第六章†安息と不穏な影†

21時を過ぎており、辺りはすっかりと夜の闇に包まれていた。
そんななか私とリゼッタはいまだに手を繋げたまま木々の間を掻い潜って
川を沿って獣道を歩いていた。
一応言っておくがまだ手を握っているのは暗いからだぞ?理解できるな?
だってはぐれたり躓いたりしたら危ないし………。

「フフッ、隊長………♪」

その筈なんだがなぁ…………

「リゼッタ、手を握るのは許可したが身を寄せろとは言っとらんぞ……」

先程からリゼッタは私と手を握りながら身を必要以上に寄せてくるのだ。
そりゃあモフモフした体毛やピコピコした耳が
腕や顔に当たって気持ちよくはあるが
こういった獣道ではいささか歩きにくいというもの…………。
実際リゼッタに注意するのもこれで3度目だ。

「みんなと合流したらこんなことできませんからいやです♪」
「お前……いくらなんでもものの程度というものがあるだろに」

……少しきつく言ってやればワーウルフの本能で
それなりに従うのだが、実際そうしないところから考えて私自身
リゼッタにこうしてもらうのが結構気に入っているのかもしれないな……。
そう思いながら私はリゼッタのほうを見ると、
なんとも幸せそうな顔で頬を染めて、私に寄り添っていたので、
もうしばらくこのままでいいかと納得するのだった。まだまだ青いな私も……

「おっと………、見つけたぞ明かりだ」

向こうのほうに木々の間から漏れたひとつの明かりが目に入った。
私に釣られリゼッタも光の方角を見る。

「キリアナさんたちですか?」
「十中八九間違いないだろうな」

この広大な自然は魔王軍関係者が訓練用に特別管理している土地だ。
そんなところで火を灯す者など私たち以外考えられない。
ある意味今が夜で幸運だった、そうでなかったらまだ当分迷っていただろう。
私はさすがにここまでだと思いリゼッタと手を離し、
明かり目指して進むのだった。リゼッタ……そんな残念そうな顔しないでくれ







「隊長!無事だったのですね!」

明かりに向かって辿り着いた先には案の定みんなが火を囲っており、
一番初めに私たちの存在に気がついたキリアナが声をあげた。

「おお隊長、リゼッタも……あまりにも遅いから心配したぞ!
なにかあったのか!?」

キリアナに続いてサキサも声をあげてやって来た、
ノーザとヴィアナもその声を聞きつけたのか、
上から飛び降りてきた、木の上にでもいたのだろう。

「隊長、リゼッタ そこらじゅう飛び回ったんですよ!と私は思います」
「無事でなにより、安心したわふたりとも…………でも大丈夫?
随分と怪我が多いみたいだけど………?」

皆が皆で私たちに集まって気をかけてくれている、
ふむ……、隊長として隊員が仲間の身を心配するこの様子は見ていて
なかなか微笑ましいものだ。

「みなさん、心配かけて本当にごめんなさい」

横でリゼッタが頭を下げ、私は懐中時計に目をやった。
21時半か、随分と経っているな……
とりあえず私はキリアナたちに崖から川に落ちて流された経緯を説明した。
当然リゼッタとの情事については黙秘した、言えると思おてか?



「…………あれ?そういえばシウカさんは?」
「なに?」

リゼッタの発言に私も気付いた、
今この場で集まっている隊員たちのなかであいつだけがどこにもいない。

「大丈夫ですよ隊長、シウカさんは今少し手の離せないんです。
敗者の『罰ゲーム』で…………と私は思います」
「なるほど、シウカのやつめ。あの状況から巻き返せなかったか……」
「隊長たちが行方不明ではあったが、状況がはっきりするまで
正当なる軍事演習を止めるわけにはいかないからな。
ひとつしかないシウカのバッジと、私たちのバッジを総合、
そして隊長にバッジを奪われたシウカの話を聞いて
奴が一番のビリだとすぐにわかったぞ。あろうことかやつめ、
隊長にバッジを奪われた後、寝過ごしたそうだ」
「ははっ、シウカさんらしいですね」
「まったくだな、それでシウカはどこに?」
「隊長さんたちが来るちょっと前に鍋に水を汲みに
行ったから〜〜〜………時間的に考えてそろそろじゃない?
隊長さんったら、入れ違いになっちゃったわねぇ♪」
「らしいな……」

話の内容で納得しながら、私は近場にあった丸太状の長椅子に腰を下ろした。

「…………隊長さん、ちょっとごめんなさいね」
「ん……ああ、すまないな」

ヴィアナが私の隣に座り込むと、
彼女は日頃持ち歩いている携帯用の医療用具一式を取り出し、
私の傷口に薬を塗った。これはヴィアナのもつ意外な特技といったところだ。

「リゼッタちゃんも薬塗る?」
「いえ、私はもうほとんど回復していますから……」
「それならよかったわ。でも隊長さんも人間で大変よねぇ〜〜
いっそのことインキ
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