第十五章 †裁き灼熱†

火山へと近づく高原の彼方に向かって、
軍内支給されている双眼鏡を覗き込む。
緑の自然が広がる高原の世界、
その奥地より威圧的な存在感を放つ火山より
緑の世界より一際目立つ深緑をした一団の姿。
私ことザーン・シトロテアとその両側で配置につくヴィアナとシウカ。
そしてその一団より見える深緑の中に異色を放つ
白銀の鎧兵…それを確認すれば私は僅かに眉間に小じわを寄せた…。
敵の行軍陣形は外側を突撃用の騎馬聖兵で固め、
歩兵には守備力の高い聖甲兵、小回りが効く剣戦兵で固め、
中央には援護射撃用に飛射兵で固めるという本格的な陣形であった。

「……面倒な、よりによって聖甲兵までいるか」

舌打ちを零し、先ほどから物欲しそうに
双眼鏡をねだるシウカにそれを手渡した。
双眼鏡を覗いたことないのか、シウカは「おぉー!」と
関心の声を零しながら周囲を一望している。
もう少し緊張感を持って欲しいところではあるが、
逆にその興味深々にと尻尾を振るその姿に
どこか不安を和らげてくれるものがあった。

「…隊長さん、本当にこの作戦うまくいくと思う?」

そんなシウカを見ていた私の横から
ヴィアナが少し不安げな声色で訪ねてきた。
聖甲兵という強兵科に対しての不安からか…。

「サキサとキリアナがどれだけ早く合流してくるか…、
だが少なからずリゼッタたちは補給地に襲撃を成し遂げているのだ。
こちらにはエレノット将軍率いるリザードマン・ラミアを中心とした
爬虫類部隊もいる、あとはどれだけ私たちがそれをうまくサポートするかだ」

望遠鏡で確認した火山とはまた違ういい位置から立ち上る不自然な黒煙、
敵兵力分断の動きは確認済みだ、リゼッタたちは事を成し遂げ
敵部隊を迂回して私たちのところに向かっているはずだ、
時間が過ぎればそれだけこちらに余裕が出来る。

「……隊長さん」

現状を整理していた私に向かって突然ヴィアナが
どこか不安を感じさせる声色で話しかけてきた。

「以前みたいに…急に倒れたりはしないで頂戴ね?
今、この作戦では…いいえ…これまでもこれからも、
私たち第四部隊では貴方は間違いなく『要』なのだから」
「…心配するな、体調は万全だ。
それに私はお前たちの為にある、以前のような失敗は踏まんさ」

「ふふっ…、頼もしい」
(そんなこと言って…結局無茶するのが貴方なのよ隊長さん…)

「ザーンさん!」


そんなヴィアナとの会話に、エレノット将軍が
その蛇の体を引きずって現れる。その背後に一頭の黒い馬が同行していた。

「エレノット殿、用意していただけましたか」
「ええ、貴方に頼まれた通り。
部下に頼んで脚力の強い馬を一頭取り寄せたわ」
「有難うございます、では先ほど伝えた言の通り…
貴方方爬虫類部隊を中心に進軍、我が第四部隊は全面的なサポートに回り
一歩一歩確実に敵軍を押して行きましょう、焦らず確実に…。
リゼッタやサキサたちの分隊もこちらに向かっています。
相手は防御面に優れた聖甲兵、深追いせず徐々に追いやっていきましょう」
「了解したわ」

私たちは互いに敬礼を返し、
エレノット殿は自らの部隊の元へ向かい、私は用意された黒馬に跨った。

「隊長さん、乗馬での戦闘は久々じゃない?」

その私の姿を見上げながら、ヴィアナが顎に指を当ててそう呟いた。
双眼鏡で一通り眺め終えたシウカも私の姿とヴィアナの発言に
同意からかの頷きを示す。

「おお、そういやぁここ最近は見てないよなぁ…
訓練とかでなら何度か見てるけど、
実際の戦場で隊長の騎馬戦なんていつぶりだ?」
「いつでも良いだろう?お前たちも持ち場に付け、
ヴィアナが右翼、シウカは左翼からエレノット殿率いる爬虫類部隊と
足並みを揃えてカバーに回れ、私も騎馬でサポートに回る」

「なんだよ、足並み揃えろって言って隊長だけが敵陣に突っ込む気か?」
「もぉシウカったらお馬鹿さんねぇ、隊長さんは騎馬の機動力を使って、
爬虫類部隊をカバーしてる私たちをサポートしながら
部隊全体をカバーするってことよ」
「…なるほど?」
「ホントにわかってるぅ?」


どうも怪しいシウカの納得の声に、ヴィアナが首をかしげた。


「元々、アラクネとミノタウロスのお前たちでは機動性は望めない。
だが我々がカバーするのはエレノット殿を初めとしたラミアが大半の部隊だ。
足並み揃えるの簡単なことだ。わかるかシウカ?」
「う〜ん…な、なんとなく。ならなんで隊長だけ騎馬なんだ?
アタイたちのカバーに回るってのはわかるんだけどさ…」
「戦局を全体的から把握するためだ、騎馬ならば機動力はもちろん、
高い位置からの状況把握もやりやすい。それに、だ……」

私は鞘から愛用の長剣を抜き取り、目の前で少し掲げる形をとった。

「私の剣は身の丈程の長剣だ、騎乗
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