第五章†山林地帯軍事演習†

私は隊員たちとの関係を深めるため、野外での演習を提案した。
カナリア公に渋々の承諾を得て、
魔王軍の所有地であるとある山林地帯での演習が許可された。
期限は四日、その間に隊員たちとより互いの事を知り合う必要がある。
軍人として、この演習が効果的ならいいが………なかなか不安なところだ。


私たちは現在、移動用の馬車に乗って演習場である山林地帯に向かっている。
シュザント拠点から4時間程のところだが、周りには民家もないため
演習にはもってこいだ。しかしまぁ場所が山林なため、
サバイバルに近いところはあるだろうな…………。


「なぁ隊長ぉ〜、まだつかねぇのかよぉ〜〜?」

手綱を引いている私に座席に座っているシウカが愚痴を零してきた。

「いい加減腰が痛くてしょうがねぇぜ、
おっかしぃなぁ、日頃ヴィアナとヤってるから腰は強い筈なんだけどなぁ〜」
「ちょ、ちょっとシウカさん!はしたないこと言わないでくださいよ!?」
「あ〜あリゼッタったらそんな顔赤くしちゃってぇかわいいんだぁ〜〜♪
そうだぁシウカぁ、こんどする時リゼッタも混ぜてあげなぁい?」
「お、それいいなっ!」
「えっ!?い、嫌ですよっ!?私そんな趣味は………ッ!」
「お前たちそれぐらいにしておけ」

これ以上あの二人に弄らせるとさすがにリゼッタが不憫と思い、
私はすぐに二人を止めた。そしてポケットから懐中時計を出し、
シウカの質問に答えてやる。

「目的地まではあと30分ぐらいだ……それまで辛抱しろシウカ」
「ぶぅ〜〜〜〜………」

どうでもいい事だが牛のこいつがぶぅ〜と愚痴ると妙な違和感があるもんだ。

「隊長、森が見えてきました!」

馬車の隣で走っているキリアナの言葉に私たちは前方を凝視した、
キリアナの言うとおり、森が見え、その奥に山も見えてきた。

「よし、森の中にキャンプ場がある。
そこにテントを立て一時的な拠点とする」




山林地帯なだけあり、周囲にはとても背の高い木が大量に聳え立ち、
草花も限りなく生い茂っている。
その隙間から差し込んでいる太陽の光がその光景を美しく輝かしている。
そんな光景がしばらく続くと、
赤い旗が立てられてある指定されたポイントへと辿り着いた。

「よし、私は馬車を適当なところに片付けてる。
お前たちは先にテントを準備しておいてくれ」

隊員たちがそれぞれに了解と呟き、
馬車の荷台にあるキャンプ用具を取り出し、準備に取り掛かった。





「隊長、さっそく演習内容の説明をお願いしたい」

好戦的なサキサは一刻も早く戦いたくてうずうずいているようだ。
テントの用意を一通り済ませ、いち早く私に尋ねてきた。
それに続き、ほかの隊員たちも集ってくる。

「…………そうだな、そろそろ説明するとしよう。みんな聞いてくれ!
今回の演習は第四部隊だけで行う、
できれば魔王軍の部隊にも合同を願いたかったが、
この間のマスカーの一件で、どこも手が外せないらしい…………
よって今回はできる限りのサバイバル方式で執り行う」
「サバイバル方式ですか?」
「そうだキリアナ、これだけ広い自然地帯だ、これを使わない手はない。
我々は軍人だがどこでどんな戦いが起こるかわからないからな、
場合によっては隊から離れて孤立する状況だってある。
今回の演習はそのような状況をふまえてのものだ」

そして次に私は懐からスケジュール表を取り出した。
昨日の夜、寝る間を惜しんで仕上げたものだ。その為今はちょっと眠い。
その眠気を振り払い、私はスケジュール表をみんなに見せる為広げた。

「それがこの四日間の予定ですか?」

地面に広げたスケジュールを見てリゼッタが質問してきた。

「ああ、さっそく今日一日は夜までの演習を行う
そして明日なんだが……、その日はお前たちとともに休日を過ごそうと思う」
『えっ?』

みんなが声を揃えて目を見開いている、まあ当然だろうな。
こんなことを私が言い出すなんて自分でも意外だと思っているんだ。

「不満か?私としてはお前たちと関係を深めようと思っての考えなんだが…」
「い、いえいえ!不満だなんてちっとも思ってませんっ!」

まっさきにそう言ってくれたのはリゼッタだった。

「隊長が自分からそんな事言うなんて正直意外ですと私は思います」
「私自身もついさっきそう思っていたところだ
だが…………昨日、お前たちと食事をしていて気付いたことがある」
「気付いたこと?」
「そうだな…………例えばサキサ、私の嫌いな食べ物は?」
「嫌いな食べ物だと?」

サキサは考え込むように押し黙る、
尻尾をくねくねさしているのは無意識だろうか?少し気になる。

「隊長の嫌いな食べ物など、私は知らんぞ?」
「そうだな、私はお前に話していないし、
私もお前の嫌いな食べ物を知ら
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