第二章†出動要請†

第四部隊隊長を務める私としては、
彼女たちのそれぞれの特化した能力を見極める必要がある。
その見極めにはまず彼女たちの訓練の際現れる特徴を観察すればわかる。

「イッチニー、イッチニー………よし!
ランニングはここまでとし、つぎは遠距離攻撃の練習に入る!
それぞれ、自分にあった遠距離武器を用意しろ!!」
『はいっ!!』

この遠距離攻撃の訓練は100メートル離れた的を射抜く、
この訓練で特に実力を発揮するのはケンタウロスであるキリアナだ。
彼女は元々シュザントに入隊する前は狩人として生計を立てていたらしく、
我が隊では彼女の弓の実力は群を抜いており、非常に頼もしい。
ほかにもキリアナは薙刀のような槍を扱うことにも長けており、
近中遠距離、そのすべてを彼女は補うことができる。

そんな彼女に比べて弓やボーガンの扱いが非常に不得意なのが
ミノタウロスのシウカだ。
どうも矢を放つ際に一番大切な集中力がないのが原因らしい………、
しかし彼女の場合はそれをも補う斧による強力な破壊力がある為、
重装備を持った敵に対しては非常に頼もしい。

接近戦でいうのなら、リザードマンのサキサも実力は十分だ。
シウカのような破壊力こそないものの、多少弓は扱える上
的確な攻撃で確実に相手を倒す技術に長けている。

そして次にワーウルフのリゼッタだが、
彼女はその素早い身のこなしで、連続的な攻撃を得意としている。
並の人間が相手では、その素早い動きに翻弄され、いつの間にかやられている
という悲しい敗北を味わうだろう。

次にブラックハーピーのノーザは頭脳面が優れており、
相手の動きや考えを予想し、それに対処した動きができる、
さらに羽を有しているため 制空権を自分のものとすることによって、
人間では対処できないような攻撃が展開できる上、空からの偵察が可能だ。

最後にアラクネのヴィアナだが、これがなかなかの曲者。
自慢の糸を器用に操り、戦場の無数の罠を張るため
少しずつ敵の数を減らすこともできれば、敵を誘い出し
一網打尽にすることもできる。
(だが彼女曰く、時々味方の兵士も罠に掛かってしまうのはお約束らしい)

このように、私は隊長として彼女たちの特性を熟知し
戦場で各々の能力をうまい具合に効率よく使い分ける必要があるという訳だ。
その使い分けが戦場での彼女達の生死を左右するのだからな………。



午前の訓練が終わり、今日は隊員たちに12時から16時までという
満足のいく有意義な休息をとらせてやることにした。
ヴィアナやシウカが言ったとおり、最近訓練詰めだったからな。
その間、私は隊長室である自室で上官からの報告書などを確認していた。
するとその時、扉からノックが聞こえてきた。

「隊長、お時間よろしいだろうか?」
「この声……サキサか、入れ」
「失礼します」

ガチャリと扉の音を鳴らし、サキサが入ってくる。
私も手にもっていた書類を机に置いた。

「どうした?総隊長からなにか伝言でも預かってきたか?」

ついでに総隊長というのは、私が所属するこの拠点そのものを統一している
我々隊長格の隊長と言ったところだ。
じきに会うだろうから、君にはその時に詳しく紹介するとしよう。

「いや、今回は私用で参らせていただいた。
隊長!私と手合わせをしてくれないだろうかっ!?」

その言葉に私の体がぴたりと止まってしまった。

「………お前、自分がリザードマンだと自覚してそれを言ってるのか?」
「ご、ご、ご、誤解しないでくれ隊長!
私が頼んでいるのはあくまで『手合わせ』であって、『試合』じゃない!
け、けっして隊長をお、お、夫にしたいとか、そういうのではないッ!!」

赤面で手を大げさに動かし、サキサは必死で否定する。
なにもそこまで全力で大げさに否定することもないだろうに………。

「しかし随分と突然なのだな、なにかあったのか?」
「い、いや。別にそんなおおそれた理由はない。
ただここ最近、隊員同士の模擬戦訓練では物足りなくなってしまってな。
それで考えてみれば、私は隊長と一度も手合わせしたことがない。
それで隊長がもしよければと思い………」
「…………ふむ、」

確かに考えてみれば第四部隊の隊長となり 
隊員の何人かとは手合わせしたことはあったが、サキサとは一度もない。
隊長として、一度手合わせをしてみれば
また新しい特徴の発見ができるかもしれない。
それにここ数日出動命令もなかった為、自分の腕が鈍っている可能性がある。
丁度良いかもしれん、
なによりサキサの剣の腕は我が隊でも上のほうだ、
彼女から学ぶものも多だあるだろう。

「わかった、場所は中庭でいいな?」
「うむ、問題ない。隊長なら受けてくれると思っていたぞ!」

とても嬉しそうな顔でサキサが私の部屋を後にす
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