一気に獲物を引き上げた。
休みなだけあり、私も普段とは想像できぬ
テンションの高さで全力で釣りを楽し
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